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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
244/396

真実

シャアリィはリーシャに経験したことのない圧力を感じている。

此処には愛用のワンドも、ダガーを刺したベルトホルスターもない。

脇の下に嫌な汗が流れる。

緊張のあまり暴発しそうだ・・・と。


アイシャは、此処にきた顛末を正直にリーシャに語った。

そしてポケットに入れていた髪飾りをリーシャに返す。


「ロザリーから預かったものだよ」

「コレを返さなきゃね」


リーシャは、それが合図であったかのように、俯いて話し始めた。


「あの日、あそこに姉様がいたのは、私にとっては事故だった・・・」

「私は、地下七階層に竜を捕らえるために一人で潜っていた」

「私にはサモン・ドラゴンというスキルがあるんだけど、肝心な竜がいないから欲しいと思っていたの」

「それをショットに話したら、冒険者を雇って、私の前に竜を連れてくる手配をしてくれた」

「でも、ショットが雇った冒険者は竜を別の事に使ってしまった」

「・・・マッカーシー・パーティの襲撃」


やはり・・・か。

と、アイシャは拳を握る。

リーシャは出来事の続きを語った。


「私の存在は、教会は、まだ表に出せない」

「だから、この悪意の襲撃も表沙汰に出来なかった」

「でも、生き延びた姉様に伝えなければならなかった」

「ショットの許可なしでは教会の外に出られない私は、たまたま、中央大教会に来ていた司教の中から冒険者として名高いロザリー・イグシエンヌを選んだ」

「例え、どれ程の時間が掛かっても、二人が邂逅し、姉様が私の元に訪れてくれることを信じて」

「この髪飾りは、たった一つ、姉様と私を繋ぐ絆」

「それを手放すことは断腸の思いだけれど、姉様が味わった痛みを思えば、躊躇しなかった」

「そして、今日、真実を話すことが叶った」


紅い瞳から不自然な程に綺麗な涙が零れる。


「元凶は、私・・・なの」

「私が竜を捕らえたいとショットに言わなければ、こうはならなかった」

「姉様が大切な仲間を失うことにはならなかった」


全ての線が繋がった。

短い沈黙を破って、アイシャはリーシャの髪を撫でる。


「私は、姉だからな」

「妹を守るのは姉の役目だし、叱るのも姉の役目だ」

「でも、リーシャは何も悪いことはしていないよ」

「ドラゴンを捕まえるって、とんでもない話だけれどさ」

「マーシー達は、本当にいい奴ばかりだった」

「でも、冒険者なら、こういう最後だってあるさ」


アイシャはそこで話を区切ってシャアリィに視線を向けた。


「ここにいるシャアリィ・スノウも、フローズン・ドラゴンの被害者だ」

「リーシャが欲しがっている竜、それは私たちの獲物になった」

「もし、マッカーシー・パーティや、シャアリィに詫びる気持ちがあるならば、今後、あの竜に手出しすることは私が許さない」

「いいね?」


リーシャは涙声で返事をする。


「わかりました姉様、シャアリィさん」

「あの竜は、お二人に差し上げます」

「二度とアレに手を出さないと誓います」


それに・・・と、アイシャは続ける。


「その時の下手人の情報も必要ない」

「私達が再びアーシアンに潜る時、奴らは絶対に仕掛けてくるさ」

「奴らが神に召されるのは、その時でいい」

「奴らも私たちの獲物だ」


そう語るアイシャの目は、やはり姉の目をしていた。


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