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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
236/395

大周回

アイシャは考える。

レベルそのものの底上げは勿論重要だが、それ以上の成果が欲しい、と。


「シャアリィは嫌かもしれないけれど」

「グリーン・ノウズは外せない」

「そして、私自身も新しいスキルを取得するために、イルオールド迷宮探索」


アイシャの思惑はシャアリィにも伝わった。


「暗影の魔石と風雷の魔石、その確保だね」


アイシャは頷く。


「もうひとつ、南端の『石像の島』エンダーベルト」

「フローズン・ドラゴン討伐にはやはり、土石属性の補強も欲しい」

「レリットランスの迷宮で十分な魔石を確保するには、ラミアやタウロスと連戦しなければならないからね」

「さすがに連中相手にはヒーラーなしの連戦は厳しい」

「エドワードならば、参加させろと言うだろうけれど、彼には新しい人生がある」

「エンダーベルトにいるゴーレムならば、動きはそれ程早くはないから、被弾の心配はかなり減る」

「勿論、並みのパーティで挑むには、彼らの魔法攻撃が厄介なんだけれど」


シャアリィはにやりと笑って、


「私にはジャミングがあるから、魔法攻撃なら恐れるまでもない、と」


アイシャの目が、シャアリィの考察を肯定した。

アイシャは、さらに良いことがあると、説明を続ける。


「エンダーベルトは、術式使いにとっては聖地のようなものだよ」

「シャアリィのワンドは、新人が持つには一級品だけれど、もう、きみもクラス3だ」

「近接戦闘はある程度見切りをつけて、ロッドかスタッフに換えるといい」

「愛用品を手放すのは名残り惜しいだろうけれどね」

「特級のロッドならばザグレブホーンの地域効果に匹敵する程の精霊集積が可能になるよ」


シャアリィにとって、自身のワンドは宝物だ。

奔放な生活をしながらも、少しづつ貯めた銀貨で得た大切なもの。

しかし、それが通用しない相手と戦うならば、手放すのも仕方ない。


愛着。


自身の武具は、死線を共にしてきた物言わぬ友。

言い換えるならば、それと別れを告げる程に、自分が成長したのだと。


「私も、強くなったもんだ」


目尻に少しだけ涙を溜めて、愛用のワンドを見つめる。


(もう少しの間、私に力を貸してね)


旅程が決まった。

アーシアンを経て、レリットランス。

長距離キャラバンでウィトプラナ経由グリーンノウズへ。

折り返し、海路でエンダーベルト。

さらに海路で東に向かいフェザーエリスで上陸、イルオールドへ。


連合国極南エリア全てを回る大周回の旅路だ。



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