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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
231/395

奇策中の奇策

ロザリーは何時ものように無表情、だが、その仮面の下で歯噛みする。

ロザリーが狙ったのは、盾の破壊。

そのために右手装備に大メイスを選び、速度に勝る小メイスを囮にした。

小メイスを投射したことにより、手元にあるのは大メイスのみ。

戦術の幅は、限られている・・・。


一見、優勢に見えるイザベラだが、大メイスの威力を見誤り、危うく打ち取られる場面だっただけに、慎重にならざるを得ない。

だが、この思考の時間さえ、更なるミスを呼び込むと見切れば!


二人は同時に駆け出す。

それはロザリーが投擲した小メイスの落下位置。


疾走では、イザベラに軍配が上がるのは当然、同じようなエンチャントをした所で、イザベラとロザリーでは、そもそも、素の脚の速さが違う。


イザベラは、小メイスとロザリーの間に割って入る形で、シールドを前に突き出してレイピアを構える。


ロザリーは、何としてでも小メイスを回収しようと、左右にフェイントを掛けながら接近。

そして放たれたのは、又しても奇策。

事もあろうか、手に残る唯一の武器をイザベラの盾目掛け投射!


あり得ない攻撃に、イザベラは対処出来ない。

伸ばした腕では、シールドを傾けて逸らす以外にとれる策はなく、その傾けたシールドの死角に、ロザリーが滑り込む。


「初見の手札はこちらにもあるよ」


即ち、無手での格闘戦。

メイスという飛び切りの枷を外したロザリーの踏み込み速度は、尋常ではない。

迎撃にセブンス・ピアッシングを画策していたイザベラに、盾の他には防御はなく、ほぼ背面に回り込まれたならば、万事休す。


イザベラの無防備な左肺目掛けてショート・フック、ショート・アッパーの連打が炸裂する。

それでも尚、時計回りに身体を捻り、レイピアの斬撃で切り替えそうとするイザベラだが、その後頭部にロザリーの鞭のようなハイキックが炸裂する。


イザベラの身体は、宙に舞い、その手には剣も、盾も残っていない。

目の前にあるのは、ただ、ロザリーが投擲した小メイスだけ。


(暗い・・・此処は何処だ・・・私は何をしている)

(アレは・・・メイス・・・)

(身体が動かない、私は負けたのか)


イザベラの口から大量の吐血が吐き出された。


(アラン・・・私は・・・)


イザベラの消えかけた意識が無き夫の記憶を手繰る。

それは優しい笑顔、本物の娘に向けるような愛情、そして、やがて来る別れの前に滔々と語られた騎士の責務。


「リリィ、それでも騎士になりたいのかい?」


イザベラは虚ろな目で呟く。


「ああ、勿論だとも!」


『リバイバル!』


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