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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
229/395

最後の宴

宴の最中、もう、この話は避けられぬと二人は視線を交わす。


「ロザリー、きみが日時と場所を決めるといい」

「私は決闘を仕掛けた側だ」

「貴族の流儀に乗っ取れば、公平な立ち合い人も必要だが、私達の場合は勝ち負けという判定を競うものではないからね」

「私達には、観客すら不要」


イザベラはデートの日時でも決めるかのように、あっさりとした口調だ。


「では、明後日の正午、場所は街外れのコロシアム跡を希望するよ」

「明日一日で、しがらみと遣り残したことを清算し、晴れ晴れとした気持ちで迎え撃ちたい」

「互いに武具の手入れも必要だろう」

「最も公平な日取り、と、思うね」


シャアリィは思う。

理解出来ないと。

(わだかま)りは、殲滅戦の中で昇華し、まるで自分とアイシャのように、その仲を深めるだけと思っていた二人が命を懸けて戦うなんて。

しかし、それに口を挟めないことだけは・・・わかってしまっていた。


アイシャも、また、わかったフリをするしかなかった。

あの落胆の日に出会ってから、三人で過ごした日々で自分がどれ程の成長を遂げたことか。

まだまだ自分の先を行く二人に、何度、思い知らされたことか。

緊張感の張り詰めた即席パーティから、本物のパーティになったというのに。


明後日には殺し合う、そう決めたイザベラとロザリーの間には不穏な雰囲気はない。

まるで、わかりあった親友のように盃を傾け、合わせる。


「繰り返しになるが、私はきみを恨んではいない」

「そして、どのような結果になろうとも、きみを恨むことはない」

「きみが私の良き友であることは変わりないさ」


イザベラは優しい笑みでロザリーを見つめる。


「わかっているよ」

「罪に対してならば決闘ではなく粛清という言葉を選ぶのだから」

「私は間違っていた」

「懺悔も許されぬ程に」

「この咎人を良き友だと言って貰えるだけで、どれ程の幸せか」


そして、二人は闘志を露わにする。


「神に仕える身であらば、私の行いすらも神は許容する」

「正義の騎士たる貴方の刃、私のメイスでへし折って差し上げましょう」

「そして、貴方の魂を神の御許に召すことが、この鏖殺のロザリーの誠意!」


ロザリーの啖呵を正面から受け、イザベラも又謳う。


「騎士の誇りを汚した者は誰であろうと容赦はしない」

「この戦場無き平穏の世で、それさえ放棄したとあれば、何が騎士、何が貴族」

「大儀の全てが神ならば、誰が人を救うと言うのか!」


イザベラの刃は救済のために振るわれる。

ロザリーの罪を許すためには、これ以外の方法はない。

それをロザリーは十分に理解した上で、死力を尽くすこともイザベラに対する誠意。


多分、それは理屈だ。

ひとは何処までも傲慢で、己の正義を証明しなければ気が済まないだけなのだ。

逆鱗の邂逅から八年を経て、ついに、殺し合う時が来た。


それだけなのだ。


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