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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
213/395

凡人

夕刻、冒険者ギルドに持ち込まれた魔石に冒険者達は騒然。


「ハイランド・オーガ百四十五で、宜しいでしょうか?」


たった四人のパーティで、レイド・パーティを超える数の魔石を持ち帰った事実。

それのみならず、メンバー全員が健在の上、被弾すら認められないという埒外っぷり。


「山道を歩けば魔石が落ちてる、て、わけでもないよな・・・」

「俺達とあいつらの何処がそんなに違うっていうんだ」

「神は不公平に世界を作ったってことさ・・・仕方あるまい」

「所詮、俺達は咬ませ犬か・・・くそうっ」


普段ならば平然としているイザベラが。


「私がどうやってこの身体を手にいれたか教えてやろうか」

「毎日、小魚の骨をすり潰したものを主食にし、生肉、生き胆を喰らい」

「口に入れただけで失神しそうな野草の磨り潰し汁を飲み」

「倒れるまで、ただ走り続け、腕の筋肉が断裂する程に大剣を振った」

「たった、()()()()()()()()

「泣き言をほざく暇があるならば、今日より強い明日の自分を作るがいい」

「私はお前たちよりも惨めな薄汚い奴隷娼婦から、立ち上がった」

「それでも、まだ、言いたいことがあるなら、吠えていろ」

「だが、剣を振らぬ者に倒せる魔物はおるまいよ!」


彼女は、凡人にもさえも足りなかった己を振り返る。


「くれぐれも・・・命だけは大切にな」


イザベラは余程我慢ならなかったのだろう。


「アイシャ、ロザリー、シャアリィ、悪いが先に行って喉を湿らせておくよ」


扉を静かに開き、イザベラはゆっくりとギルドから退出した。

静まり返ったギルドの中で、一人の青年が拳を突き上げる。


「もう、負け犬でいることはやめようぜ」

「悔しいが、あの女の言うことは何もかもが正しい」

「まだ、俺達には迷宮踏破っていう晴れ舞台が残ってるじゃないか!」

「焦らず、ちゃんと向き合って、辿り着こうぜ」


その青年は、アンソニー・レジータ。

短剣と長弓を使う斥候、クラス1のしがない冒険者。

ここで拗ねるようならば、最早、救いようもない。


「くそう、くそう、くそう、恰好悪すぎるだろうが、このままじゃ!」

「だな・・・まだやってないことは山程ある」

「間違いねぇ、間違いねぇよ・・・頭が悪すぎるぞ、俺」


アイシャはミヤマの言葉を思い出した。


「お前が弱いのは当然さ、何の不思議もなく、当たり前の事」

「私の武具を持ってしても、お前を英雄にすることは叶わない」

「但し、お前が英雄になれないわけじゃない」

「いいか・・・英雄は生まれないんだよ、育つんだ」


それは、冒険者になる前、今となっては遠い過去の記憶。


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