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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
206/399

貴族邸、再び

シュベルドの屋敷、その敷地の入り口、慌ただしく使用人達が動く。

来訪の挨拶の言葉を発する前に、執事の一人と思われる若い男性がアイシャ達に声を掛ける。


「シュベルド家の末席執事、パトリック・ミューゼルと申します」

「本日のお客様・・・」

「アイシャ・セロニアス様」

「ロザリー・イグシエンヌ様」

「シャアリィ・スノウ様」

「お待ちいたしておりました」


その所作は一種の凄みがあり、微笑みを張り付けた表情の中に光る眼光。

名前を呼んだ際の反応で、即座に体の向きを僅かに正対に入れ替え、客人を滞りなく認識する。

こういう所作をエレガントというのだろうか。

東の達人、ランドウ・ミヤマとは全く違う意味での洗練。


ロザリーが、三人を代表し、パトリックに礼を述べる。


「この度は、晩餐の席にお招き頂き感謝致します」

「皆、普段は冒険者稼業のならず者故、無作法につきましてはご容赦下さい」


互いに向かい合って深い礼をした後、パトリックの先導でシュベルド邸の庭を歩く。


「なかなかの激戦だったようですね」

「イザベラ様が緊急の装備修復を命ぜられたので、少し騒がしいのですが、ご容赦を」

「普段は非常に優しい方なのですが、魔物討伐となると血が(はや)ってしまうようですね」


広い庭も、お喋りをしながらであれば苦痛を感じる間もなく、玄関に辿りつく。

パトリックは自らの手で扉を開き、アイシャ達を屋敷の中に招き入れた。

イザベラはロビーのソファに腰を下ろして、アイシャ達の到着を待っていた。


「皆、揃ってるね」

「新しいメンバーも増えたことだし、今日はちょっとした宴といこうじゃないか」


此処がシュベルド邸のロビーということも気にせず、ロザリーがぼそりと呟く。


「毎日、宴みたいなものね」


思わず、アイシャも、シャアリィも、少し吹き出した。

晩餐の正装に着替えたイザベラは、そんな様子さえも楽し気に見守り、


「食事が出来上がるまで、談話室で過ごそう」

「パトリック、今日も暑い」

「冷たいものを用意してもらえないか」


主の命に、大きな礼で答えたパトリックが懐からチャイムを取り出し、鳴らす。

すぐさま現れた侍従の女性に、冷えたスパークリング・ワインを談話室に届けるように伝えた。


「では、私は控えます」

「侍従を残しますので、御用の際には何なりとお申し付けください」


気品に満ちた背中を見送り、四人は談話室へと向かった。

固いブーツの足音が、柔らかな絨毯で無音となる異質な階段。

その階段のすぐ脇の部屋、シュベルドの屋敷の部屋としては、もっとも小さな部屋なのだろう。

扉を開くとすぐに目に飛び込んでくるのは、大理石のテーブルと六脚の一人用のソファ。


シャアリィが、その座り心地を確認するように掌でソファ背凭れに触れる。


「パンケーキみたいにふわふわだ・・・」


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