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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
202/395

スノウ・ウルフ

原生林を進み続けること一時間余り。

ここまで会敵がないと、この場所が、ロザリーが地図に示した黄金地帯(ゴールデン・エリア)の内側であることを忘れる。


その元凶たる存在、このザグレブ・ホーンで最も人を狩り殺した魔物、スノウ・ウルフ。


湖から少し離れた窪地、この原生林の中では珍しい高い背の木のない場所。

アイシャよりも幾分ぼやけた白い毛の魔物達が姿を現す。

まるで周囲を取り囲むように現れたスノウ・ウルフの総数は、五十を超えていた。


「シャアリィ、こいつらにカース・シャドウは無意味だ」


アイシャがシャアリィの先手を限定する。


「ロザリー、悪いが先ず五つ吸ってくれ」

「魔眼なら、ヘイトよりも吸引力は高いだろう?」

「シャアリィ、ロザリーに来る奴を撃破だ」


イザベラの指示が飛び、


「残りは、私が吸う」

「アイシャは、私が耐えている間に敵を間引くんだ」


アイシャから、さらにオーダー!


「シャアリィ、そっちを片付けたら、広範囲攻撃、早めにイザベラの負担を減らそう」


体長二メートルにも達する大型哺乳類の魔物。

その戦闘スタイルは、ベアやボアと変わらないが、何よりこいつらは足が速い。

的を絞らせないように、素早いステップであらゆる方向に飛び回り、敵を弱らせながら仕留めるハンターだ。

しかも、一度牙を突き立てたら食い千切るまで離さない強靭な顎の筋力をも備える。


今、此処にいる数ならば、同じ数のオーガよりも危険度が高い。

最初の会敵から絶体絶命の遭遇!


イザベラはこの群れに対し、恐れもなしにヘイト・オーラをぶち撒けた。

その勇猛は、かつてワイバーンの群れを単独行で倒したアイシャにも劣らない。


「ヘイト・オーラ」:広範囲誘導術式

「ディフェンシブ・スタンス」:攻撃力低下、防御力上昇術式

「ストロンゲスト・ボディ」:防御力上昇術式

「ソード・シャープネス」:剣戟効果上方補正術式

「ウィンド・ウォーク」:移動速度向上術式

「ヘル・フォーカス」:致命率向上術式


一瞬のうちに自己エンチャントの五重奏で武装した戦乙女(ヴァルキリー)が敵の群れを集める。

敵の頭上目掛け、アイシャの三節混を用いた攻撃スキル天塵破砕の連撃が始まる。


ロザリーは、イザベラの後方に廻り、群れの中から無造作に目を合わせた敵を間引き、シャアリィの待機する位置へ誘導。


シャアリィは、アイス・ランス、アース・ランス、ストーン・バレット、アイス・ブラストを駆使し、ロザリーとの連携を終えると、アイシャと並び、さらに氷結と土石の術式で敵の殲滅を急ぐ。


「ロザリー、イザベラにヒールを!」


アイシャの叫びに、ロザリーが即座に詠唱を開始。

スノウ・ウルフに牙を突き立てられ、大量出血しているイザベラに、戦闘時ヒールの定番、アドバンス・ヒールの六節詠唱が最短時間で届く。


「こりゃあ、滾るね!」


憤怒の表情で攻撃に耐えていたイザベラの表情が、その陰りを吹き飛ばし、絶賛に値する回復にサファイアの蒼い瞳が輝く!


「セブンス・ピアッシング!」


迸る血の河も省みず、イザベラの七連撃が炸裂する。

眼前にいたスノウ・ウルフの身体が空中で分解し、仲間の背中に血の雨を降らせた。


白い猛獣の群れを葬り去った圧巻の戦闘、驚嘆するのは、その正確な連携、呼吸、どれ程の言葉を尽くしても足りない個性の集積!


ロザリーがイザベラの元に駆け、さらなる上級ヒールでその傷口を完全に癒す。

シャアリィとアイシャは、スノウ・ウルフの頭を手慣れた手つきで抉り、魔石を回収。


一時間にも渡る追跡を繰り広げたハンター達の狩りは失敗に終わった。


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