必勝のカード
目立たない最奥のテーブルと言っても、何時ものメンバーにシャアリィが加われば、その異彩は周囲の耳目を集めてしまう。
冒険者章を得てからたった二年足らずで、アイシャと共に、二つのネームド・ハントを為し、迷宮踏破まで達成した超新星。
百錬のイザベラ、鏖殺のロザリーが、ザグレブホーンの二大巨頭だとしても、ネームド・キラーの前では威光も霞むというもの。
当のシャアリィは全く気負う様子もなく、アイシャとの旅で習得した人懐っこい表情でパーティ参加を正式に申し出た。
「今日で、迷宮の方は手仕舞いにしてきたんだ」
「穴に籠ってる間に世間がちょっと湿っぽくなってたからね」
「お金も、魔石も大好きだけど、今回の参加したい理由はちょっと違う」
「私はアイシャの傍にいたい、それだけ」
その言葉は、簡単に二人を説得し、アイシャの心を鷲掴みにするに十分だ。
それでも、アイシャだけは反論を試みる。
「シャアリィ、ゾンビや野党を蹴散らすのとは危険度が違うんだよ」
「私達だって無事で帰れるか、怪しいくらいの場所で、五百もの敵を殲滅するんだ」
「だから・・・」
そう自分で喋っている間に気付いてしまう。
だからこそ、シャアリィが必要なのではないか、と。
「アイシャ、気付いているだろう」
「私もロザリーも、シャアリィの参加には大賛成だ」
「きみがシャアリィを大切に思い、死地に連れ出すのを厭う気持ちはわかる」
「だが、もし、きみに何かあれば、彼女は単独行でだって突っ込んでゆく」
「私にはわかるよ・・・この娘の狂気がね」
イザベラは、二人がこの街に着いた時に調べたのだろう・・・二人の辿った道筋を。
そして、その裏側にある絆の深さに気付いてしまった。
ロザリーは、シャアリィに感じる恐怖の真相を二人に告げる。
「今の最深部十四層にだって、こんな殺気を持っている魔物はいないよ」
「それにね・・・うっかり発動してしまった私の魔眼をレジストしたんだ・・・こんな奴全然普通じゃない」
「敵にするには恐ろしすぎるけれど、味方ならば一騎当千ね」
運ばれてきた麦酒の木製ジョッキをテーブルの中央でぶつけ合う。
「アイシャ・セロニアスよろしく頼む!」
「三色四能、根源転換術師にして二冠ネームド・キラー、あと、ついでにレリットランス迷宮の踏破者」
「きゃはは、自己紹介長すぎちゃうね」
「あなたの相棒、琥珀のシャアリィ・スノウ、これで正式に殲滅戦参加ということで!」
アイシャは、もう、勝手にしろとばかりに、両手を挙げた。
イザベラが皆の好みを聞くのも面倒だとばかりに、勝手に注文を始めた。
ロザリーも競うようにメニュー板から上等な料理を頼む。
シャアリィとアイシャはそれを眺めながら、少し見つめ合って、
「結局、こうなるのか」
「勿論、こうなるんだよ」
と、背筋を伸ばしてリラックスの姿勢を取った。




