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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
196/450

飛び入り

アイシャ、イザベラ、ロザリーの三人は、腹を括った。

最早、当初の決行日程を待つ必要もなくなった。

夕暮れ、三人は最後の晩餐になるかもと冗談を飛ばしながら、山鳥亭に向かう。


からんからん、と、何時ものように食欲を掻き立てるドアベルを鳴らせて店に入り、お気に入りの最奥席に行ってみれば、アイシャには見慣れた、イザベラとロザリーには、ほぼ初顔合わせとなるシャアリィが座っていた。


思わず戦慄したロザリーが、


「げぇ、琥珀!なんで此処に?」


と、率直な感想を漏らす。


何時ものシャアリィならば、『いちゃいけないの?』と、少しばかり不機嫌になる所だが、満面の笑顔のままで答えた。


「そりゃあ、待ち伏せしてたからでしょう」

「私が此処にいる理由、もう、三人共理解してるんじゃない?」

「まぁ、先に座って下さいな」


シャアリィを間近で見るのが初となるイザベラが、その端正な顔立ちに驚く。

そして最初に椅子を引き、シャアリィと同じテーブルに腰掛けた。


「全然、イメージと違ったな」

「知っていると思うが、私はイザベラ」

「はじめまして、シャアリィ・スノウ」


置いてきぼりにされていたアイシャが、無言でシャアリィの隣に座る。

ロザリーは、イザベラに倣いシャアリィに挨拶をして着席。


「ろ、ロザリー・イグシエンヌ、普通にロザリーと呼んでくれていいね」


皆が着席した所で、アイシャが口を開く。


「私は前以て言った通り、シャアリィの参加は反対だ」

「此処まで準備を積み重ねて辿り着いたのはイザベラ、ロザリーの協力があったからこそで、特別扱いするわけにはいかないよ」


ロザリーが、手を叩き、ウェイターを呼ぶ。


「まぁ、まずは一杯ね」

「酒も料理も頼まないうちから、テーブルを使うのはマナー違反よ」

「ここん所シケた顔しか見てなかったから、たまには皆で麦酒を飲むことを提案するよ」


この蒸し暑い夏の宴の一杯目、反対する者はいない。


「何より、一番早くテーブルに酒が揃うからね」


シャアリィを見たロザリーは、一種の恐怖を感じ、すぐに飲まずにいられなくなったのだ。

その向かい側では、シャアリィがアイシャのしっぽを愛でている。

どう見てもそれは、既に完全な和解を果たした仲睦まじい恋人同士。


「シャアリィ、おとなしくして」

「私、少し怒ってるんだから」

「勝手に飛び入りするなんて全然知らなかった」

「最低でも、二人の説得は自分でするんだよ」


そう言いつつもアイシャは、もう、絆されていた。


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