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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
195/469

薔薇色の終焉

「今日が此処での最後の狩り」

「今まで本当にありがとうね」

「でも、まだまだザグレブホーンには滞在してるから、見かけたら声掛けてよ」


夕暮れ、何時ものように狩りを終えた、シャアリィとアンソニー。

小奇麗な茶髪の青年は名残惜しそうに、じっとシャアリィを見つめる。


「告白の返事・・・聞かせてもらってもいいかな?」

「今は未だ全然なんだけど、きっと、ずっと、今より強くなるし!」

「それに俺ん家、漁師なんだけど船持ちの網元ってやつだから、冒険者止めても生活はちゃんとやってけるんだ」

「それに・・・それに・・・俺、シャアリィが好きだから!」


シャアリィは、既にアンソニーへの興味を失いつつあった。

あまりアイシャを長く待たせるわけにもいかない。

有体に言えば、潮時が来たのだ。


「私、好きなひとがいて、その人も、私を好きでいてくれるんだ」

「多分、一度くらい見たこと、聞いたことあるでしょう?」

「アイシャ・セロニアス」


知っていたよ・・・と、アンソニーは俯く。

あの真っ白な美形の獣人。

でも、あのひとはシャアリィと同じ女じゃないか。


「シャアリィは、男が好きじゃないの?」

「女同士なんて間違ってないか?」


今までもたまに小耳に挟んだ余計なお世話。

こうして面と向かって言う者がいるなんて、シャアリィは思いもしなかった。

でも、別に怒る気もしない。


「そうねぇ、間違ってるかもねー」

「私は、男だからとか、女だからとか、考えないからねー」

「将来のこととかも、別に心配してないし」

「私、意外にお金持ちなんだよ?」

「ここの迷宮だけで、どれくらい稼いだかってアンソニーも知ってるじゃない」

「お友達じゃダメなの?」


長い間、シャアリィの時間を独占してきた。

勿論、狩りの時間や、たまに食事をする程度だったけれど。

それでも周囲からの羨望の眼差しは心地良くて、このまま付き合えるかもとアンソニーは期待していたのだから、今更、友達と言われても引き返せはしない。


「わかったよ」

「もう、いい」

「俺はフラれたってことだな」


シャアリィは、後味よく自然消滅出来ればと思っていたが、決定打を本人が所望するならば、仕方ないなと、それに応じる。


「そうね」

「私はアンソニーの彼女にはならない」

「友達という選択肢しかあげられないんだ」

「それが駄目なら、本当のお別れだね」

「じゃあ、元気で」


シャアリィにしては珍しい程に、わざと傷つける言葉を言うわけでもなく。

アンソニーにとっての薔薇色の時間は終わりを告げた。

シャアリィも、アンソニーも、失ったものは何もない。

互いに仕事を支え合っただけなのだから。


むしろ、アンソニーにしてみれば、手堅く稼げる相方を失う方が、失恋の痛手よりも辛いと感じるかも知れない。


身軽になったシャアリィは、明日から空いた予定をどうするか、それに悩むのだった。

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