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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
188/455

初日の成果

陽が沈む前にレイド・パーティは点呼を取り、撤収。

初日の被害はなし。

タンクや近接アタッカーは、その戦術上、被弾を免れなかったが、幸いにして重症や致命的な結果には至らなかった。

普段、ダンジョンに潜る際に慢性的に不足するヒーラーが、今回に限っては参加を惜しまず、治癒術が即座に使われた結果だ。


各自が十全に役割をこなし、遭遇回数にして十三度、会敵及び殲滅は百三十八もの大きな成果を上げた。

但し、遭遇した群れが最大でも十七頭、という幸運にも恵まれた成果だ。


進軍距離にして約二キロ。

まだ、ベースキャンプと往復出来ない距離ではない為、岩場の野営より安全なベースキャンプにて休息することとなった。


「なかなかに幸先の良いスタートだ」

「今日は皆、素晴らしい働きぶりだった!」

「一部の者には申し訳ないが、引き続き、夜警での活躍を頼む」

「運よく夜警を免れた者は、獲れたての極上ステーキで祝杯を挙げてくれ」

「酒の類は、此処に持ち込んだ分しかない」

「仲良く分け合って飲んでくれよ?」


ベースキャンプに豊富な資材が揃っているとは言っても、重く嵩張る飲料の類は運べる量が限られているのは当然だ。

しかも、今回のような長期に渡る移動殲滅戦であれば、生命維持や応急処置に欠かせない資材を優先させるのは仕方ない。

戦場であれば、兵站輸送は専用の部隊が専用の車両などを用いて行う。

今回のレイドで集められたポーターは、殆どがクラス1以下の冒険者であり、輸送のプロではないのだから、こればかりはどうにもならない。


「オーガの肉って、こんなに旨ぇのか!」

「こりゃ、毎年夏はオーガ祭りしなきゃだぜ」

「じゃあ、狩り尽くしちゃあだめじゃんか」

「ちょこっと残しときゃあいいんだよ、すぐに増えるさ」


腹を満たすためのものが現地で調達出来るのは有難い。

パンの類さえあれば、オーガ尽くしとは言え栄養補給には不自由しないのだから。


「一日で百三十八かぁ、この調子なら全部とは言わずとも半分近いハイランド・オーガを此処から排除出来るんだよなぁ」

「そう欲張った話は禁物さ」

「今日はまだ大きな群れに遭遇していないから、撤退戦もなし、一方的に狩ってこその数字だ」

「大きな群れと遭遇すれば、運が悪きゃあ・・・なぁ・・・」


撤退戦は難しい。

特に殿(しんがり)を任されるパーティには、犠牲がつきものだ。

故に泥沼(スワンプ)地震(クエイク)土石壁(アース・ウォール)邪蔓(ドライアド・ルーツ)などの地形補助術式を持つ土石属性の術師は危険な任務を負うことになる。

質量戦において土石属性は最強であり、風雷属性の邪風(ウィンド・シャックル)や氷結属性の氷壁(アイス・ウォール)ではハイランド・オーガを止め切れるかは怪しい。


夜も更け始めた頃、夜警を残し、冒険者達は眠りにつく。

ハイランド・オーガの集落に大きな変化が起きていることなど、まだ、誰も知らない。


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