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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
173/453

討伐告知

『三日月討伐告知:アイシャ・セロニアス、ロザリー・イグシエンヌ、イザベラ・リリィ・シュベルド』

『三週間後八月一日より、ハイランド・オーガ生息域で三日月を含めた大規模殲滅戦を行う』

『追加のメンバー募集:現時点での予定なし』

『当該呼称有り個体の討伐を希望する者があれば、殲滅戦開始日までに挑むことを強く推奨する』

『殲滅戦開始後において、当パーティの戦域に踏み込む者への配慮は一切しない』

『又、我々の殲滅戦開始前に討伐を完遂したパーティにおいては、呼称有り個体の魔石売却を提案する』

『こちらの提案額はアーシアン金貨百枚を上限と考えているが交渉の余地有り ――― 以上』


イザベラの発案によって考えられた告知文が、冒険者ギルドの掲示板に貼り出された。

ロザリーは闇狩りで構わないとしたが、領主の一角であるシュベルド家のイザベラは流石にそれを許容出来なかった。


参戦されて唯一障害となるシャアリィは、告知文を一瞥し、欠伸をしながら今日の案内役を探している。

直前になって気が変わる恐れもシャアリィならば十分考え得るが、今回に限ってはそうはならないだろう。

膨大な魔力を誇るシャアリィであっても、あのハイランド・オーガ二百体を相手にするのは現実的ではない。

シャアリィが取り得る手段は、サイレント・ムーブのスキルを持つ者を同行させての一点突破。

しかし、そんな貴重なスキルを持っている冒険者が『諦めの迷宮』に残っているはずもなく・・・。

さすがのシャアリィであっても、今回ばかりは手詰まりだろう。


「ひゃああああ、まぁ、イザベラとロザリーなんつう有り得ない組み合わせだからなぁ」

「おーい、誰かまとめ役になってレイド・チーム編成してくれよ」

「ハイランド・オーガなんて一頭でも厄介なのに、それを今の時期なら百五十はやるんだろ?」

「それで済めば・・・二百はいるらしいぞ」

「レイド成功するにゃ、何人くらい必要になりそうなんだ?」

「クラス2の冒険者が最低ラインで考えても七、八十人は欲しいだろ?」

「そうするとクラス1でも荷運びやら需要があるから、百人以上の大部隊になるんじゃねえの?」

「・・・それ、あいつら三人でやるわけ?化け物にも程があるだろう」


どうやら告知は功を奏したらしい。

アイシャ達に参加をねだるような輩もいなければ、誰からも文句は出ない。

三週間という絶妙な長さの猶予期間、闇狩りではない正式な手順。

勿論、期日が来るまで、ただ無為に時間を過ごすわけではない。


必要になるのは、『三日月』の群れの所在。

そして『三日月』そのものの現状把握。

高原地帯に広く分布するハイランド・オーガの中から、それを見極め、効率良く本体に辿り着くことは戦闘回数を減らす上で必須の情報だ。


勿論、種そのものの殲滅を目論むイザベラにしてみれば、それこそ『鏖殺』でも構わないだろうが、アイシャやロザリーの標的はあくまで『三日月』本体である。

特にロザリーは、掛ける手間と労力が少なければ少ない程、上首尾。

如何に戦闘狂であろうと面倒に感じる程の数とは、やりあうつもりはない。


「偵察が必要なのだろう?」


ロザリーの懸念を察したアイシャが先手を打つ。

渡りに船のロザリーは、勿論、という表情を隠したままで答える。


「役割分担の一つね」

「幸いセロニアスがパーティにいるのだから、お願いしたい所」


斥候ならば、この二人よりも自分の方が役に立つ。

今まで散々に負い目を味わっていたアイシャが断る理由など、皆無。


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