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二十二話 エルフの国へ


 王様との面会から半年がたった頃俺とリンはまだ辺境の街で復旧作業に勤しんでいた。というのもエルフからの返信がないからだ。いつまで待っているか考えていると、急にジャックから呼び出しが入った。


「お疲れさまです。ジャックさん。今日は何ですか?」


「お疲れ。斗真。王都から連絡があって、エルフから返信がきたんだと。」


「結構長かったっすね。で、なんと?」


「まぁー、公式には不可侵条約以来の訪問だからしかたねーんじゃないの!?それで氷の女王が会ってくれるってよ!ただし、ぞろぞろ来られても困るから来るのはドラゴン討伐の該当者だけにして欲しいんだと。つまり斗真とリンだけだな。」


 俺とジャックは握手をし、


「やっと最後の依頼を果たせそうです。ジャックさん。すいません。まだ辺境が大変なのに。」


「いや、ドラゴン討伐の功労者のギルマスからの依頼だ。必ず見つけて帰って来い!帰ったら山ほど依頼をしてもらうがね。」


「ハッハッハ!それは見つけても帰りたくなくなりますね。」


「冗談だよ。斗真!お前は英雄になっちまったからなぁー。。。辺境だけでは収まりがつかない。きっと王都からもいずれ依頼がまいこんでくるぞ!覚悟しとけよ!」


「ジャックさん。。ありがと。」


「おう!あっ!これな!!手紙と木の枝?これを門番に渡すと大丈夫らしい。すぐ行くのか?」


「多分、、、リンとも相談しないと。」


「相変わらず仲いーな!じゃあ!気をつけて行ってこい!」


 俺は執務室を出ると、レイラさんや顔馴染みの職員と少し話をして、冒険者ギルドを出た。リンの居場所はわかっている。精霊魔法が使えなくなってからリンは弓をメインの武器としていた。おそらく今日も森で鍛錬しているだろう。


 森に着くと案の定リンが弓の練習をしている。なかなか筋がいいのか、的の真ん中付近にしか矢が刺さっていない。


「お疲れさま。」


 俺がリンに声をかけ、来る途中に買った果物のジュースを渡す。


「斗真。ありがと。どーしたの?ここに来るなんて珍しいじゃない!?」


 リンは一先ず訓練を中断して、俺から果物ジュースを受け取ると豪快にプファーっと一気に飲み干した。

(仕事帰りのサラリーマンだな……)


「エルフから返事が来て、氷の女王が会ってくれるって!いつ出発する!?」


「えー!!うそっ!やった!!そうねー……早く見つけたいし、明日でいいかな?」


「了解。じゃあ色々支度揃えておくよ。」


「いいよ。一緒に買いに行こ。」


「じゃあ行こうか。」


 俺が差し出した手をリンが繋ぎ、二人で仲良く辺境の街に帰って色々道具を揃えていった。ちなみに俺たちは辺境の街公認のカップルとなっている。


 次の日の朝辺境を出発し、ゴブリンやハウルベアーと遭遇した森へと入る。


「これさー、エルフの森までたどり着けるのかなぁー!?」


「そうよねー。でもS級冒険者なら大丈夫じゃない?」


 俺はドラゴン討伐の功績をかわれB、Aを飛ばしてS級にまで昇格してしまった。ちなみにリンはA級に昇格し、お互い史上最年少の記録だそうだ。


「からかうなよ、、、でもこっちの方で良いのかな?」


 森の中は薄暗く、同じ様な景色ばかり続くので迷いやすいが、リンは幼い頃からギルマスに連れてこられてるみたいで庭みたいな感覚なんだと。


「あってるわ。あの先の山を越えてしばらく行くと、川があるからそこから向こうがエルフの領域よ。その先がわからないから、不安になるわ。」


 とりあえず持ち前のなんとかなるさ精神で前に進む。道中魔獣にも遭遇したが、前回のハウルベアーみたいな魔獣に遭遇する事はなく、比較的スムーズに進む事が出来ている。何日か歩いて、ようやく川が見えてきた。


「きれーな川だね。魚も泳いでる。」


「ほんとね。ちょうど日も暮れてきたからここで一泊して明日エルフの領域に入りましょ。」


「了解!ちょっと川に入って魚取ってくるよ!」


「私も川に入って身体拭きたいわ!汗だくだもの。」


 その日は捕った魚を焼いて食べて、お互い見張りのため交互に寝ていた。明け方、川の向こう側で何人かの人の気配がするのに気付き、リンを起こす。


「リン、向こう側で人の気配がする。おそらくエルフかも。」


「そう、ちょうどよかったじゃない。これで無事エルフの女王に会えるわね。」


 俺たちは支度をし、川の向こう側を見つめる。


「ほんとね。姿は見えないけど気配はあるわ。」


「ちょっと聞いてみようか!?」


「えっ!?」


 俺は大声で


「俺は人族の斗真と言うものだ!氷の女王様に面会の許可を頂いてここまで来た!その証拠にここに手紙と木の枝がある。そちらがエルフなら姿を見せてくれ!」


 言ってしばらくするとエルフの青年が向こう側の川岸に現れた。格好はいたってシンプルで弥生時代の人が来ていたような服を来て金髪ロン毛だ。パーマではなくストレート。耳はよく見えないがおそらくとんがっているのだろう。


「先に手紙と木の枝を見せろ!」


 見せろと言われてどうしようか考えてていると、紐が付いた矢が俺の横を通りすぎ、木に刺さる!


「その紐にくくりつけろ!」


 そーゆことなので言われた通りに手紙と木の枝をくくりつける。そのまま引っ張ったら川の中に入って濡れるのでは?と思ったが、川の上を鞭のようなしなりで戻っていく。


「大丈夫かしら?」


 リンが不安そうに言うが。他に手もなくしばらく待ってみる。すると、川の流れが止まり、モーゼのように川が割れ地面が露出し始めた。


「おぉ。」


 すると、先ほどの青年が向こう側から一人で歩いて俺の前までやってくる。


「よく来た。人族。人族が訪れることは聞いている。手紙と世界樹は紛れもなく本物だ。女王の所まで案内しよう。俺の名前はスワンだ。よろしく。」


 案外受け入れられているのに戸惑いはしたが、


「俺が斗真で、こっちがリン。よろしく。」




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