5/622
4
「朔!何ボ~っと突っ立ってるの!」
うるさいのがやってきた。
昌耶は、そんな奏子を優しく宥める。
「まぁまぁ・・・・・・奏子さん。寝起きなのだし、
そのくらいにしておきなさい。」
「・・・んもぅ。
あなたが、そういうのなら・・・・・・」
奏子は、昌耶には敵わない。
頬を膨らませながらも、素直に
キッチンへ消えていった。
何だ、その従順っぷり。
俺は静かに、親父の隣に座る。
昌耶は、大手企業に勤めるサラリーマン。
結構な役職にいるみたいで、女から
かなりモテるだろうと思っている。
なのに、奏子一筋。
多少の残業はあるが、真っ直ぐ家に帰ってくる。
母親は確かに綺麗な部類に入るが、
超絶美人というわけではないのに。
遊ばない親父は、俺からすれば
七不思議の一つだ。