センジュツ
「結界を抜けた!?」「外の護衛は何も見ていない?」「一体何処から!?」
エイダが言葉を終えて、少しするとザワザワと騒ぎが起こる。
「ふふん。私の凄さ、わかっていただけたようですねぇ」
指を振りごきげんに笑うエイダ――その首筋に切っ先が触れる。
「通らないか」
「はぁ!?」
サヨコだ。その姿は既に剣姫騎士と化しており、殺しのための一手。しかし、それは魔法により形成された障壁が防ぐ。
「魔法少女、か。悪い冗談だな」
一歩下がり、その剣を構えるサヨコ。
「何なんですかぁ!? 私友好的じゃないですかぁ!」
「だからこそ、怪しいのだろう」
そいつはもっともだ。だからってまず首狙うか?
辺りを見れば、他にも臨戦態勢の剣姫騎士が。コイツら思考のベースが蛮族かよ。
「でも、まぁ。なおの事、私の凄さがわかったでしょう」
エイダは冷や汗をかきつつも、減らず口が止まらない。
流石だなあいつ。魔法は確かに防御も強いが、それは出力を上げれば守れるってだけでスタミナの問題がある。そして、今見た感じだとキャパギリギリだろ、あれ。
「映像をお借りしますよ」
そう言い、指を鳴らすと、画面に映る先の闘い。
「これを見て頂ければわかるかと思いますが、我々魔法少女の防御ではあの攻撃を防げません」
吹き飛ばされるアキラと、血反吐を吐きひざまずくサヨコ。防げてるとは言えない気もするが、まぁ被害は剣姫騎士の方が低い。
「そして、貴方達剣姫騎士ではすぐに傷を癒すことは出来ません」
すぐさまに戦いに立ち上がるアキラ、片膝を付いた状態から動けないサヨコ。確かにその差は歴然だ。
「つまり、力を合わせれば、あの化物に敵うと言うわけですね」
映像が切り替わる。剣を象形化した駒と、杖を象形化した駒が二人一組で戦う様が描かれる。前衛と後衛に分かれて戦う。そこまでは俺の想定と同じ。
「ダメージがどうしても大きいですからね」
そういうと、杖の駒が増える。回復役を増やして前衛の負担を減らすと。そこまで思考が行かなかった。というか、そんな人数を動かせるのか?
《気合ですよ気合! ちょっと無理してでもやらないとダメでしょう》
俺の思考を読んで、言葉を返すエイダ。ウィンクまでくれたぜ。
それを隙と見たサヨコが一歩踏み出そうとする。
「さよこ、待って」
「何故だ」
止まったサヨコを確認したナギが、俺の眼を見る。
「多分、大丈夫、飲んでも良い」
「……わかった」
その言葉を聞いてか、周囲の剣姫巫女達も剣を収める。
エイダも一安心と緊張が緩むが、恐ろしく細かな変化、オレでなきゃ見逃しちゃうね。
と言うか、ナギの立場かなり良いみたいだな。
「にぃ、黙っててあげる」
なんの耳打ちだこれ。いや、わかるわかったわかられてるな。
「細かい話はこちらも調整しないといけませんので、連絡先だけ交換しましょう」
そう言い、サヨコに名刺を渡すエイダ。名刺とかそんなの持ってたのかお前……。
「あぁ、どうも」
サヨコさんも名刺を渡す。貴方も持っていらしたんですね……。




