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親父が魔法少女で俺まで巻き込まれた件  作者: フジオ
紅の魔法少女篇
21/63

思いがけない戦い


「シュート。自分で呼んでおいて、寝て居るとはいい度胸じゃないか?」


 凛とした、それでいて何処か呆れた調子の混じった声。そんな声に呼ばれ、眼を覚ました。

 思ったよりも疲れて居たようで、既にホームルームが終わってから十分は経っている。


「うぉ!? わ、わりぃ……」

「ふん、気にするな」

 あわてて立ち上がると、六花に謝る。思った以上に普通に接してくれるその様を見るに、それほど不審者扱いはされて居ないのだと、安心する。


――『怒ってない』、だなんて言って貰えるほど好かれても無いがな……。


「さて、ここでは話難い内容なのだろう? そして場所によっては――言っては悪いが見世物。何処か人気の少ない場所にでも連れて行ってくれ」

「あ、あぁ。わかった、屋上へ行こう、昼は基本騒がしいが、放課後なら」

 そう言い、俺はゆっくりと屋上へと向かう。六花はそれに静かに付いて来た。


「で、だ」

 一息つくと、話を切り出す。

「氷室さん、話があるんだ」

 なんとか話を付け、俺は『自分が家族に手を出す危険人物である』、と言う認識を辞めさせたかった。


 だが、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、六花は指を三つ伸ばしながら、口を開く。


「……先に聞きたい、失礼とは思うが良いだろうか?」

「どうぞ」


「ここに連れ込んだのは、私を襲うためである、Yes or No(はい、いいえ)?」

「違う、誓ったっていい」


「先ほど、君の妹さんが来ていたが、あんな爛れた行為をするためである――Yes or No(はい、いいえ)?」

 六花は手の背を向けながら薬指を曲げ、ピースの様に手の形を変える。


「絶対にあり得ない、そんな事を望んでするなら、その前に死を望む。てかその指やめろ、あんまり良い意味無いぞ」

「それは失礼」

 そう言い、人差指を残した全ての指を曲げる六花。残ったその指を俺に向け、口を開く。


「最後だ、君は妹に性的な興奮を覚えるYes or No(はい、いいえ)?」

「Noだ。俺はあんなちんちくりんに興味は無い」

「よし、さっきのは私が悪かった、どうやら早とちりをしすぎたようだ」

 そう言い、少し上機嫌に語る六花。そんな彼女の仕草にドギマギする。


「君はあの子に性的な興味がない、ならば私が貰っても良い、そう言う事だな」

――どぎまぎして、ちょっとがっかりした。


「はっ、まぁ誤解が解けたってんなら、俺はもう話す事もねぇや」

 そう言い、軽く笑う。俺にして見れば、ちょっとした笑い話として処理する事が出来、これ以上ないと言うくらいの状態だ。


 いや、同級生が親父を少女として見ていて、そのせいで何か変な感じになってるのよくわかんないや。


「おっと、私には話がある。アキラちゃんの話だ! 彼女は何が好きなんだい? 一体、どうしたら私に懐いてくれるのだろうか? 何か案は無いだろうか?」

 まぁ、コイツの性癖と言うか、何と言うかは無視しよう。

 そうして、少々げんなりする。


「なぁ、本当に頼むよ、アキラちゃんに何をしてあげれば気に入って貰えるだろうか……」

 こう言った扱いをされれば、俺としても少々苛立ちを覚える。

 まるであて馬にでもされている様な現状。それが自分にとって気になる人からされて居るのだ、小さくだがアキラに対し嫉妬を燃やす。


 ちょっと、面白くないよなぁ……。

《嫉妬はいけません。フッハハハハハハハ! ですが笑えますねぇ、あの一件であなたは真っ当な人の枠から追放、一方御父上は今では彼女の愛しの人、随分と差がつきました。悔しいでしょうねぇ》

――てめぇ! と、何だ? 今日はもう終わりじゃないのか? さっきそう言ってた気がするが?

 先までの会話を思い出し、訝しむ。


 また面倒事か? そんな考えが脳裏を過る。


 しかし、そんな俺の心配を他所に、明るい声色でエイダが続ける。


《あぁ、大丈夫ですぅ~、面倒事じゃないですぅ~》

 少々おどけて、煽って見せるエイダ。嫌な予感しかしない。そんな俺にエイダは伝える。


《敵です。目の前です、彼女の後ろ、危ないですね、今、かなり、危険、あ、触れますね》

 そうして六花の後ろを見れば、そこには黒く、不快感を与える塊『The END』だ。


「エイダァアアアアアア!!! 止めろッ! 時をォオ!!」

 叫びを上げ、俺は六花に走り寄る。それに合わせ、エイダが俺に魔力を与える。


 俺自身は魔力を持って居ない為だ。魔力は、それだけでは世界に影響を与えない。外部からの命令を受け、その動作を始めるの。


 赤い魔力の粒子が、身体から放出される。そうして放たれる魔力が体を包み、戦う為の姿を形作る。

 無駄な布を分解し、魔力変換。不足した力を周囲から集める。空気中の原子分子を取り込み、俺の体を包む様に深紅のメイド服が構成される。


 不足する魔力を空気中からも取り込むため、触覚(感覚器)とするために、その髪は長く、長く、そして紅く変わる。


 血の色、命の色、炎の色、それが俺に与えられた個性色(パーソナルカラー)。瞳が燃える。闘志からか、命を燃やしているからか。走る魔力の渦が、深紅のメガネフレームを形成する。


――炎が一つ、そこに起った。


 灼熱色の魔法少女、名乗る名も無き一人。これは戦う形。



《さて、収録(戦闘)を始めましょう》

「それ、怒られる奴じゃねぇかな……」



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