第24話「【捕縛】権禰宜を封じた瞬間、世界に亀裂が入った件」
霧島さんと剣持さんに段取りを伝えた。
「参拝者として近づいて、会話を装って自然に接触する。その瞬間に封印する」
霧島さんが頷いた。「問題ありません」
剣持さんがため息をついた。「やれやれだ。俺は何もできんか」
宵待先輩が「一般人ですから」と言った。
剣持さんが苦い顔をした。
当日、神社に向かった。
権禰宜の神社は、地域の氏神として長く続いてきた、それなりの規模のものだった。
参拝者が数人いた。
宵待先輩と巌先輩が境内の端に分かれて配置についた。常盤先輩は鳥居の外で待機した。
俺は少し離れた場所から権禰宜を目で追いながら、周辺に貼った式神で周囲の様子をチェックした。
霧島さんが参拝を終えて、権禰宜に近づいた。
「少しよろしいですか。この辺りの歴史について伺いたくて」
権禰宜が穏やかに微笑んだ。「もちろんです」
話しながら、自然に距離が縮まっていった。
権禰宜が身振りで何かを説明しようとした瞬間、霧島さんが権禰宜の手首を握った。
光が広がった。
権禰宜の表情が固まった。
声を上げる間もなかった。
靄が薄まっていった。
消えた。
権禰宜がゆっくりと膝をついた。
そのとき、視界の端に何かが見えた。
空だった。
細い線が走っていた。
亀裂のような、歪みのような。
消えなかった。
ずっと、そこにあった。
世界に、亀裂が入った気がした。
眼力を使っているから見えるのか。
それとも、誰にでも見えるのか。
判断できなかった。
剣持さんが入ってきた。「やれやれだ。今度はうまくいったな」
「向こうが気づく前に動けました」
「収監の手配を」
宵待先輩が口を挟んだ。「能力は封印されています。証拠もない。今は様子見でいいんじゃないですか」
剣持さんが腕を組んだ。「やれやれだ」
しばらく沈黙があった。
「わかった。今は様子見だ」
霧島さんが静かに数珠を握り直した。
宵待先輩が権禰宜を見下ろした。「随分若くなってたな」
「30代くらいに見えました」
「能力が封じられたら、戻るんだろうか」
答えは出なかった。
解散してから、自分の神社に寄った。
手を合わせた。
空を見上げた。
亀裂はまだそこにあった。
気のせいではない。
スマホが鳴った。
早瀬からだった。
「ねえ、このニュース見た?」
リンクが貼ってあった。
世界各地で動物が異常行動をとっているという映像だった。
鳥の大群が突然方向を変える。犬や猫が一斉に鳴き止む。魚が浜辺に打ち上げられる。
「見てなかった」
「なんか怖くない?いろんな国で同時に起きてるらしくて」
「そうか」
「直哉は怖くないの?」
少し考えた。
「怖いかどうかより、気になる」
「それ、直哉っぽい」
スマホを閉じた。
空の亀裂と、動物の異常行動。
繋がっている気がした。
家に戻ると、通知が出ていた。
【実績解除】
4人目の能力者捕縛
体力+2/筋力+2/敏捷+2/耐久+2/精神+2
合計10。
式神を住宅街に飛ばした。
いつもの区画を確認した。
女性が歩いていた。
眼力を絞った。
顔が整いすぎていた。芸能人のような顔立ちだった。でも、動きがどこかぎこちなかった。
角を曲がった先で、立ち止まった。
周囲を確認してから、顔が変わった。
さっきとは別の顔だった。普通の、地味な顔立ちだった。
そのまま民家に入っていった。
変身、か。
能力の片鱗が掴めた。
ステータスを確認した。
【ステータス】
体力 136(+4 石段継続+実績解除)
筋力 110(+4 巌先輩との筋トレ+実績解除)
敏捷 121(+4 石段継続+実績解除)
耐久 115(+4 石段継続+実績解除)
知力 93(±0)
知識 88(±0)
集中力 92(±0)
精神 116(+2 実績解除のみ)
器用 79(±0)
魅力 90(±0)
【スキル】
眼力 Lv.3
メモ Lv.2
自然回復
並列思考
瞬歩
浄化耐性
4人目、捕縛完了。
主婦の能力、変身と確認。
空の亀裂、まだそこにある。
世界各地で動物の異常行動が報告されている。
(第25話へつづく)




