第22話「【戦闘】宵待先輩がチートすぎて笑えない件」
医師が笑ったまま、視線を走らせた。
次の瞬間、また走り出した。
駐車場の出口に向かっていた。
宵待先輩がすでにそこにいた。
いつの間に回り込んだのか、わからなかった。
医師が急停止した。
宵待先輩が軽く足を出した。
医師の足が絡まって、前のめりに倒れた。
地面に手をついた医師が、すぐに宵待先輩の足首に手を伸ばした。
宵待先輩がすっと体重を移した。触れる寸前で、手が空を切った。
「惜しいな」
飄々とした声だった。
倒れた医師に向かって体当たりした。
全体重をかけた。
医師が地面に押しつけられた。
すぐに手が伸びてきた。
瞬歩を踏んだ。
2メートル横に出た。
医師が起き上がった。
「手だけ気をつければ良さそうだな」
宵待先輩が言った。
後ろで常盤先輩が巌先輩の傍にしゃがんでいた。
巌先輩の顔色が、少しずつ戻っていった。
常盤先輩は何も言わなかった。ただ、手を当てていた。
宵待先輩が医師と向き合った。
構えらしい構えはなかった。フットワークで距離を保ちながら、軽く手を前に出していた。
医師が踏み込んできた。
宵待先輩が半歩外に出た。拳が空を切った。
すかさず右の蹴りが医師の脇腹に入った。
医師がよろけた。
追撃の左ジャブが顔面をかすめた。また外に出る。
近づけない。触れない。
医師が距離を詰めようとするたびに、宵待先輩はするりと外に出て蹴りを入れた。
楽しんでいるように見えた。
医師の動きが鈍くなってきた頃、霧島さんが前に出た。
数珠を握っていた。
医師が気づいて手を伸ばした。
霧島さんが踏み込んで、医師の肩に触れた。
光のようなものが広がった。
眼力を使った。
靄が、急速に薄まっていくのが見えた。
医師の体から力が抜けた。その場に崩れ落ちた。
靄が、消えた。
静かになった。
剣持さんが駐車場に入ってきた。
「やれやれだ。終わったか」
「終わりました」
剣持さんが医師を見下ろした。「なんか、いつもと違ったな」
霧島さんが頷いた。「封じました。能力ごと」
剣持さんが少し目を細めた。「そうか」それだけ言って、スマホを取り出した。「収監の手配をする」
宵待先輩が肩を回しながら言った。「存外手こずったな」
巌先輩が立ち上がっていた。まだ少しふらついていたが、顔色は戻っていた。
「問題ない」
常盤先輩が小さくため息をついた。「問題あったでしょ」
巌先輩が黙った。
家に戻って、ステータスを確認した。
【ステータス】
体力 130(+2 石段継続)
筋力 104(+2 巌先輩との筋トレ)
敏捷 115(+2 石段継続)
耐久 109(+2 石段継続)
知力 92(±0)
知識 87(±0)
集中力 91(+1 式神・眼力運用)
精神 111(+1 日常鍛錬)
器用 79(±0)
魅力 90(±0)
【スキル】
眼力 Lv.3
メモ Lv.2
自然回復
並列思考
瞬歩
浄化耐性
医師、拘束完了。
靄、消滅確認。
宵待先輩は、思ったより強かった。
(第23話へつづく)




