第21話「【追跡】病院周辺の変死体と、今夜動く件」
放課後、民俗学研究部の部室に向かった。
宵待先輩、常盤、巌先輩、霧島さん、剣持さんが揃っていた。
「やれやれだ」剣持さんが腕を組んだ。「厄介なことになってきた」
「何かありましたか」
「病院周辺で変死体が出た。人間のだ」
霧島さんが続けた。「しばらく前から、同じ周辺で動物の変死体が相次いでいました。野良猫や鳥から始まり、先週から犬、そして今回初めて人間が」
「能力犯罪ですか」
「可能性が高い」霧島さんが資料を開いた。「遺体の状態が異常です。外傷がないのに、内臓が切り取られていました」
部室が静かになった。
「身元は」
「不明です。現在捜査中ですが、通常の事件とは明らかに異なる」
剣持さんがため息をついた。「やれやれだ。これ以上被害者を出すわけにはいかん」
「病院周辺には、以前から式神を仕掛けてあります。以前観測した人物の特徴を伝えます。40代くらい、眼鏡、細身です」
剣持さんが封筒を取り出した。病院のスタッフ写真が何十枚も入っていた。
「40代の男を見てくれ」
数枚に絞られた写真を見た。
一枚で止まった。
「この人です」
剣持さんが写真を確認した。「外科医だ。あの病院に勤めて10年になる」
霧島さんがメモを取った。
宵待先輩が口を開いた。「作戦を立てよう。能力の詳細は不明だが、外科医で被害者の体内に異常な切断が起きていた。慎重に動く必要がある」
「役割分担はどうしますか」
「巌が前に出て相手を追い詰める。黒瀬と俺は状況に応じて動く。常盤は後方で待機だ」
霧島さんが頷いた。「拘束は私が担当します」
剣持さんが立ち上がった。「やれやれだ。俺は外で待機する」
宵待先輩が小さく言った。「民間人ですから」
剣持さんが苦い顔をした。
病院に向かいながら、式神の視界を確認した。
まだ動きはない。
夜の空気が冷たかった。街灯の間隔が広く、病院に近づくほど人通りが減った。
全員、無言だった。
巌先輩が先頭を歩いていた。背中が大きい。頼りになると思いながら、その後ろをついていった。
宵待先輩は相変わらず飄々としていた。緊張している様子がない。
常盤だけが少し表情を固くしていた。
病院の外壁が見えてきた頃、式神の視界が動いた。
正面玄関から私服姿の男が出てきた。
眼力を絞った。
靄が見えた。写真の男だった。
「出てきました。正面玄関です。今ちょうど」
宵待先輩が小さく言った。「タイミングがいいな」
「そういうもんですか」
「そういうもんだ」
足を速めた。正面玄関を回り込んだ。
駐車場の入り口が見えた。
男がいた。
医師が振り返った瞬間、空気が変わった。
目が合った。こちらに向かってくると本能的に察したのか、踵を返して走り出した。
巌先輩が地面を蹴った。大柄な体格からは想像できない速さで距離を詰め、医師の腕を掴んだ。
その瞬間だった。
巌先輩の表情が歪んだ。膝をついて崩れ落ちた。
医師が静かに腕を振りほどくと、ゆっくり立ち上がって、にやりと笑った。
(第22話へつづく)
【ステータス】
体力 128(+2 石段継続)
筋力 102(+2 巌との筋トレ)
敏捷 113(+2 石段継続)
耐久 107(+2 石段継続)
知力 92(+1 問題集継続)
知識 87(+1 読書継続)
集中力 90(+1 式神運用)
精神 110(+1 日常鍛錬)
器用 79(±0)
魅力 90(±0)
【スキル】
眼力 Lv.3
メモ Lv.2
自然回復
並列思考
瞬歩
浄化耐性
医師との遭遇。




