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ステータス、始めました。〜神社に通い続けて10年、人生が数値化された俺は、日常の全てを「修行」に変えて世界の解像度をハックする〜  作者: KZUCCA
屋上死闘編

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19/26

第19話「【修行】耐久が100を超えた日、神社で予想外の再会をした件」

巌との筋トレは、毎回限界まで追い込まれる。

「もう一回」

「はい!」

巌と組んでから筋力の上がり方が明らかに違う。

ベンチプレスのバーを戻したとき、宵待先輩が部室の入り口に寄りかかって腕を組んでいた。

「熱心だな」

常盤が宵待の腕を引っ張った。「邪魔しちゃダメですよ」

「見てるだけだ」

「それが邪魔なんです」

宵待先輩がふらりと近づいてきた。常盤が小さくため息をついた。

「黒瀬、最近どうだ」

「特に変わりはないです」

「そうか」

それだけ言って、また入り口に戻った。

掴みどころがない人だ。でも、なんとなく気にかけてくれているのはわかる。

放課後、石段を走った。

1セット目の終わり、石段を登りきったとき、視界の端に数字が浮いた。

耐久 100

上がった。

息を整えながら、ステータス画面を開いた。

【スキル選択】

以下から1つを選んでください。

①浄化耐性:能力による感情汚染・精神干渉を一定量耐える

②鉄壁:物理ダメージを一定量軽減する

③不屈:致命的なダメージを受けても即座に行動不能にならない

3つを見比べた。

物理は、瞬歩で避けられる。いや、避ける。

でも感情を操られたら、避けようがない。

浄化耐性は最適だ。

ただ、これがあっても詰め切れない。あの学校で能力が使われていても、それを証明する方法がない。捕まえる理由を、他の誰かに説明できない。

難しい相手だ。

あんな能力で、気づかないうちに操られたらたまったもんじゃない。

①を選んだ。

【浄化耐性を取得しました】

能力による感情汚染・精神干渉を一定量耐えます。

石段の上で、少し空を見上げた。

じわじわ積み上げてきたものが、ちゃんと形になっている。

悪くない。

その夜、早瀬からLINEが来た。

「今週の土曜、図書館行ける?」

「行けるよ」

「やった。中央図書館の方行ってみたくて。蔵書も多いし」

「いいね」

「直哉が行ったことなさそうで」

「ない」

「じゃあ決まり」

返信しながら、次の土曜日が少し楽しみになっていた。

翌日、式神の運用を切り替えた。

鳥は操れない。同じ周辺をうろつくだけで、新しい場所にはなかなか辿り着けない。

それより、靄を確認できている人間の観測に集中する方がいい。

権禰宜の神社にメモを貼った。眼力を絞った。

靄は濃い。でも、能力はまだ使っていない。ただ歩いている。

他にも靄を持った人間がいる。まだ顔も職業もわからない。

式神をリレーさせて、少しずつ行動範囲を絞っていくしかない。

今日確認できた範囲を頭に入れた。明日はその先側に貼る。

昼休み、柊斗が隣に座った。

「なんか最近、忙しそうだな」

「そうか?」

「目がよく動いてる。考えてるときの顔だ」

こいつは本当に観察眼がある。

「いろいろ並行してるだけだ」

「早瀬さん関連も含めて?」

「それは別枠だ」

柊斗が少し笑った。「別枠って言えるようになったんだな」

「うるさい」

「腕、もうほとんど気にならないぞ」

さらっと言った。

柊斗はこういうやつだ。重くせず、でもちゃんと伝える。

「よかった」

それだけ返した。柊斗は「ああ」と言って弁当を開いた。

週末の夕方、神社に向かった。

手を合わせて、踵を返そうとしたとき、境内に人影があった。

見覚えがあった。

海の家の、おばあさんだ。

「あれ」

思わず声が出た。おばあさんがこちらを向いた。

「あら」おばあさんが少し目を丸くした。「こないだの子ね」

「はい。こんなところで」

「ここの神社とは縁があってね。たまに来るんだよ」おばあさんが境内を見回した。「あなたは?」

「家が隣なので、毎日来てます」

「まあ」おばあさんが少し笑った。「それは知らなかった」

しばらく、他愛ない話をした。

海の家のこと、この神社のこと。

ふと、気になっていたことを聞いた。

「あの、もしかして霧島さんですか」

おばあさんが少し首を傾けた。「おや、名乗ったかい?」

「いえ。こないだ仰っていた、警察官になったお孫さんの律さんと最近知り合いまして」

「律と?」おばあさんの顔が少し和らいだ。

「最近変な事件が多くて、お世話になっていて」

「そうか」おばあさんがしばらく俺を見た。「もう知り合ってたんだね」

どこか嬉しそうだった。

それから、おばあさんが懐から数珠を取り出した。古いものだった。

「律に渡してほしいんだけどね。なかなか会う機会がなくて」

「俺が渡していいんですか」

「あなたなら大丈夫だよ」

理由は言わなかった。でも、迷わなかった。

「わかりました。渡しておきます」

「ありがとう」おばあさんが少し微笑んだ。「それと、元気でやってるって伝えてくれると嬉しい」

「伝えます」

おばあさんはそれだけ言って、神社から帰っていった。

数珠を手の中で握った。

古いけど、丁寧に扱われてきたものだとわかった。

とりあえず、霧島さんに連絡してみよう。

靄の件の報告もある。

家に戻って、ステータスを確認した。

【ステータス】

体力 122(+2 石段継続)

筋力 96(+2 巌との筋トレ)

敏捷 107(+2 石段継続)

耐久 101(+2 石段継続、100超えスキル取得)

知力 89(±0)

知識 84(+1 読書継続)

集中力 87(+1 式神運用)

精神 107(+1 日常鍛錬)

器用 79(±0)

魅力 90(±0)

【スキル】

眼力 Lv.3

メモ Lv.2

自然回復

並列思考

瞬歩

浄化耐性

浄化耐性、取得。

権禰宜の観測、継続。

靄を持った人間はまだ複数いる。まだ顔も職業もわからない。

数珠は、机の引き出しに入れた。

(第20話へつづく)

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