第六話 チョコご飯と君の家
「……料理が上手だとしてもうちには来るなよ、約束だろ。」
最初、学校に来ればもう家に来ないという約束をしたから僕は学校にいる。
「あ、そういえばそうだったね、じゃあうちに来て!それならいいでしょ!」
周りの目が尖る、終わった。
「周りの目がすごいんだが、そう簡単に家に入れないほうがいいんじゃないか」
「んー友達だからいいと思うけど…じゃあ晴斗君も来てよ!これでデートじゃない!」
「んー彼女がいるから何とも……」
晴斗には彼女がいるらしい。
まあこれだけ顔がよくて、性格もよさそうなら不思議ではない。
「じゃあ彼女さんもつれてきな!うちなら平気だから!」
「じゃあそうするわー。……聞いてただろ?」
そういうや否や、前の女子の一人がこちらを向いた、あの失礼じゃないほうだ。
「聞いてたよ、花咲さんの家に行けるなんて滅多にないし乗らせてもらうよ!」
「え、わたしもいい!?」
横の、失礼な方も興味津々で口を挟んできた。
「いいよー席が近い仲ということで!」
「この二人は誰なんだ?」
聞くとちゃんと自己紹介してくれた。
「そういえば名前教えてなかったね、私は神谷璃子、この失礼なほうが小野寺ほのか」
「失礼なほうってなんだよ!」
このあと、どんどん誘われようと声をかけてくるが、ここで締め切り―!という声で落胆する人が続出した。
そんなこんなで昼休みが終わり、授業を終え放課後となった。
「よーしみんな―!うちに行くぞー!」
そして今、沙夜の家に向かうところだ。
「僕は帰りたいんだけど?」
「だーめ、ほら行くよ?」
学校を出ようと下駄箱に向かうと、沙夜の靴箱に手紙が入っていた。
又かと言わんばかりの表情をし、沙夜は僕たちに謝り。
「そっこー返事してくるから待ってて―!」
そうして5分くらいすると走ってこっちに来て、ふってきた!と元気よく言ってきた。
「じゃあ案内して!」
「もちろんだとも、ほのかちゃん!」
事務作業のようにされた男子生徒が少しだけ不憫だが僕には関係ないので流れるようについていく。
家に行く道が僕の家の方向と同じだということに途中で気が付いた。
「なあ、これお前の家に向かってるんだよな?」
「そうだよ?」
「ならいいんだが……」
それからも、僕の家の方向に向かい続け、最終的にたどり着いたのは。
「じゃーん!ここでーす!」
僕の家のお隣を一つ挟んだ家だった。
「……」
僕は絶句だったが、周りは盛り上がっている。
チャイムを鳴らすと、すぐに扉が開いた。
「おかえりー!って、今日はにぎやかだねぇ」
出迎えたのは沙夜の母親だろうか、にこやかに迎えてくれた。
全員が靴を脱ぎ、リビングに通されると、広々とした空間にどっと声が広がる。
「わぁ、なんかオシャレ〜!」「ここ住みたい!」
女子たちがテンション高くはしゃぎ、男子たちは遠慮がちにソファへ座った。
「はいはい、お茶出すからちょっと待ってて〜」
沙夜がキッチンへ向かい、僕はその様子をなんとなく眺めていた。
……とりあえず、静かに過ごせる場所があれば、それでいい。そうおもっていたが。
「じゃあ誠君!これ頼んだ!」
僕は忘れてた、このチョコご飯を何とかするためにここに来たことを。
「あら!これどうしたのよー、お弁当にチョコ入れちゃダメって言ったでしょ!」
「うー、ごめんなさいーーー」
キッチンからは、母親の声と沙夜のうめき声が聞こえてくる。
その様子に、リビングにいる全員が笑い、空気がゆるんだ。
「……ほんとに騒がしいな」
思わずこぼれた本音にも、神谷が「それが花咲さんだよね」と笑って返した。
「まあ何とかするよ、それだけのために来たようなものだからな、花咲さんのお母さん、キッチン借り手もいいですか?」
「あら、あなたが誠君?話には聞いてるわ、なんとかできるなら使ってちょうだい!」
どうするかと考え冷蔵庫を見た結果、なんとかする方法が一つしか思いつかなかったのでその通りに作る。普段からお菓子を作るのか生クリームがあってくれて助かった。
「すいません、生クリーム使って大丈夫ですか?」
「全然大丈夫よ!好きに使ってちょうだい!」
承諾を得たので遠慮なく使う。
あとは……
「花咲、チョコってまだあるか?」
「あるよ!そこにあるの勝手に使っちゃって!」
必要な量の5倍くらいの量があるので、これも遠慮なく。
まず、チョコご飯をキッチンシートに薄く広げ乾燥させる。
その間に生クリームを火にかけ、チョコを刻む。
リビングのほうから視線を感じるが、作業に集中する。
生クリームが沸騰してきたので、火からおろしチョコを入れる。
溶けたら乾燥させたチョコご飯を入れ、混ぜる。
バットが目に入ったのでクッキングシートを敷いて中に入れ、冷蔵庫に入れた。
終わったのでリビングのほうへ戻ると、晴斗が拍手してた。
「お前めっちゃ手際いいな!普段から料理とかするのか?」
「あんまりしないな、気が向いたときにやるくらいだ」
周りから驚きの声が上がる。そんなにすごいことだろうか?
「まあ、固まるまでちょっと時間かかるから、あとでみんなで食べてくれ」
そして鞄を持ち、帰ろうとしたら沙夜に止められた。
「ちょいちょい、せっかくこんなにいるんだから遊んでいこうよ!親交会?的な感じで!」
今すぐ無視して帰りたかった。
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