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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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8 エドワード叔父様




 マンションに帰って来たオリビアは上機嫌だった。



「ヒロと行く遊園地決めなくちゃ」



 雑誌を見ながらどこの遊園地にするか考え始める。



(あんまり遠すぎても遊ぶ時間が少なくなるし混雑ばかりする遊園地もイヤよね)



 雑誌だけでなくネットでも遊園地情報を探しているとインターホンが鳴った。



「は~い。誰かしら?」



 日本に来てまだ間もないオリビアのマンションを訪ねる者はほとんどいない。

 カメラのモニターで確認するとやって来たのは叔父のエドワードだった。



「今、開けるわ、エドワード叔父様」



 鍵を開けるとエドワードが部屋に入って来る。



「やあ、オリビア。日本の生活はどうだい? 何か困ったことはないかい?」


「今のところは楽しくやってるわ。エドワード叔父様。適当に座ってください」



 オリビアはエドワードにソファを勧める。



「今、紅茶淹れるわね」


「ああ、すまないね」



 エドワードが紅茶好きだということは知っていた。

 キッチンには高級な紅茶の茶葉が置いてある。

 紅茶を淹れてエドワードに出すとオリビアもソファに座った。



「エドワード叔父様。今日は何か私に御用でしたか?」


「ああ、アラン兄さんから聞いてね。運命の男性に出逢ったそうじゃないか、オリビア」



(お父様ったらエドワード叔父様をお目付け役に寄越したのね)



 自分の父親のやりそうなことだとオリビアは思った。

 父親のアランは自分の異母弟のエドワードのことを信頼している。

 だから浩人のことを調査するようにエドワードに指示した可能性は高い。



(お父様たちが反対しても私はヒロのことを諦めないわ)



「ええ、そうよ。名前は波戸場浩人さん。ヒロが何者かはお父様から情報貰ってるんでしょ? エドワード叔父様」



 オリビアが確信を持って言うとエドワードは僅かに笑った。



「ああ、全て知っているよ。十和麗月会の三次団体の白石組の若頭らしいね」


「お父様からは交際の許可は取ったはずだけど今になってお父様から何か言われて来たの? エドワード叔父様」


「いや、アラン兄さんからはオリビアの相手に相応しい人物か私からも意見が欲しいと言われてね」


「ヒロはとても良い人よ。まあ、喧嘩で人を傷つけたことはあるようだけど。極道なら別に珍しいことではないのではないかしら」



 オリビアの言葉にエドワードは目を細めた。

 オリビアは知っている。「情報」を牛耳っているドレイクヴァロのナンバー2であるエドワードには自分の父親同様に隠し事をしても無駄なことを。



「ほお。喧嘩して人を傷つけたか。それはその波戸場浩人がそう言ったのかな?」


「別にわざわざ言わなくても戦いの中で生きている者は目を見れば分かるわ。そう訓練させたのはお父様たちではなくて?」



 そう。オリビアはただのお金持ちのお嬢様ではない。

 世界最大のマフィア組織ドレイクヴァロの総帥の娘だ。幼い頃から武術や銃の撃ち方を教わり、某国の特殊部隊から戦闘技術も教わっている。


 そしてそう言った戦闘のプロたちは皆同じ目をしている。

 戦いの中で生きている者が持つ特殊な目だ。


 オリビアも子供の頃に何回か敵組織の襲撃を受けて間近で銃撃戦を体験して来た。

 けして平々凡々な平和な世界で生きてきたわけではない。


 なので相手が敵か味方か、危険な人物かそうでない人物かを見抜く目を鍛えられた。

 生き残るためには大事なことなのだ。



「そうだな。オリビアの人を見る目は確かだ。それで彼とはもう付き合っているのかい?」


「ええ。今日からお付き合いが始まったばかりよ。今度遊園地デートに行くの」


「遊園地デートか。いいね。場所は決まったのかい?」


「エドワード叔父様。ヒロとのことは私に任せて欲しいわ。私はこの日本にいる間は自由なはずよ」



(お父様には許可を貰ったんだから口を出さないで欲しいわ)



 オリビアは不満そうな表情を隠さない。



「邪魔するつもりはないよ。だが、彼は君の正体を知らないのだろう?」


「それは……」



 オリビアも最初に偽名を名乗ってしまったのを悔やんでいるがブラックウェルの名前を出せば浩人は決してオリビアと付き合ってくれないと思ったのだ。

 ドレイクヴァロの総帥の娘だとは分からずともブラックウェル貿易会社の名前は有名でブラックウェルと名乗ったら自分の正体がバレる可能性は大きかった。


 その時はまだ浩人が極道だとは思わなかったがもし浩人が一般人であってもブラックウェル貿易会社の社長の一族だと知れば交際することに尻込みしたに違いない。

 それだけブラックウェル貿易会社というのは大企業なのだ。


 ましてや浩人が極道ならブラックウェル一族がドレイクヴァロの総帥の一族であることは裏社会では有名。

 余計に自分から浩人が離れてしまう可能性がある。



「オリビア。波戸場浩人がどんな人物かは分からんが本気なら早めに自分の正体を話しておいた方がいいよ」


「分かってるわよ」



 オリビアの返事の言葉は小さい。

 確かに交際を続けるならいずれは自分の正体を浩人に話さなければならない。


 自分の正体を知っても浩人は交際してくれるだろうか。

 オリビアに不安が過る。


 そんなオリビアの表情を見て元気づけようと思ったのかエドワードは明るい声で話しかけてきた。



「大丈夫さ。彼の方も本気なら身分などたいしたことではない。だから彼の心をガッチリと掴むんだよ」


「応援してくれるの? エドワード叔父様」


「当たり前じゃないか。オリビアの初恋が実ることを祈っているよ。ではお邪魔したね。アラン兄さんにはうまく言っておくから」


「ありがとう! エドワード叔父様」



 オリビアは立ち上がったエドワードに抱きついた。

 父のアランに浩人を認めてもらうためにも味方が多い方がいい。



「可愛い、オリビア。また会いに来るよ」


「待ってるわ。花音叔母様にもよろしくね」


「ああ。伝えておくよ」



 そう言ってエドワードは帰って行く。



(とりあえず今は浩人に私を気に入ってもらうことが先決だわ。私の正体は追々話せばいいし)



 再びオリビアは雑誌とネットを見ながら遊園地デートを成功させるために情報を集め続けた。






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