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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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55/72

55 解かれた誤解




 浩人は目の前の金髪に青い瞳の男性を見た。

 笑みを湛えているその姿は人当りの良さそうな好青年の印象を与える。


 先ほどはオリビアにこの男が恋人じゃないかと問い詰めてしまったが堂々と浩人の前に姿を現すということはオリビアの言ったとおり親戚の人間なのかもしれない。

 だが親戚でも恋人にはなれる。



「ヒロ、レナードは私の父のイトコのジェシカさんの息子さんよ」



 オリビアが浩人に説明する。



「はい。そうです。私はオリビアの親戚でオリビアとは幼馴染ですがあなたの心配しているような恋人ではありません」


「本当に恋人じゃないのか?」


「ええ。私には既に他に恋人がいますし。オリビアの額にキスをしたのは家族に対する親愛の情みたいなもので他意はありません」



 浩人はレナードの説明に自分が誤解していたことにようやく気付く。

 確かにアメリカ人は家族に対してキスをすることはある。

 あの時はスッカリ頭に血が上ってしまってレナードをオリビアの恋人だと思ってしまったがどうやら違っていたみたいだ。



(俺の勘違いか。俺は欧米の文化には疎いからな。勘違いならオリビアにもこの男にも悪いことしちまったな)



「すまん。俺の勘違いだ」



 浩人はそう言ってオリビアとレナードに謝る。



「別にかまいませんよ。日本には家族にキスをするような文化は無いと知っていますからあなたが誤解されても仕方ない」



 レナードは笑顔で浩人を許してくれた。



「ああ。疑って悪かった。レナードさんは日本に住んでるのか?」


「いいえ。日本には仕事の都合でたまたま来ただけです」



 そしてレナードは浩人をジッと見つめる。



(何だ? 何か言いたそうだな)



 浩人がそう思っているとレナードが尋ねてきた。



「波戸場さんはオリビアと結婚するんですか?」


「っ!?」



 レナードの言葉に浩人は思わず胸がドキッとした。


 オリビアとの関係は遊びではない。

 いずれは結婚したいと思っている自分がいることを浩人は自覚してるしオリビアにも結婚の話はしている。

 ただいろいろ問題があるのでそう簡単ではないが。



「いずれはそのつもりで付き合っている」


「そうですか。じゃあ、私とはいずれ仕事仲間になりますね」


「仕事仲間?」


「オリビアと結婚するならあなたにも重要ポストが与えられるでしょうし。これからもよろしくお願いします」


「あ、ああ」



 浩人は重要ポストという意味が分からなかったが返事をする。



(仕事仲間ってことはこの男もマフィアの人間なのか?)



 レナードは見た目では普通のビジネスマンにしか見えない。

 だが着ている服はブランド品だ。金持ちなのは間違いない。


 それに見た目で人は判断できないことを浩人も知っている。

 オリビアの親戚のレナードが裏社会の人間でもおかしくないのだ。



「オリビアもいい恋人を選んだね」


「ありがとう。レナード」



 声をかけられたオリビアはレナードに返事をする。



「私は二人の恋を応援するよ。じゃあ、私は今夜シンガポールに行く飛行機に乗るからまたオリビアとはしばらく会えないけど元気でね」


「まあ、今夜日本を離れるの?」


「うん。銀の大叔母様が待ってるからね。それじゃ、また」


「ええ、銀の大叔母様に会ったらよろしく伝えてね」


「分かったよ」



 オリビアと浩人はレナードを玄関先で見送った。

 そして二人でリビングに戻る。



「疑って悪かったな、オリビア」


「ううん。誤解が解けて良かったわ」


「あのレナードって男もマフィアなのか?」


「そうよ。医師の免許も持っているからお医者様でもあるけど」


「へえ、そうなのか」



(やはりマフィアの男か)



 浩人はオリビアを抱き寄せて唇にキスをする。



「お前のことは誰にも渡さない」


「私はヒロのものよ。未来永劫にね」



 浩人を見つめる緑の瞳はキラキラと輝いている。

 いつ見ても自分の全てが吸い込まれるような綺麗で神秘的で怖いぐらいに自分を魅了する緑の瞳。



「ああ、いつまでも一緒だ。何があっても」



 その瞳を見つめながら浩人はもう一度オリビアにキスをした。





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