46 オリビアの手料理
浩人はリビングでテレビを見ていたが頭の中では別のことを考えていた。
今日はオリビアの誘いを受けてマンションに手料理を食べに来た。
浩人はオリビアへの自分の恋心を自覚している。
(あれから二ヶ月か。早いもんだな)
オリビアと出逢ってからもう二ヶ月が過ぎようとしている。
突然のオリビアからの告白で始まった二人の関係。
最初はオリビアが敵対組織の人間ではないかと疑っていたがいつの間にか自分の心はオリビアを愛するようになった。
白石に言った「オリビアと結婚したい」という言葉は嘘ではない。
(だが、オリビアと結婚するにはいろいろハードル高いんだよなあ……)
浩人はキッチンにいるオリビアをチラリと見る。
ここからでもオリビアの姿は見える。
オリビアは楽しそうに料理を作っていた。
オリビアの正体が何なのか。
最大のハードルはそれだ。
だが白石とも話したがそのことに関してはオリビアが話してくれるまで待とうということになっている。
そしてここ最近のオリビアへの謎の襲撃事件。
浩人も襲撃事件のことを調査したが、なぜか黒幕に辿り着かない。
情報屋もこの事件に関しては関わりたくないらしく金を積んでも情報屋が動いてくれないのもその一因だ。
(でも俺がオリビアを愛すると決めた訳だしな)
以前にオリビアが「自分と結婚するなら父親の会社で働かないといけない」という言葉も浩人の頭痛の種だ。
一度極道の道に入った以上足を洗うのはそう簡単なことではない。
だが白石はオリビアの味方ということもありオリビアと結婚するためという理由なら浩人が極道を辞めることを認めてくれそうな気もする。
しかしある程度の制裁は覚悟せねばなるまい。
それぐらいの覚悟は浩人にもある。
「ヒロ! 食事の準備できたわよ」
そこでオリビアの声が聞こえる。
「ああ。今そっちに行く」
浩人は夕食の準備が出来ているテーブルに来た。
「へえ、肉じゃがか。美味しそうだな」
「肉じゃがはお母様に教わったのよ。さあ、食べましょう!」
「ああ。じゃあいただくとするか」
二人は椅子に座りビールで乾杯をする。
浩人は一口肉じゃがを食べてみる。
「うん。うまい」
「ホント? 良かったわ」
オリビアも笑顔になる。
浩人はふと思った。
こうやって二人でいつまでもいられたら幸せだろうなと。
仕事が終わって帰ってきたら愛妻との食事が待っている。
平凡だがその光景は極道として生きてきた浩人には無縁なものだと思っていた。
だがもしかしたらそれが実現するかもしれない。
自分が最終的に堅気になれなくても自宅でオリビアが自分の帰りを待ってると思うだけで幸せを感じるようになる生活が送れる可能性はある。
そして何よりもいつまでもオリビアの笑顔を見ていたい。
そんな気持ちに浩人は支配された。
夕食が終わりオリビアは食器を片付ける。
浩人も片付けを手伝ってくれた。
「じゃあ、私。先にシャワーを浴びるわね」
「ああ」
浩人がリビングに行くのを確認してオリビアはシャワーを浴びる。
(今夜は初めての夜ですもの。失敗しないようにしなくちゃ)
オリビアはいつもより丹念に体を洗う。
そして寝着に着替えるとシャワールームから出てリビングの浩人に声をかけた。
「ヒロもシャワーをどうぞ」
「分かった。入ってくる」
「私は寝室で待ってるから」
「ああ」
浩人がシャワールームに消えるとオリビアは自分の寝室に入った。
「こういう時って先にベッドに入っているものなのかしら……」
男性経験のないオリビアはどうするのが一番自然なのか分からない。
裸で待ってるのも違うような気がするし。
「二人で寝るんだからベッドにいるべきよね」
オリビアはベッドに腰をかける。
すると急にオリビアは眠気に襲われた。
今日は浩人がマンションに泊りに来るということで昨夜なかなか寝付けずさらに今朝も早く起きてしまったせいだ。
「少し横になるぐらいいいわよね……」
浩人が寝室に来るまでの間少し横になろうとオリビアはベッドに横になった。




