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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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41/72

41 オリビアが欲しい




 浩人は自分の前に座ってるオリビアを見つめる。



「オリビア。お前は誰かに命を狙われる覚えはあるか?」


「……分からないわ」



 オリビアは浩人に嘘をつくのは嫌だったがこればかりは仕方ない。

 それに「分からない」というのは完全な嘘ではない。


 オリビアの命を狙ったということはドレイクヴァロの敵組織という可能性が高いがドレイクヴァロの敵組織など世界中にいるのでどの組織が狙ったのかはオリビアも「分からない」のだ。

 だがそんなことは浩人には言えない。


 まだ浩人に自分は好きと言ってもらってない。

 それなのにオリビアの正体を明かしたら浩人は自分から離れてしまうような気がする。


 裏社会に生きていてドレイクヴァロの名前を聞けば大抵の者は尻込みしてしまうのが現実だ。

 浩人がドレイクヴァロの総帥の娘だと知ってもオリビアと一緒にいたいと思ってくれるまでオリビアの正体を明かす訳にはいかない。


 もちろん襲って来たのが誰かは知らないが襲って来た人物を撃った人間には心当たりがある。

 銃声よりも銃弾の方が先に標的を倒したということはそれだけ離れたところから狙った狙撃だったということだ。


 それだけの腕を持つスナイパーとなるとおそらくエドワードの直属護衛チームのコンドルのスナイパーだろう。



「そうか。分かった。今日は買い出しは中止だ。京介、オリビアをマンションまで送って行け」


「え? 俺がですか、兄貴」


「そうだ。ちゃんと部屋に入るところまで確認しろよ」


「分かりました。兄貴。必ずオリビアさんを無事に送り届けます」


「ヒロ……」


「オリビア。心配するな。ハロウィンパーティーはちゃんとやってやるから」



 浩人はニコリとオリビアに笑みを見せる。



「うん。じゃあ、今日は帰るわ」



 オリビアは京介と組事務所を出て行った。



「浩人。何があったんだ?」



 それまで黙っていた白石が浩人に尋ねた。

 浩人は先ほどあったことを白石に話す。



「銃声よりも銃弾の方が先に標的にヒットしたってことはかなり腕のいいスナイパーの仕業です」


「なるほど。そうだろうな」


「そして今回のことで狙われてるのは俺ではなくオリビアということが分かりました」


「なぜオリビアが狙われるのだ?」



 白石は難しい顔をしながら浩人に尋ねる。



「元々、オリビアの正体については不審な点があるんです」



 浩人は白石にオリビアと出会った時からの出来事を話した。

 オリビアの正体を探ろうにも情報屋が姿を消してしまう話もする。



「オリビアが何者か気にはなるな」


「はい。でも二つハッキリしたことが分かっています」


「何だ?」


「オリビアの命を狙っている者がいるということとオリビアを守っている者がいるということです」


「なるほど。オリビアが襲う者とその者を始末した者か」


「はい。どこの誰かは分かりませんが……」



 浩人はオリビアが自分の正体を言ってくれないことに苛立ちを覚え始めていた。

 オリビアが何者か分かれば対処のしようもあるというのに。


 そんな苛立ちを見せる浩人に白石は静かに声をかける。



「なあ、浩人」


「はい」


「お前はオリビアのことをどう思ってる?」


「オリビアのことをですか?」


「そうだ。オリビアの正体についてあれこれ想像する前にお前はオリビア個人をどう思ってるんだ?」



 白石の表情は真剣そのものだ。

 浩人はオリビアと出会ってからのことを振り返って思い出した。


 あれほど怪しんでいた存在なのに今は自分の心を支配しているのはあの緑の瞳が美しい娘。

 もしオリビアを失うことがあったら……。


 そう想像しただけで浩人は恐怖を感じた。

 それと同時に自覚する。自分はオリビアを愛していることをもう誤魔化せない。



「俺は……オリビアのことが好きです。できれば結婚したいと思うほどに」



 極道の自分と結婚してもオリビアは苦労するだろう。

 それでも「欲しい」と自分の心が訴えかけてくる。



「なら、オリビアのことを信じてやろうじゃないか」


「信じる?」


「オリビアには自分の正体を明かせない理由があるんだろうよ。だが本気で浩人と所帯を持ちたいと思ったらきっとその時はオリビアは自分の正体を明かしてくれるだろう」



 白石はニヤリと笑う。



「組長……」


「それにオリビアは私の「同志」でな。同志とは志を同じくする仲間だ。お前は私に仲間も守れない漢だと思っているのか? 浩人」


「いえ。とんでもありません」


「オリビアが狙われているというのなら白石組が守ってやろうじゃねえか」


「しかしそれでは組長に迷惑が」


「浩人。オリビアはお前たち同様私の子供だ。子供の面倒を見るのは親の仕事だ」


「組長……」


「だからてめえも腹くくって好きな女を守れ」


「ありがとうございます。組長」



 浩人は白石に頭を下げる。



(そうだ。オリビアが狙われているなら守ってやればいい)



「さあ。ハロウィンパーティーは何が何でも成功させるぞ。オリビアのためにもな」


「はい!」



 浩人は笑みを浮かべた。




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