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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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40/72

40 狙撃された踊り子




 浩人は組事務所で京介たちからの調査報告を聞いていた。



「兄貴。白石組を狙いそうな組に探りを入れてみたんですがどうも兄貴を狙った証拠がハッキリしなくて。すみません」



 京介は浩人に頭を下げる。



(俺を狙ったんじゃないのか?)



「京介。ご苦労だったな。一応組の守りは強化しておいてくれ」


「分かりやした。兄貴」



 京介たちが部屋を出て行くと浩人はソファに座ったまま思案する。



(あの時はオリビアがいた。まさかオリビアを狙ったのか? でもなぜ?)



 浩人は自分が狙われたのでなければオリビアを狙った可能性もあると考えた。


 だがただの金持ちの女子大生の命を狙う必要があるのだろうか。

 もしオリビアが誘拐されたのであれば金持ちの娘を攫って身代金要求目的のことも考えられるがその場合オリビアを殺してしまっては意味がない。



(オリビアが殺されるほど誰かに恨まれているとか?)



 そうも考えたが浩人は首を振る。


 オリビアは世間のことに疎い世間知らずなところがあるが殺されるほど人に恨まれるような性格ではない。浩人の直感がそう告げる。

 だがそうするとオリビアが命を狙われる理由が分からない。



(それともやはり俺を狙った組織がどこかにいるのか……)



 浩人があれこれ考えてると組事務所に明るい声が響き渡った。



「皆さん、こんにちは! ヒロはいる?」


「あ、オリビアさん」



 京介たちがオリビアを迎える声が聞こえる。



(あの馬鹿。本当に来やがった)



 浩人は奥の部屋から出て来た。



「あ、ヒロ! 今日はハロウィンパーティーの買い出しに行きましょ?」


「オリビア……お前、命が危なかったこと忘れたのか?」


「あら、忘れてないわよ。こういう時はぱあっとパーティーでもして悪い記憶は忘れた方がいいのよ」


「あのなあ……」



 浩人は頭を抱える。

 死ぬかもしれない思いをしたとは思えない明るいオリビアの笑顔に思わず脱力してしまう浩人だ。



(天然もここまでいくと天然記念物並みだな)



 溜息を吐く浩人にオリビアは笑顔で声をかける。



「人間いつ死ぬか分からないからこそ楽しいことを一つでも多く経験しなくちゃ」



 なぜかそう話すオリビアの言葉に浩人は妙な重みを感じ取った。

 まるでいつでも死ぬ覚悟はできているような人間のように感じる。



(この女はいったい何なんだ? だが自殺を考えている感じではないし。むしろ悔いの残らないように毎日を生きるって感じだが)



「お前のその前向き過ぎる生き方には尊敬するがしばらくは大人しくしていた方が身のためだぞ」



 諭すように浩人が発言すると白石が現れた。



「いいじゃないか。浩人。オリビアと買い出しに行って来い」


「組長」


「どうせ犯人が分からず手詰まりなんだろ? お前が動けばまた相手も動くかもしれん」



 白石の目は真剣だった。

 浩人はハッと息を吞む。



(確かに親父の言う通りかもしれねえ。逆に敵をおびき出すか。オリビアを危険な目に合わせるのは気が引けるが)



 だがこのままでは浩人を狙った犯人は分からないのも事実だ。

 浩人は腹を括る。



「分かりました。買い出しに行ってきます」


「じゃあ、ヒロ。行きましょう」



 浩人とオリビアは一緒に組事務所を出た。



「それでどこまで買い出しに行くんだ?」


「近くのショッピングセンターよ。ハロウィングッズがいっぱい売ってるの」


「そうか。じゃあ、荷物持ちに京介も連れて行くか。ちょっと待ってろ、オリビア」



 そう言って浩人は組事務所に戻ろうと振り返った。

 浩人たちの後ろにはスーツ姿の若い女が歩いている。


 浩人はその女の横を通り抜けようとした時に背中がゾクリとした。


 とっさに振り返り女を見ると女はナイフを手にオリビアに向かって行くところだった。

 オリビアは女とは別の方を見ていて女のナイフに気付いていない。



「オリビア!!」



 浩人は慌ててオリビアの方に戻ろうとするが女の動きの方が早い。



(やばい! られる! オリビア!)



 浩人が声にならない叫びを上げた瞬間ナイフを持った女がバタリと倒れた。



「え!?」



 ズダアアアアーーーーン!!



 次の瞬間銃声が鳴り響いた。

 オリビアも浩人も反射的に身を屈める。


 次の銃声は聞こえない。

 浩人は急いで倒れた女を確認すると頭を銃弾で撃ち抜かれていた。



「ヒロ!? 大丈夫!?」



 オリビアが近づいてくる。



「オリビア。見るな。それより急いで組事務所に戻るぞ」


「分かったわ」



 浩人はオリビアの手を引っ張りながら組事務所に戻った。







「標的は始末しました」



 リオンはメイソンに報告する。

 メイソンは双眼鏡で標的の「踊り子」が死んだのを確認した。



「相変わらず見事な腕前だな。リオン」



 リオンはエドワードの直属護衛チームコンドルのスナイパーを務める男だ。

 このビルの屋上から標的までおよそ1800mの距離があったがリオンは難なく標的の殺し屋を始末した。

 エドワードからの命令を受けてオリビアを狙った「踊り子」という殺し屋が次に組事務所の周辺で襲撃するという情報を掴み見張っていたのだ。



「オリビア様にはケガはないようだな」



 メイソンも笑みを浮かべる。

 コンドルはエドワードの護衛以外でも命令されればいろんな任務をこなす。

 今回はなるべく波戸場浩人たちにはドレイクヴァロが関係していると気付かれないように始末せよとの命令を受けていたので遠くからの狙撃の方法を選んだのだ。



「これでエドワード様も安心されるだろう」



 リオンとメイソンはエドワードに報告すべくビルの屋上から姿を消した。




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