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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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4 運命の人




(何なんだ、この女は?)



 浩人は何度目かになる溜息をついた。

 場所はN女子大の近くのファミレスだ。


 突然のオリビアの浩人に対する告白で浩人の思考は固まった。

 そして頭のおかしな女なのだろうと考え無視して車に戻ろうとするとオリビアがガシッと浩人の右腕を掴んだ。


 振り払おうとしてもオリビアはしっかりと浩人の腕を掴んで離さない。



「離せ!」


「嫌です!」



 浩人とオリビアは押し問答になってどちらも引かない。

 そこで京介が気を利かして「とりあえず近くのファミレスで話をしませんか?」と言って今に至るのである。


 浩人の前の席にはオリビアがいて浩人の隣には京介がいる。



「だから俺は付き合うことはできないってさっきから言ってるだろ?」



 浩人も落ち着きを取り戻してオリビアと名乗った女性に言う。



「でも私は浩人さんを見た瞬間に運命の人だと思いました」



(この女は頭がおかしいに違いねぇ)



 浩人たちはスーツを着ているが普通のサラリーマンじゃないことは一目瞭然だ。

 その浩人に初対面で「付き合って欲しい」という女は今まで会ったことはない。



「付き合えない理由を教えてください」



 オリビアは緑の瞳でジッと浩人を見る。

 その緑の瞳で見られると浩人の心も騒めくが浩人は感情を殺してオリビアに言う。



「俺は極道だ。一般人とは付き合えない」


「極道?」


「そうだ。う~んと外国だとマフィアみたいなモノだ」



 浩人がそう答えるとオリビアは怖気づくどころか笑顔を見せる。



「そんなの付き合えない理由にはなりません。マフィアの人間だって一般人と付き合う人はいますよ」



 オリビアは一歩も引く気を見せない。



「極道ってのは時に人殺しもするし、女だって遊びで抱く奴も多い。俺に遊ばれたいのか?」



 浩人がわざと低い声で脅すように言ってもオリビアは動じない。



「浩人さんは女性を弄ぶ方ではないと思います。それに私はアメリカから来たので近所で殺人事件なんて普通に起こってましたよ」


「うっ!」



 浩人はオリビアの観察眼と度胸に舌をまく。

 確かに浩人は女を遊びで抱くことはない。昔、付き合った女はいたがその時は真剣に付き合っていた。


 だがその女も抗争に巻き込まれて怪我を負い浩人の前から姿を消した。

 浩人もその方が彼女のためだと思い追うことはしなかった。


 それから浩人は女と付き合っていない。



「オリビアだって俺と付き合って死にたくないだろう?」


「今、名前呼んでくれましたね?浩人さんに名前を呼ばれると嬉しいです」


「いや、そういうことじゃなくてな」



 浩人は頭を抱える。



「それに私は古武術も習っているのでその辺の女性より強いですよ」



 先ほど自分の腕にしがみついて離れなかったオリビアを浩人は思い出した。



(古武術やってるから力が強かったのか)



 浩人がなかなかオリビアを振りほどけなかった理由が分かった。



「兄貴はオリビアさんを危険に晒したくないんですよ。ね?兄貴」



 京介が口を挟んでくるが浩人は無言を通す。



「日本はアメリカより治安が良いと聞きましたが」


「いや、だから日本にも裏社会ってもんがあってな。オリビアなんて見た目がいいから人身売買の組織に売られるぞ」


「私の見た目がいいって言ってくれましたね?良かったあ。浩人さんの目に止まるぐらいの美貌で」



 オリビアはニコリと笑う。



(くそ! 全然話が嚙み合わねえ!)



 浩人はオリビアの言葉に思わず天を仰ぐ。


 これが普通の女だったら鼻で笑ってやるところだがオリビアは美人だ。

 文句のつけようがないのも浩人をイライラさせる。



(こいつの説得はこいつの親に任せるか)



 オリビアに散々言っても無駄ならオリビアの家族から自分との付き合いを諦めるように説得してもらった方が楽だ。



「とにかく今日は自宅に送ってやるから親とよく相談しろ」


「親が許してくれたら浩人さんは私と付き合ってくれますか?」


「ああ。付き合ってやるよ」



 浩人は極道と娘が付き合うのを許す親はいないと判断してオリビアと約束する。



「分かりました。家に帰ったら親に聞いてみます」


「よし。じゃあ、送って行くから」



 浩人たちはファミレスを出るとオリビアを車に乗せてオリビアのマンションまで送ってくれた。

 そこは一目で高級マンションと分かるマンションだ。



「ここに住んでるのか?」


「はい。ここの最上階です」


「そうか」



 浩人はオリビアは金持ちの娘で世間知らずなのだと考えた。

 だから極道の怖さを知らないのだろう。


 きっと両親がオリビアを説得するに違いない。

 浩人はオリビアを降ろして車を発進させる。



「兄貴。あんな約束していいですか?」


「約束?」


「両親が許可したら付き合うって」


「両親が許可するわけないだろ」


「それもそうですね」



 浩人と京介は組事務所に向かって車を走らせていたが浩人の脳裏にオリビアの緑の瞳がちらついた。



「……クソ」



 浩人は小さく呟いた。



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