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ドレイクヴァロの娘~極道の男はマフィアの娘に囚われ堕ちていく~  作者: リラックス夢土


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14 兄の心配




 遊園地デートが終わり夕方に浩人はオリビアをマンションまで送って行った。



「ありがとう、ヒロ。今日は楽しかったわ。またね」


「ああ、気をつけてな」



 浩人がそう言うがオリビアは車を降りない。



「どうかしたか?」



 浩人が訊くとオリビアは意味深な顔で答える。



「おやすみのキスは?」


「は?」


「だからおやすみのキスよ」



 そう言ってオリビアの方から身を乗り出して浩人にキスをする。

 唇が触れるだけのキスだが浩人は心臓がドキンと高鳴った。



「じゃあね!」



 何事もなかったように浩人にキスをしてオリビアは車を降りる。



(落ち着け、俺。アメリカ人なんてキスは挨拶代わりのはずだ)



 遊園地では浩人からキスをしてしまった手前オリビアに自分にキスをするなとは言えない。

 動揺する気持ちを抑えて浩人は車を走らせ組事務所に向かう。

 今日は急ぎの用事はなかったはずだが一日一度は組事務所に顔を出した方がいい。



(しかし、俺が遊園地デートとはな。さすがに京介に話したら笑うだろうな)



 浩人は自分の舎弟の京介の顔を思い出す。

 京介もまさかオリビアとのデートで浩人が遊園地に行ったなんて想像しないだろう。



(だけど、どうして俺からキスをしちまったんだ?)



 遊園地で自分からオリビアにキスをした時のことを思い出すが自分でも信じられない。

 オリビアの緑の瞳を見たらキスをしたい衝動に抗えなかった。



(まるで魔性の瞳だな)



 あの緑の瞳には魔力か何かあるのではと疑いたくなってくる。



(まさか。ファンタジー小説じゃあるまいし。あの女はただの女だ)



 だがそのただの女が浩人の脳裏から離れない。



「……クソ」



 浩人自身も自分の気持ちに困惑しながら車を組事務所に走らせた。








 一方、オリビアは上機嫌だった。

 遊園地がこんなに楽しいものだったなんて初めて知った。



「お父様に遊園地が欲しいって言ってみようかしら」



 オリビアは自分のマンションの玄関を開けながら呟く。



「でもお父様に頼ってばかりじゃ怒られてしまうわね。ルーカス兄さんは喜んで遊園地を買ってくれそうだけど」



 ドレイクヴァロの中で兄のルーカスは父の双頭の鷲の後継者として「双頭のはやぶさ」と名乗り仕事をしているがオリビアにはとても甘い兄である。

 遊園地が欲しいなんて言ったら喜んでオリビア専用の遊園地を用意するだろう。

 ドレイクヴァロの資金力は底なし沼のように凄い。

 金で買えるものは何でも手に入る。


 しかし、両親は無駄遣いを禁止している。特に母親が。

 父親のアランはお金を使うことに何とも思ってないが母親のひかりは日本人で金銭感覚がしっかりしているのでいつも父親のアランに対しても子供たちに対しても無駄遣いをするなと言っていた。

 娘の自分が言うのもなんだが父親は母親を溺愛していていつも母親に高価なプレゼントをしては母親に怒られていたような人物だ。


 その血を引いたのか兄のルーカスもオリビアのためなら何でも買ってくれる。

 そしていつも母親に怒られていた。


 もう一人の兄のマテオは母親に似たのか金銭感覚はしっかりしている。ちなみにマテオはドレイクヴァロの中では「双頭のふくろう」と呼ばれている。

 ルーカスとマテオは双子だが性格はだいぶ違うのだ。


 オリビアも自分ではまともな金銭感覚だと思っている。

 母親には「オリビアもアランに似たのね」と言われてしまうが。


 でも今日楽しかったのは浩人と遊園地に行ったからだ。

 遊園地を買って一人で遊んでもつまらないだろう。



「ヒロとキスもできたし本当に恋人同士のデートよね」



 オリビアは浩人とのキスを思い出しうっとりとなる。


 そこへパソコンがピピピッと音を立てる。

 誰かからの通信が入ったのだ。



「誰かしら?」



 オリビアがパソコンを開くと黒髪に黒い瞳の若い男性の姿が映し出される。



「ルーカス兄様。どうかしたの?」


「どうかしたのじゃないよ! オリビアが変な男と付き合ってるって父さんに聞いてさ」


「あら、変な男じゃないわよ。ヒロはとても良い人よ」



 オリビアはムッとしながら答える。



「でも極道だって聞いたよ」


「それはそうだけど、双頭の朱雀おじ様だって極道じゃない」


「双頭の朱雀は特別だよ。普通の極道は危険な男が多いんだよ。俺はオリビアが心配で」



 ルーカスは涙を浮かべているように見える。

 兄の過剰なまでの反応にオリビアは呆れてしまう。



「心配し過ぎよ。ルーカス兄様。ヒロは仕事もできるちゃんとした極道よ」


「オリビア、分ってると思うけど、オリビアの相手は将来ドレイクヴァロで働かないとなんだからね?」


「そんなの言われなくても分かってるわ。ヒロには折を見て話すつもりよ」


「もしかしてオリビアの正体を話してないの?」



 ルーカスに突っ込まれてオリビアは視線を外す。



「まだ言ってないわ。でもいずれちゃんと話すから」


「オリビア。遊びで付き合ってるわけじゃないよね?」


「当たり前よ。真剣にヒロとは付き合ってるわ。話がそれだけなら通信切るわよ」


「わ、待ってよ! オリビア」



 オリビアはルーカスとの通信を強引に切った。



「まったくルーカス兄様は心配性なんだから」



 オリビアは夕飯を作るべくキッチンに向かった。






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