表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第三章 聖女アンリーシェvs悪女チェリシア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/116

83 声の正体

ギオバートは椅子に座り、頬杖をついたままチェリシアに尋ねた。



「それで、今日はどんな用でここへ?」

「じ、実は……」



彼の刺すような視線を受けながらも、彼女は勇気を出して口を開いた。



「最近、頻繁に現れる謎の声に悩まされていまして」

「謎の声……?」



チェリシアはギオバートに詳しい経緯を説明した。



ギオバートは黙ったまま、チェリシアの話を聞いていた。

表情を一切変えないため、何を考えているのかは見当がつかない。



全て話し終えたあと、ギオバートが心当たりがあるかのように呟いた。



「謎の声……か。もしや、だいぶ前からその声が聞こえていたのではないか?」



見事に言い当てられたチェリシアは、思わず前のめりになった。



「そ、その通りです!酷くなったのは最近ですが、聞こえ始めたのはかなり前からでした」

「やはりな」



ギオバートは何かを確信したようで、手元の書物に視線を落とした。

一言も発さないまま、そのページをじっくりと読んでいる。



(何かわかったのかしら……?)



チェリシアはやっと解決策が見つかったのか、と期待に胸を躍らせた。

しばらくして、彼の口から飛び出したのは予想外の言葉だった。



「――それはおそらく、死者の声だな」

「し、死者……?」



死者、シシャ、つまり死んだ人のこと。

既に亡くなった人が私にこんなにも纏わりついているというのか。

そのことを考えると、チェリシアは卒倒しそうになった。



一気に顔が青くなった彼女に、ギオバートが声をかけた。



「令嬢、落ち着け。お前に話しかけている死者はおそらく悪意のあるものではないから安心するといい」

「ほ、本当ですか……?」

「ああ、お前の話を聞く限り……その死者はお前に何か伝えたいことがあるのではないか?」

「伝えたいこと……?」



ギオバートに言われてチェリシアは考えてみたが、皆目見当もつかない。



(一体、誰が私に伝えたいことなんて……)



既に亡くなっているということは、前世で絡んだ人間か。

しかし、前世でもチェリシアはあまり交友関係が広いわけではなかった。



「そういえば、つい最近になって夢以外でも現れるようになったと言っていたな」

「はい、前は夢の世界でだけだったのですが……」



ギオバートは続けて尋ねた。



「最近、何か変化はなかったか?」

「変化とは……?」

「例えば、新しく何かに挑戦してみたとか」



その問いかけで、チェリシアはあることを思い出した。

幻聴が酷くなる前に使った”あの物”。



「関係があるかはわかりませんが……最近、時空の杖を使ったんです」

「……時空の杖だと?」



彼の目が鋭くなった。

何故一貴族の令嬢であるお前がそんなものを持っているんだ、違法に手に入れたのではないかとでも言いたそうなその瞳に、チェリシアは慌てて弁解をした。



「わ、私が手に入れたわけではないんです。知り合いに貰って……」

「……そういえば、ロクサーヌ令嬢はレイド第二皇子の婚約者だったな」



彼女は何度も首を縦に振った。

ギオバートはチェリシアへの疑いが晴れたのか、表情を戻した。



「あの日、部下が嬉しそうに報告していたよ。チャリティーパーティーのオークションで面白いものが見れたとな」

「面白いもの……?」



そういえば、あの催しに参加していたアルセリアも似たようなことを言っていたような気がする。

あのときは詳しく聞けなかったが……そこまで言われると気になるものだ。



「一体何があったのですか?」



チェリシアが尋ねると、彼は衝撃的なことを口にした。



「――あの日、神殿は落札者に本物の杖を渡す気なんてさらさら無かったんだ」

「ほ、本物を渡す気がない……!?それはどういう……」



サラッと口にするには、あまりにも重い内容だった。

ギオバートはそこまで大事でもないだろう、とでも言いたそうに彼女を見つめていた。



(し、神殿ってそこまでしてたわけ!?ということは、今まで神殿から落札されたものも全て偽物……!?)



しかし、チェリシアが持っている時空の杖は間違いなく本物だった。

理解が追い付いていない彼女に、彼は説明を加えた。



「ああ、参加者たちの前に出された杖は本物だ。私の部下が直接確認しているから間違いない。しかし、あくまでそれは観賞用であり、本物だと信じ込ませるためのものだ」

「と、いうことは……」



その先は、チェリシアでも難なく想像が付いた。



「そうだ、本物を見せるだけ見せておいて落札者には精巧に偽造されたものを渡す――神殿がオークションでよくやる手口の一つだ」

「……そんなことまで」



チェリシアは神殿のさらなる悪事に驚愕した。

それはれっきとした詐欺ではないか。詐欺事件を担当するはずの神殿が詐欺を行っているだなんて。



「特に杖系は何か見た目に特徴があるわけでもないから、偽造するのが楽なんだ。実際、その手のプロはたくさんいるからな」

「しかし、魔道具はバレてしまうのではありませんか?効果が何も無ければ……」

「そのときは本人の魔力が足りないせいだとか資質が無いのだとか適当なことを言って誤魔化すつもりだったんだろう」



ギオバートは驚きで口をポカンと開けたチェリシアをよそに、話し続けた。



「レイド殿下に対しても、いつものように偽物を渡す気だっただろう……だが、あの方はそのことを事前に読んでいたようだ」



時空の杖の落札者がレイドに決まったそのとき、彼は突然客席から壇上に降り立った。

そして、握りしめた拳で杖の入れられたショーケースを粉々に割ったのだ。



突然の出来事に、参加者たちも神官も魔術師でさえも驚きを隠しきれなかった。

彼は中から時空の杖を取り出すと、それを高く掲げた。



『俺が落札したんだから……もう貰ってもいいよな?』



彼は杖をクルッと手で一周回すと、そのまま何事も無かったかのように外へ出て行った。

赤いマントを翻して出て行くその姿はまるで、お宝を手に入れた勇者のようだった。



「神官たちは皆呆然としたままレイド殿下を見つめていたよ……部下に至ってはいつも偉そうにふんぞり返ってる神殿の情けない顔に、胸がすいたと言っていた」

「レ、レイド殿下がそんなことを……」



もはやダークヒーローじゃねえか。




いつも読んでくださってありがとうございます!


ブクマ、評価、いいねなどしていただけたら励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ