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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第二章 皇子との婚約からの家族とさよならします!

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67 オークション

チェリシアとアンリーシェが地下室から脱出した頃、神殿内ではオークションが開催されていた。



「リシアったら、結局来なかったわね……」



彼女を待っていたアルセリアは、一人でオークション会場の席に座っていた。

せっかくなら友人であるチェリシアと二人で見たいと思っていたが、彼女は最後までやってこなかった。



「オークションが始まってしまったわ……」



アルセリアは会場の後ろの方にある椅子で、貴族たちの様子をじっと見守っていた。

壇上に上がったのは神官の一人で、彼は挨拶を始めた。



「――では、これより寄付金のためのオークションを開催します」



その一言で、貴族たちの目の色が変わった。

さっきまで和気あいあいと談笑していた彼らだったが、今は全員が敵同士である。



「それでは、最初の商品です!」



その声と同時に、壇上に美しい首飾りが運ばれてきた。



オークションが始まって最初に出品されたのは、数百年前に実在したアレクサンドラ皇后の首飾りだった。

アレクサンドラ皇后といえば、皇帝に深く寵愛された絶世の美姫として深く歴史に名を残す女性である。

そんな彼女が実際に身に着けていたものとなれば、国宝レベルに貴重な品だろう。

ただのネックレスとは、明らかに違う。



「当時の皇帝陛下が愛する皇后陛下に授けた貴重な首飾りです!」

「ほ、本物なのか……?」



こんなに貴重なものを、逃すわけにはいかない。

貴族たちは躍起になって札を上げた。



(今回のオークションは何だか、以前よりもレベルが高いわね……)



競売に参加することなく静かに見守っていたアルセリアは、前回のオークションとの差に驚いた。

時空の杖に然り、前はここまでの物は出てこなかったからだ。



「五百ゴールドが出ました。他にはいらっしゃいませんか?」

「……」

「アレクサンドラ皇后の首飾り、五百ゴールドで落札されました!」



会場に拍手が鳴り響いた。

落札者はつい最近まで平民の成り上がり男爵だった。



(ネックレス一つに五百ゴールドとはね……)



彼は貴族ではなかったから、物の価値を正確に知らないのだろう。

アルセリアなら、絶対にそんな額は出さない。



「――第九代皇帝の愛剣プレンツェル、千八百ゴールドで落札されました!」



オークションは続き、次々に貴重な品物が落札されていった。

一体どうやってそんなものたちを手に入れたのか、アルセリアは神殿への疑いを深めずにはいられなかった。



(やっぱり、何か違法なことをしているんじゃないかしら?)



アルセリアは壇上に立つ司会者の神官をじっと見つめた。

服装からして、あの男はきっと神官長だろう。彼はニヤッ……と笑みを深めると、一際声を張り上げた。



「――続いての商品は……今回の大目玉です」

「……!」



会場の雰囲気がガラリと変わり、その場に緊張感が走った。

アルセリアは直感で来る、と感じた。この場にいる全員が、待ち望んでいたもの。



「――約千年前、時空を司る神が人間との戦いの際に地上に落としていったとされる伝説の杖……」



前置きの中、壇上にある物がケースに厳重に保管された状態で運ばれてきた。

アルセリアはケースの中で不思議なオーラを放つそれに、釘付けになった。

何故か、目を離せなくなった。



「あれが……」



不思議なことに、会場にいる全員が彼女と同じ状況に陥っていた。

アルセリアは何て神秘的で美しいのだろうと、最も遠い席でありながらもそう感じた。



「――時空の杖。正真正銘本物です。それを証明するため、皇立魔術師の方をお呼びしました」



その声で、奥からローブに身を包んだ魔術師が現れた。

背中に羽織ったマントから、皇家に仕える者だということが明白だ。

皇宮に仕える魔術師は皆一流で、杖が本物だという証人としては適任である。



神官がショーケースから杖を取り出すと、魔術師に手渡した。

彼は杖の至るところを手で触りながら、何度も確認した。



「ええ、この杖は正真正銘時空の杖です。この私が言うのですから、間違いありません」

「名にかけて誓いますか?」

「はい、誓います」



名の誓いは貴族にとって重要な意味を持つもの。

貴族である招待客たちが、そのことを知らないわけがない。



(今回はかなり荒れそうね……まぁ、そのおかげでなかなか面白いものが見れそうだけど)



アルセリアはフフッと笑みを漏らした。



「――それでは、時空の杖の競売を始めます!開始価格は千ゴールドからです!」



貴族たちは目をギラつかせ、躍起になって札を上げた。



「二千!」

「三千!」



千単位で額が上がっていくオークションなど、アルセリアは初めて見た。

貴族たちがここまで必死になっているところなんて、滅多に見れるものではない。

アルセリアは面白そうに貴族たちの争いを眺めていた。望むもののために、公衆の面前でそれほど躍起になるだなんて。何とも醜い争いである。



「――五千ゴールドだ!」



あっという間に跳ね上がり、額は五千ゴールドまで上った。

五千ゴールドといえば、一般的な貴族の全財産に相当する額だ。この世の大半の貴族は手も足も出ず、ここで断念してしまうだろう。



しかしそれでもなお、この戦いが終わることはなかった。



――「一万ゴールド出す」



突如として会場に響き渡った声に、貴族たちが一斉に注目した。

貴族の全財産の二倍に相当する額。そんな大金を一括で出すというのだから、驚くのも当然だ。



(一万ゴールド……?一体どこの大富豪が……)



アルセリアが振り返ると、そこにいたのは……



「ステイン殿下……?」



声を上げたのは何とステインだった。

しばらく競売を眺めているだけだったステインが、突然参加の意を示したのだ。

彼の挙げた札にはしっかりと一万と書かれている。



「ステイン殿下……一万だなんて……」

「チッ……そんなに出せねぇよ……」



全ての貴族が負けを悟ったそのとき、今度は別の場所から声が響き渡った。



「――なら俺は十万ゴールド出そう」

「な、何だと……!?」



ステインが顔を歪ませ、貴族たちの視線がその人物に集中する。

アルセリアも視線を移し、そのヒーローの姿をしかと目に焼き付けた。

そこにいたのは……



(あ、あの人は……!)




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