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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第二章 皇子との婚約からの家族とさよならします!

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66 事件解決

アンリーシェの命により、床に転がっていた神殿長は捕縛され、少女たちは檻の中から救出された。

彼女たちは全員が聖女候補であり、アンリーシェの知り合いだった。



彼女たちは虚ろな目をしたまま、一連の事件の被害者として騎士たちに連れて行かれた。

中には自力で歩くことができず、抱え上げられた者までいる。



そして、ルチアナの番となった。

彼女は上着を着ていた服の上から羽織った状態で、アンリーシェにチラリと視線を向けた。



「アンリーシェ……ごめんなさい」

「……」



彼女は言葉を返すことは無く、地下から出て行くルチアナを見送った。



「リーシェ、怪我はありませんか?」

「ええ、私は平気ですよ。もししていたとしても、私ならすぐに治せますから」



アンリーシェは聖女として徐々に光魔法を使えるようになっている。

そんな彼女であれば、軽い傷くらいなら一瞬で治癒してしまうだろう。



アンリーシェは着ていたドレスの裾や胸元を整えた。



「聖女様、ステイン殿下がご心配なさっていました」

「ステイン殿下が……?そうですね、後で向かいます」



アンリーシェは焦りを見せることなく、毅然とした態度でそう口にした。



(……何だか前に見たときとステインへの対応が違うような?)



前は彼を深く愛しているという気持ちが垣間見えるほどだったが、今はやけに他人行儀だった。

――まるで、別人に接しているかのようだった。



チェリシアはそんな彼女に一歩近付いた。



「……アンリーシェ、私の我儘に付き合ってくださってありがとうございます」

「ご無事で何よりです」



今回、チェリシアはほとんど何もしていない。

ここまで来れたのも、少女たちを助けられたのも全てアンリーシェが彼女に同行したおかげだった。



(……だけど、どうして地下室への行き方をあんなにも詳しく知っていたのかしら?)



じっと考え込んでいたチェリシアに、アンリーシェが声をかけた。



「――チェリシア、何をしているんですか?早く地上に上がりましょう」

「え、ええ!そうですね!」



こんな暗闇に一人置いて行かれるわけにはいかない。

チェリシアは慌てて前を歩くアンリーシェについて行った。



外へ出ると、近衛騎士が神官たちと何やら言い争いをしていた。



「あ、あなたたちは一体何なのですか!突然ここへやって来たかと思えば、神殿長様をそのような姿にするなんて……!」

「我々は第一皇子ステイン殿下の命を受けてここに来たのです」

「ステイン殿下だと……?」



いくら神殿が絶大な権力を誇っているとはいえ、皇族の名を出されたら彼らは素直に従うほかなかった。

なかなか引き下がらない神官に、騎士が剣を抜いた。



「――もしこの道を妨げるというのなら、皇族への反逆罪としてあなたがたを斬り捨てます」

「ッ……」



その言葉でようやく道を開け、大人しくなった。

チェリシアはそんな彼らを問い質した。



「あなたたちは、神殿長のやってること知ってて何も言わなかったんですか?」

「……」



彼らは俯いたまま、一切口を開かなかった。



その反応で、チェリシアは確信した。

神官たちも今回の一件を知っていて、黙認していたのだ。



(まったく、まともな人間がいないのね……)



誰か一人くらい声を上げる人間がいたのなら、ここまでの犠牲者は出なかっただろう。

彼女たちが被害に遭うことも無かったかもしれない。



「自分たちが助かるとは思わないことね」

「……」



チェリシアが耳元で囁いたその一言で、神官たちは青ざめた。いくら神殿長が恐ろしかったとはいえ、傍観も立派な罪だろう。



チェリシアは神殿の一階にある窓から見える外の景色を眺めた。

地下室に入る前はオレンジ色だった空が、今では真っ暗になっている。



「もうすっかり夜なんですね」

「ええ……会場ではオークションが始まっている頃でしょう」



夜からは、貴族たちのお待ちかねオークションの開催だ。

とはいっても、チェリシアは時空の杖になど興味はないので関係が無い。



「オークションが始まってるんですね……まぁ、私は行かないですけど」

「あら、チェリシアはオークションに参加するためにいらっしゃったのではないのですか?」

「いえ、そういうわけではありません。ただ……こういう催しに興味があったので」

「……そうだったんですね」



アンリーシェは意外だとでも言いたげに目を見開いてチェリシアを見た。



「アンリーシェは、お帰りになられますか?」

「私はステイン殿下に会わなければいけなさそうなので……外で待つことにします」

「そうですか」



オークションが行われている会場の外に来たチェリシアは、アンリーシェの傍に立ったまま動かなかった。



「……帰らないんですか?」

「私も中に友人がいるので、ここで待つことにします」

「……そうですか」



アンリーシェはそんな彼女を気に留めることなく、興味がなさそうに会場を見上げた。

視線を前に向けたまま、チェリシアに話しかけた。



「チェリシア」

「……どうかしましたか?」



彼女は騎士が離れたところにいるのを確認すると、口を開いた。



「――さっき、神殿長が言っていた皇家に関することは全て忘れてください」

「……それは一体、どうしてですか?」



チェリシアはアンリーシェの横顔を凝視した。その視線に、彼女は振り向いた。

何を考えているのかまるで読めないその瞳が、チェリシアを映した。



「――この一件、神殿長を意のままに操った人物がいます」





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