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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第二章 皇子との婚約からの家族とさよならします!

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65 保護の魔法

チェリシアはアンリーシェの合図で、寸でのところで抜け出していた。

彼女が神殿長に向けて放ったのは、光魔法の中でも最上位の攻撃魔法だった。



光の魔力を集め、そこから無数の光の弾丸を放つ。

直撃すれば神殿長であれど、ただでは済まないだろう。



(や、やったのかしら……?)



アンリーシェの元へ戻ったチェリシアは、じっと神殿長の様子を窺った。

眩いほどの光が消えかかった頃、奥に立っている人影が見えた。



「――お前たち、なかなかやるな」

「そ、そんな……!」



何事も無かったかのようにこちらへゆっくりと歩いてきたのは、紛れもない神殿長だった。

どうやら彼もまた、チェリシアと同時期に抜け出していたようである。



(コイツ、反射神経どうなってんのよ……!)



チェリシアは年を取っても衰えない彼の身体能力に驚愕させられた。



「やっぱり、一筋縄ではいかないようですね」

「ええ、強敵です」



アンリーシェは魔法を放つ準備をし、チェリシアもまた棒をかまえた。

渾身の一撃ではあったが、彼は傷一つ付いていなかった。



「神殿長は身分や血筋ではなく、実力でその座にのし上がったそうです」

「……実力?」

「ええ――彼は前の神殿長を殺害してその座に就いたんですから」

「何ですって……?」



アンリーシェの言葉が聞こえていたのか、神殿長はニヤッと笑った。

その笑顔は、目的のためならどんな手段も厭わないのだという彼の性格を切実に表していた。



神殿長は先にアンリーシェに狙いを定めた。

魔法の使えないチェリシアよりかは、光魔法をある程度操れるアンリーシェの方が脅威なのだろう。



「私が手に入れたいのは神殿じゃない――この世の全てだ」

「……!」



それが意味するのはまさに、彼が皇帝の座を狙っているということだ。



「それで、次の目的は皇家にしたんですか?さらなる力を手に入れたいからと」

「……何故お前がそれを知っている?」



その瞬間、彼の目がギラリと鋭い眼光を放ち、チェリシアを捉えた。

その瞳に射抜かれた彼女は、体が石のように固まって動けなくなった。



(こ、こんな目をする人だったの……?)



神殿長はそんなチェリシアの目をじっと見つめた後、納得したように言葉を発した。



「ああ、そうか。あのとき話を聞いていたのはアンリーシェではなく、お前だったのか」

「……!」



彼が、アンリーシェからチェリシアにターゲットを変えた瞬間だった。



「チェリシア!」



それに気付いたアンリーシェが咄嗟に間に入ろうと駆け出すが、神殿長はそんな彼女の腕を魔法で拘束した。

叫び声を上げたリーシェが床に倒れ込んだ。



さっきよりも魔法が強力なものになっていることは、誰から見ても明白だった。

パワーもスピードも、全てが上回っている。



神殿長はアンリーシェを捕らえたまま、彼女の方には目もくれずにチェリシアに向かって駆け出した。

チェリシアは何とか棒で応戦しようとするが、そんなものでは彼の攻撃を防ぎきることなど到底できない。



(お、終わりだわ……)



彼女は身近に迫る死を感じ、恐怖で動けなかった。

そのとき、突然チェリシアの身に着けていたネックレスが光り輝いた。



「!?」



赤い光と同時に彼は物凄い力で吹き飛ばされ、後ろの壁に背中を打ち付けた。

大きな音と共に、壁にヒビが入る。



「グッ……!」



チェリシアとアンリーシェは、何が起きたのか理解できずに一部始終を眺めていた。

神殿長は意識を失い、それによりアンリーシェの拘束は解けた。



「チェリシア、そのネックレス……」

「これは……レイド殿下から頂いたものです」



チェリシアは胸元に着けていたネックレスを一度外し、アンリーシェに渡した。



「……魔法が付与されています。それもかなり強力な……保護の魔法です」

「保護……ですか?」



アンリーシェはたった一目見ただけで、それが魔道具であることを見抜いていた。



「おそらく、この赤い石が魔石で……その上から保護の魔法を付与しているのでしょう」

「……知りませんでした、そんなものだったなんて」



そのネックレスはちょっと前にレイドから贈られた物だったが、チェリシアはただの装飾品だとばかり思っていた。



(だから、いつも着けるように言ったのかしら……?)



チェリシアの脳裏に、彼の優しい笑顔が浮かび上がった。

そのとき、入口の方から複数人の足音がした。



(まさか、神官たちが……!?)



最悪の事態を想定した二人だったが、現れたのは近衛騎士だった。



「――聖女様!」

「「……!」」



騎士たちはチェリシアたちの元まで来ると、その光景に愕然とした。



「な……ここは一体……!?」



倒れる神殿長、監禁された少女たち、疲弊しきった顔のチェリシアとアンリーシェ。

そのような反応になるのも当然だろう。



「ロクサーヌ令嬢までどうしてこちらに……」



困惑してどうすればいいかわからない騎士たちに、チェリシアは言い放った。



「ここに監禁されている方たちは全員、神殿長による人身売買の被害者です」

「じ、人身売買だと……!?」



騎士たちの間で驚きの声が上がった。

アンリーシェはチェリシアに続き、彼らに命令を下した。



「――聖女として命じます。神殿長を速やかに捕まえ、少女たちを解放し、一人残らず家に帰してあげるように」



力強い声と威厳溢れるその姿に、チェリシアは驚きを隠せなかった。

まるでどこかの国の女帝を見ているかのようだった。



騎士たちは一斉にアンリーシェの前に跪き、声を揃えて返事をした。



――「はい、聖女様!」




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