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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第二章 皇子との婚約からの家族とさよならします!

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52 異母妹の末路

婚約式を終え、チェリシアとレイドは正式に婚約者となった。

翌日、ロクサーヌ公爵家には祝いの花やプレゼントが多く届いた。



しかし、それらの贈り物を義母はことごとく突き返そうとした。



「こんなものを貰ったところで全く嬉しくないわ!マリーナはいつになったら帰ってこられるのよ!」

「落ち着いてくれ、レイチェル」



婚約式のあの日から、マリーナは近衛騎士に連れて行かれたままだった。

王宮の地下牢に閉じ込められていると聞いたが、面会に行くことは認められなかった。

そのせいで義母はピリピリしている。



「旦那様はどうしてそんなに落ち着いていられるのですか!?私たちの大切な娘であるマリーナが、あんなにも汚い場所でまるで罪人であるかのように閉じ込められているのですよ!?」

「……今、陛下に掛け合っているところだ。静かにしないか」



何とか義母を宥める父を、チェリシアは何も言わずに眺めていた。

マリーナは今や社交界の華から一転、皇族殺害を企てた大罪人だった。



(罪人であるかのようにですって?何を言っているかわかっているの?)



一歩間違えれば、あの中の誰かが死んでいたかもしれないのだ。



「マリーナがあんなことをするわけがないわ!きっと誰かに嵌められたのよ!」

「……だが、あの子が魔物を引き寄せる魔道具を持っていたのは事実だ」



そう言いながら、父は悲しそうに目を伏せた。



「旦那様……?旦那様もマリーナを疑っているのですか……?」

「疑っているも何も、一連の事件は紛れもなくマリーナが企てたことだ。お前だって聞いていただろう。チェリシアに痛い目を見せてやりたかったと言っているのを」

「……違いますよ、旦那様。あれは誤解です」



義母は違う、違うと何度も繰り返し呟いた。本当は心のどこかで気付いているのだろう。

しかし愛する娘が犯した罪を、認めたくはないのだ。



額を手で押さえた父が、ポツリと小声で呟いた。



「……私たちは、マリーナの育て方を間違えたようだな」

「そんな……あなた……」



その言葉に、義母の目から涙が溢れ出した。

父はそんな妻を抱きしめることもせず、ただじっと見ているだけだった。



「……死刑は免れるように掛け合ってはみるが、あまり期待はするな」

「マリーナ……」



義母は床に膝をつき、嗚咽を上げて泣き始めた。

少し前までは、あれほど幸せそうな家族だったのに。

こうも簡単に崩壊してしまうのか。



チェリシアはそんな父と母から目を背け、部屋へ戻って行った。



***



それから一週間後、マリーナの処罰が正式に決定した。

父親が皇帝を説得したようで、彼女は運良く極刑を回避することができた。



しかしそれでも、身分のはく奪に加え、北方にある修道院へ送られることとなった。

北部にある修道院は極寒の地にある上、規律が帝国で最も厳しいと噂の場所だった。



そんな場所で、甘やかされて育ったマリーナが耐えられるとは思えない。

しかし、彼女が犯した罪はとても重かった。

死刑を免れただけでも奇跡のようなものであるため、誰も異を唱えることなどできない。



彼女の修道院行きが正式に決まった日、義母は部屋にこもり、毎日のように泣き続けた。

義母の部屋からは慟哭が絶え間なく聞こえ、屋敷全体の空気も重苦しいものとなった。



「マリーナは死刑を回避できたのですね」

「ああ、幸いにも死者は出なかったということで何とか陛下が恩赦をかけてくださった」



マリーナが修道院へ行く数日前、チェリシアは父親と書斎で話をしていた。

今回の一件で一番尽力したのがまさに彼だった。



父の努力が無ければ、彼女はもしかすると斬首刑になっていたかもしれない。

彼は罪を犯した娘を、最後の最後まで見捨てなかった。チェリシア相手にはそのようなことしないだろう。



「お義母様のところに行かなくていいんですか?」

「……今はそっとしておいた方がいいだろうな。まだ気持ちの整理がついていないようだ」

「そうですか」



たった数日だというのに、その間に父はかなり老け込んだ。

愛する娘を失ったうえに、妻があのような状態になってしまったのだから当然か。



「ところで、何か欲しいものはあるか?」

「欲しいもの……ですか?」



父親は憔悴しきった顔で微笑んだ。

こんな笑顔を向けられたのはいつぶりだろうか。



「ああ、レイド殿下との婚約祝いをまだ何もしていなかったな。お前が望むものなら何でも買ってやろう」

「……」



全てを失ってしまったから、唯一残された家族に縋りつこうとしているのが、チェリシアにもハッキリと伝わった。

今さら、この人は何を考えているの?

そんな風に手のひら返しをされたところで嬉しくなんてない。



「いえ、特にはありません。そのように気を遣わないでください」

「気を遣っているわけではないんだが……」



何か言いたそうに手を伸ばした父親の話を、チェリシアは半ば強引に遮った。



「――お父様、私はそろそろ失礼しますね。今は私も……心の整理が必要なようです」

「…………そうか、そうだな。お前も色々あって疲れているだろう。部屋に戻って休みなさい」



父親は引き留めることなく、チェリシアを見送った。

部屋を出る彼女の背中には、意味深な父の視線がまとわりついた。




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