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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第二章 皇子との婚約からの家族とさよならします!

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45 婚約式当日

――婚約式当日。

正午から始まる式は、首都にある教会で行われる。



今は朝の七時。

まだ式が始まるまでかなり時間がある。

しかし、チェリシアは起きて早々目の前の光景に戸惑いを隠せなかった。



「――レイド殿下の命により、今日一日チェリシア様に仕えさせて頂きます」

「……」



レイドから贈られてきたのはドレスだけではなく、複数人の侍女たちもセットになっていた。

一体どこから連れて来たのか、明らかにその道のベテランたちだ。



「あの……一体何をするのでしょうか?」

「ご令嬢は何もなさらなくてよろしいのです。私たちが令嬢の準備を全てやらせて頂きますわ」

「何もしなくていい、ですか?」



わけがわからないまま頷くと、早速婚約式に向けての準備が始まった。

チェリシアはお風呂に入らされ、隅々まで丁寧に身体を磨かれた。



(ちょ、ちょっと待って!いくら何でも初対面の人たちに裸見られるのは恥ずかしいんだけど!)



チェリシアには元々専属侍女なんてものは付けられていなかった。

貴族令嬢に侍女が付くのは当たり前だそうだが、何でも一人でこなす生活はむしろ楽で助かっていた。



(貴族のご令嬢は毎日こんな風に身体を洗ってもらってるわけ!?)



穴があったら入りたい、とはまさにこのことである。

こんな生活が何年も続くとか、絶対に耐えられない。

チェリシアは自分が貴族令嬢に向いていないのだということを、今さらながらに悟った。



「お風呂に入った後はオイルを身体に塗りましょう」

「え、そ、それはさすがに私がやりますよ……」

「いえ、ご令嬢は何もなさらなくてよろしいですから」



いやいや、逆に私がやりたいんだけど。

結局、チェリシアは何も言い返すことができずに、侍女たちにされるがままになっていた。



全てが終わるまでは、一時間近くかかった。



(や、やっと服を着れた……)



お風呂に上がり、服を着たチェリシアの髪を乾かしていく。

この世界にドライヤーなんて物はない。代わりに、髪の毛を素早く乾かすことのできる魔法が存在するようだ。



もちろんチェリシアは使えないが、彼女たちは完璧に使いこなしていた。

どうやらその魔法が難なく使えるのはエリートの証であるらしく、皇宮に勤務する侍女は大半が使えるのだという。



「レイド殿下から贈られたドレスはどこに?」

「そちらにある箱の中に……」



髪を乾かし終えると、一人の若い侍女がチェリシアの元に大き目の箱を持って現れた。

箱には赤いリボンがかけられている。おそらくレイドから贈られたドレスだろう。



(今回はどんなドレスが入っているのかしら?)



前世で異世界ロマンスが好きだったチェリシアからしたら、ドキドキの瞬間である。

侍女はゆっくりとリボンを解き、箱を開けた。

中から姿を現したのは――



「あら……」

「まぁ、何て素敵なんでしょう!」



傍で見ていた侍女たちが、一斉に感嘆の声を上げた。

箱の中から出てきたのは、白と赤を基調としたAラインのドレスだった。

腕の部分がパフスリーブになっており、裾はかなりの長さとなっている。



「赤色だなんて……」

「レイド殿下ったら……」



白と赤。

それが何を意味するのか、この帝国で暮らす者なら誰だってわかる。



白色は主に結婚式などで使われる色であり、赤はこの国の皇家を表す尊い色。

つまり、チェリシアはレイドから正式に皇家の一員として認められたも同然だということだ。



年配の侍女がフフッと笑った。



「ご令嬢は皇子殿下からとても愛されているのですね」

「……いえ、そんなことはありません」



レイドが私を愛してるだなんて、そんなことあるわけがない。

大体この関係も、彼が皇帝になるまでの期間限定のものだし。

彼女は勘違いしてしまわないように、自分にそう言い聞かせた。



「令嬢、とてもお似合いです」

「ありがとうございます」



侍女たちの手を借りてドレスに着替えたチェリシアは、鏡に映る自分の姿を見つめた。

レイドが贈ったドレスはチェリシアの身体にピッタリだった。



軽くメイクを施せば、一気に華やかな仕上がりとなった。

チェリシアは元々スタイルが良く、顔立ちも整っていた。

あとは下ろしたままの髪をセットすれば完成である。



侍女がチェリシアの長いブラウンの髪の毛をブラシで梳いた。



「髪の毛をセットしていきますね」

「はい、ありがとうございます」



手慣れているのか、彼女はテキパキとチェリシアの長い髪の毛を結っていった。

結い上げられたチェリシアの髪の毛に、ヘッドドレスが着けられ、ドレスと一緒に入っていたイヤリングにネックレスが彼女の身体に装着されていく。



全てが終わる頃には、始まってから三時間が経過していた。



「まぁ、何て美しいんでしょう!」

「今日の婚約式ではご令嬢が一番お綺麗に違いないですわ!」



「……」



チェリシアは鏡の前で呆然としたまま、立ち尽くしていた。



(……本当に、私なの?)



目が眩むほどに煌びやかな姿。

白がメインのドレスには所々皇族を表す赤色が使用されている。その赤色が、いつもは地味と言われるチェリシアに華やかな印象を与えていた。

装飾品は全て赤と白で統一されており、どれもかなり高価な宝石があしらわれている。



今鏡に映っている人物は、本当に私なのか。

まるでどこかの国のお姫様のようだった。



「――お嬢様、レイド殿下がいらっしゃっています」

「レイド殿下が!?」



侍女たちはキャーキャーと歓声を上げながら、邪魔しないようにと部屋から退場していった。

一人になった部屋で、チェリシアはレイドの訪れを待った。



「――ロクサーヌ令嬢、いるか」

「……はい、殿下」



チェリシアが返事をすると、大きな二枚扉がゆっくりと開いた。




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