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【第二章完結】処刑エンドの悪役令嬢に転生したので破滅回避を目指したら、悪役皇子に溺愛されました  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)
第一章 悪役令嬢に転生からの悪役皇子との偽装婚約!

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18 婚約者の不貞

チェリシアはそこまで聞き終え、思わず口を挟んだ。



「と、いうことは……エルンバッハ令嬢は本当にステイン殿下と……」

「ええ、五歳の頃に婚約が内定したので……もう十六年になりますね。ついこの間、破棄されましたけど」



ステインとアルセリアの婚約は、他でもないステインの意思で貴族や国民たちには公表されていなかった。

知っているのは皇族たち、そして彼女の家族くらいだろう。



そのため、国民たちはもちろんチェリシアですらそのことを知らなかったのだ。

ステインとアンリーシェの婚約は国中から祝福されたのにはそういう理由があった。



(彼に元々婚約者がいたとなれば……きっと二人に非難が集中していたはずよ)



もしかすると、ステインはそのような状況になることを視野に入れて公表しなかったのだろうか。

漫画内で読んだステインの一途なイメージが崩れていく。



「ステイン殿下は冷たい人でした。婚約中、私を気遣ってくれたことなんて一度たりとも無かった。ですが、私はそんな彼を本気で愛していました」

「エルンバッハ令嬢……」



ステインとアンリーシェが幸せに包まれていた裏で、アルセリアは一人涙を流していたのだ。

もちろんステインは最悪だが、チェリシアには一つだけ気にかかることがあった。



(……アンリーシェはステインに婚約者がいることを知っていたのかしら)



もし知らなかったのであれば、彼女には何の罪もない。

しかし、知っていたのであれば……



いや、普通に考えたら知ってるわけがないか。

そもそも平民には公表されていないことだし、リーシェを愛しているステインがわざわざ彼女に婚約者の話をするとは考えにくい。



「彼が皇帝になる以上、側室の一人や二人は我慢しなければならないと腹をくくっていました。ですが、婚約を破棄されるとは思ってもいなかったので……」

「……そうですよね」



チェリシアがここに来るまで、相当泣いたのだろう。

アルセリアの目は真っ赤に腫れ上がっていた。



(立場を考えたら、侯爵家が皇家相手に抗議なんてできるはずがない……それに新しい婚約相手は聖女なわけだし……)



結局、アルセリアは泣き寝入りするしかなかった。



「最近、殿下の態度が変だったんです。会いたいと言ってもはぐらかされるし、定期的に開催されていたお茶会にも現れなくなって……」

「それはいつからですか?」

「一年くらい前かな……」



一年前といえば、ちょうどステインがアンリーシェと出会った頃だった。

チェリシアはその頃まだ転生していなかったが、原作を何度も読んでいたのですぐにわかった。



「そのときから殿下は聖女様と愛を育んでいたのですね……私、全然気付きませんでした……」

「あーまぁ、それはそうですよね……」



第一皇子が身分を隠して神殿に通っているだなんて、前代未聞だった。

噂にならなかったのも無理はない。



(元々神殿は社交界とは遠いところだから……)



多くの貴族たちが訪れる皇宮内でイチャついているならすぐ噂になるが、神殿に出入りする貴族は少ない。



「私、今日は本当は殿下と聖女様の婚約を祝おうと思ってこのパーティーに参加したんです。だけど、仲睦まじいお二方を見ているのに耐えられなくって……」

「それでこんなところで泣いていたんですね」



チェリシアは目の前のアルセリアを不憫に思った。

これから先どう生きたところで、彼女の十五年という歳月は返ってこないのだ。



「それで私、考えたんです。このまま大人しく引き下がるわけにはいきません。こうなったら最後にあの二人に一泡吹かせてやらないと」

「……一泡吹かせる?」



何をする気か、チェリシアは嫌な予感がしながらも彼女を見つめた。



「はい、次のパーティーであの聖女にワインでもぶっかけてやろうかと……」

「え」

「公衆の面前で辱めを受けさせれば、あの女も心を病むのではないでしょうか」

「……」



アルセリアはそう言いながら、悪どい笑みを浮かべた。

そのときになって、チェリシアはようやく気が付いた。



アンリーシェにワインをかけて修道院送りにされた令嬢ってお前だったのか――!



いや、ワインかけただけで修道院送りはいくら何でもやりすぎだし。

それに元はと言えばステインがアルセリアを裏切ったからそういう風になったんでしょう?



「エルンバッハ令嬢、落ち着いてください。そんなことをしてしまえば、令嬢はただでは済まないでしょう……あの二人のためにこの先の人生を棒に振るう必要はないのですよ」

「ロクサーヌ令嬢……」



チェリシアはアルセリアの背中をさすり、何とか彼女を落ち着かせた。



「令嬢がどれほどの目に遭ったかはわかりました。お辛いでしょう」

「……ロクサーヌ令嬢に私の気持ちなんてわかりませんわ」



アルセリアは拗ねたように顔を背けた。

チェリシアはそんな彼女を元気付けるように声をかけた。



「落ち込んだときは何か楽しいことをしないと。あそこの薔薇園とかとっても綺麗ですよ。よかったら一緒に見に行きませんか?」



チェリシアはどうにか慰めようと、さっき通ったばかりの薔薇園を指さした。

しかし、咲き誇る薔薇の花を視界に入れたアルセリアの目からは再び涙が溢れた。



「れ、令嬢……!私、何かいけないこと言いました……!?」

「……あの薔薇園はステイン殿下が私に贈ってくださった最初で最後のプレゼントなのです」

「な、何ですって……?」



あのステインがアンリーシェ以外の女性にプレゼント?

チェリシアは到底信じることができなかった。




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