04-06.ラスボス戦
「今回の勇者は随分と準備が良いな」
魔王の第一形態は人間の姿をしている。
吸血鬼のようなマントを纏った、目つきの鋭い男だ。
「我が蘇ってからさほど時をおかず攻めてきおった。しかもその様な少人数でここまで来るとはな。十分な力も持っているようだ」
私たちは魔王の言葉には耳を傾けず、いつも通りの陣形を組んで油断なく構える。
たとえ人の姿をしていて言葉を話そうとも、魔王は魔物の王だ。存在するだけで魔物を生み出し、人類の害となる。
魔王からしても今更人間と仲良くしようとは思わないだろう。他のダンジョンのボスと同じく、魔王も倒されたところで何度でも復活する。
ただし、その脅威度は他のダンジョンボスとは段違いだ。
そのかわりか、復活のスパンは遥かに長い。
この国の歴史は魔王と人類の戦いの歴史でもある。魔王が蘇ると必ず勇者が現れ魔王を討ち滅ぼす。
魔王はその知能の高さからか、死して蘇っても記憶を継承し、人間に対して強烈な憎しみを抱き続けている。
穏やかに話しているように見えて、今もとんでもない威圧感だ。
「久しぶりなのだ。少しくらい話に付き合ったらどうかね。それともまさか、ここまで来て怖気付いているのか?」
「どの口で。それだけ殺意を放っておきながら、まさか仲直りでもしたいの?」
セーナちゃ~ん!?
もう少しだけ大人しくしていようねぇ~!!
焦れてきたのか、魔王の挑発に乗ったセーナが切り返してしまった。
「笑止」
魔王が放った闇魔法を合図に戦闘が始まる。
前に出て攻撃を受け流すレオン達。
光線を放ち魔王を攻撃するセーナ。
想定通りに戦況は進んでいく。
(やっぱり強い!)
十分対策してるはずなのに切り崩せない。
魔王からの攻撃はやり過ごせているが、こちらからの攻撃もなかなか有効打にならない。
「ふむ。今回はずいぶんと我の戦い方を知っているようだ。前回の勇者はそれほどまでに優秀だったか?」
私たちが魔王の戦い方を知っている事が不思議だという様に、考え込むフリをする魔王。
「ならば、これはどうかな?」
私たちの動きに合わせて魔王の戦い方も変化した。
思っていたよりずっと人間臭いなコイツ!?
ゲームと違うのだからこの可能性は十分考えていたが、こちらが動きを変えても、尽く対応してくる。
次第に、レオン達を抜けてセーナにも攻撃が届くようになってくる。セーナの魔力を防御に回させるわけにはいかないので、私はセーナの前に出て魔王の攻撃を弾いていく。
魔王が一際大きな闇の塊を放ってきた。
レオンたちでは対処できないと判断し、私が前に出て竜巻を放つ。
しかし風の魔法は、あっさりと取り込まれてしまう。
今度は闇魔法で対抗すると、ぶつかった闇同士で強烈に反発し、互いの攻撃が自身に跳ね返った。
私の闇魔法を慌ててセーナが消し去った。
(闇魔法同士ってそんな挙動になるの!?)
「まさか闇の使い手がいるとはな。しかもかなりの威力だ。お主、本当に人間か?」
うっさいやい!
まさか魔王に人間否定されるとは思わなかった。
魔王もこのままでは分が悪いと判断したのか、距離を取って戦い始めた。
お互いに有効打が無いまま戦いは続く。
「ふむ。少々見くびっていたようだ。ならば力を示すとしよう」
魔王の体が急激に膨らんでいく。
頭からは角が、背中からは翼が生え、尾まで生えてくる。
(第二形態!?)
本来なら、ある程度のダメージを与えてから変身するはずだ。まだそこまで削れているわけがない。
まさか自由に変身できるとは!
これ、体力MAXのまま最終形態になったりしないよね!?
そんなの勝てる気がしないよ!?
本当なら、第一形態の間に倒してしまいたかったが、そうそう上手くは行かないようだ。




