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01-03.とりあえずの結論

 引き続き本をめくりながら考え込む。


 一番の懸念事項である「リリィ」自身の称号が問題だ。


 「称号」とは仲間のステータス上で確認が出来るだけであり、ゲーム終盤に発生する婚約破棄イベントまで仲間になれないリリィは称号の取得手段が殆どわからないのだ。


 仲間になった時点での初期称号が「元婚約者」であり、次に取得できるのは魔王討伐後に取得できる「勇者の仲間」だけである。


 「勇者の仲間」は魔王討伐後に全てのパーティーメンバーが取得でき、成長限界が完全に解除される。


 称号は二周目以降に引き継げるのだが、二周目以降には魔王以上の脅威が複数発生し、それらの脅威へ対抗するには最大レベルまで育てていることは最低条件となる。


 この世界はどちらなのだろうか。

二周目であれば本格的に手に負えないだろう。



「ステータス」


 試しに呟いてみるが何も起こらない。



「メニュー!情報!能力値!」


 ムキになっていろいろ試す。

当然のように、視界に変化は無い。


 ネット小説では定番なのに!


 自分の称号が確認できれば判断できるかと思ったのに……


 メイドさん達に質問した結果、この世界の住人はレベルやステータスを認識していなかった。

ただ、魔物を倒していると身体能力や魔力、頑強さなどは向上するらしい。


 おそらく数値として確認する手段が存在しないのだろう。

当然、「称号」についても誰一人認識していなかった。


 認識していないということは、偶然称号を取得した者以外は、序盤程度のステータスしかないということになる。


 実際ゲーム中でも、勇者に先んじて魔王城に攻め込んだ王国軍はあっさり全滅してしまう。

しかも、魔王の姿を見ることもできず、魔王軍の魔物達相手にだ。


 婚約破棄イベントを経てセーナの仲間になるまでレベルは上げないほうが良いだろう。

他の称号取得手段も模索したいが、その為には取得できたことを確認する手段も調べねば……


 しかし、セーナの仲間になってから魔王討伐までは数ヶ月しかない。

ゲームなら時間経過が発生しないので気にならなかったが、現実でレベル上げが間に合うのだろうか……


 自分は戦わない、又はレベルやステータスによらない強さを身につける。

このあたりも必要になるだろう。


 幸い、リリィはセーナの仲間になる中で唯一の女性キャラのため、ゲームでは女性専用装備であるセーナ用の装備を共有できる。


 各装備の入手手段も覚えているのでなんとしても手に入れねば!

あんまりやりすぎるとセーナが魔王に太刀打ちできなくなりかねないけど!


 むむむ……

やっぱりこの世界で生き延びるには、この問題は大きすぎる。

四歳児にできることは少なすぎるし、今悩んでもしょうがないかもしれない。


 それより、せっかく魔法のある世界に転生できたのだし、魔法を極めて見るのも楽しそうだ!


 魔力量が少なくても強くなる話もいくつか思い浮かぶ。

ネット小説を山ほど読んでいた私に隙はない!


 いっぱい悩んだけど、なんだかんだワクワクしてきた!

自分は結構ポジティブな性格なのかもしれない。

早速行動しよう!




----------------------




「お父様お願い!」


 精一杯可愛い声を出しながら、執務室に飛び込む。

怒られた。仕事中にノックも無しに突撃したら当然である。


 気が急いてやらかしてしまった。

幼女パワーでもゴリ押せなかったか……


 結局、後ほど時間を取ってくれることになったので、大人しく退散し、時間を潰すことにした。




----------------------




 のんびり部屋に戻るとトンガリ眼鏡にひっつめの、あからさまな女性が立っていた。


 思わず回れ右して部屋から逃げ出そうとする。


 しかし回り込まれてしまった!



「お嬢様、お勉強の時間です。」



 病み上がりと記憶喪失で多めに見られていたが、流石に貴族令嬢としての礼儀作法も完全に飛んでいる事は看過されず、厳しい先生をつけられてしまったらしい。


 四歳児なのにそのあたりも完璧だったとは、さすりり。



「というか、お父様判断が早い!」


 もしかしたら行動力の高さは遺伝かもしれない。

「リリィ」の要素が残っているのかもしれないと、少し嬉しくなった。



王国軍全滅あたりの補足です。


魔王は80レベル相当のステータス

魔王軍の魔物は40~60レベル相当のステータスのため、

20レベル程度で成長の止まった人間が何人いても相手にはなりません。


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