01-02.調査
目覚めから一月程が経過した。
この頃には自由に歩き回れる程に回復し、情報収集を始めることにした。
この頃には流石に夢の世界ではなく、本当に転生したのだと納得できていた。
ふふふ♪ 私も遂に異世界転生主人公だ♪ ちょっとは憧れてたんだよね♪ そういうの♪
……自分の事は全然覚えてないのに。不思議だ。
しかし幼女生活とはそう悪いものでもない。特に今の私の境遇は尚の事。病み上がり幼女だからね。めっちゃ甘やかして貰えるのだ♪ いつでも専属のメイドさんが側にいてくれるし♪ うふふ♪ 憧れのお姫様にでもなったみたいだ♪
そして、とにかく見るもの全てが珍しい。あれもこれもと気になることをメイドさんに質問していった。屋敷の中を歩き回っているだけでも楽しい毎日だ♪
暦は前世と同じらしい。
それどころか、文字も日本語とは流石ゲーム世界。
名前も人種も日本要素は皆無なのに不思議というかチグハグというか何と言うか……。
文明レベルは中世ヨーロッパってやつだろうか。少なくとも、スマホもテレビも存在しなかった。
残念ながら、前世であまり真面目に勉強をする方ではなかったのか、記憶に欠落がある故なのか定かではないが、前世の歴史をあまり覚えていない。
料理や技術的な専門分野についてもからっきしだ。知識チートはあまり期待できそうに無いネ。
前世の自分について思い出してみようとしても、相変わらず自分の名前どころか、家族の顔すら思い出せない。
文字や言葉、ゲームの内容は完璧に記憶してるっぽいのになぜだろう。神様的な存在に記憶の取捨選択でもされてしまったのだろうか。
いろいろ考え込んでいるうちに、自分には考察癖というか妄想癖というか、よく考え込む時があることに気づく。
今も突然私が黙り込んでしまったせいで、メイドさんが不安げに様子を伺っている。自分から色々質問していたのに失礼なことをしてしまった。
「ごめんなさい! 考え込んでしまっていたわ! もう大丈夫! ありがとう!」
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自室に戻り、机の引き出しから本を取り出す。
この本は元々白紙で、日記を書きたいと両親に頼み、用意してもらったものだ。
四歳児が日記を書きたいと伝えて、字を書けるのかなんて疑問に思われないあたり、元々の「リリィ」はとても優秀だったようだ。
ゲーム中でも成績優秀、容姿端麗の完璧超人だった。私も成長すればあの容姿になるのかと思うとワクワクしつつ、やはり攻略する側になりたかったと、複雑な気持ちにもなる。
この世界では本にできるような上質な紙は比較的高価らしいが、高位貴族であり、記憶喪失の件もあることからか、すぐに用意してもらえた。
実際には日記ではなく覚えてること、気付いたことを書き記している。
目覚めてからの一月。ほとんど部屋から出られなかったので、ゲームの事で覚えている内容を書き出していた。
この世界には、ゲームの通りに魔物が存在する。
魔王はまだ復活していない。
ゲームでは魔王復活の予言と共に、それを打倒する勇者として「セーナ」が見出される。
そしてそれはセーナの十五歳の誕生日なので、今から約十一年後ということになる。
まだまだゲーム本編の開始には時間がある。幼少期に転生できたことに心底ホッとする。
というのも、このゲーム実はかなり難易度が高い。
基本的にこの世界の住人には「成長限界」が存在し、どんなにレベルを上げても一定以上に強くはなれないのだ。
ゲームのシステムでは「称号」を獲得することで、少しずつ成長限界が解除されていく。
これがゲームのバランス調整の役割を果たしているのだが、この調整がかなりシビアで、結果的に難易度が高くなってしまっていたのだ。
特に終盤では成長限界こそ無くなるものの、成長限界によって損なわれたステータスが影響し、高レベル低ステータスなキャラとなってしまう。
例外として主人公である「セーナ」のみ、初期称号の「勇者」には成長限界が存在せず、好きなだけレベルを上げることができる。
しかし、最大レベルまで育てても、ある特殊な手段を除いて、単独で魔王を打倒出来るほどの戦力にはなり得ない。
わざわざ予言までされた「勇者」なのにそれで良いのだろうか……。
まあ、ゲーム的な都合だし文句を言ってもしょうがない。主人公一人で無双できちゃうゲームバランスなんて、それはそれで問題があるもんね。しゃあないしゃあない。
「成長限界」についての補足です。
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・「LV」UP時に「ステータス」が上昇し、
20LV程度で「成長限界」を迎える
(LVを上げてもステータスが上昇しなくなる)
・「称号」を獲得することで「成長限界」を突破できる
ただし、あくまで上限が増えるだけである
(30LVで初めて「称号」を獲得した場合、
20~30LVの間のステータス上昇値は得られない)
・LV上限は「99」
(20LVで「称号」を獲得した者と、
30LVで「称号」を獲得したものは、
99LV時点で10LV分のステータス差が生じる)




