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01-16.闇魔法

「こっちよ!」


 地竜に向けて風の刃を放ちながらセーナから離れていく。


 よかった。ちゃんと付いてきてる。


 ゲームでは風属性は地属性に有利だったはずなのに、やはり全然効いていない。


 レベルの差がありすぎるからだろうか。


 このままでは魔力が先に尽きてしまう。


 それにしてもこの服はなんだか落ち着かない。

私は地竜に対抗するため、魔法少女の服を装備していた。


 この装備、身に付けると自分のサイズにピッタリになった。

お陰で動きやすさは問題ない。


 しかし、この世界でこんな短いスカートは履いたことが無かったので、スースーする感覚がどうにも落ち着かない。


 今は少しの魔力でも惜しいため風の繭も使っていない。

人に見られたら恥ずかしすぎる。


 この装備は純粋に耐久性能が最高だ。

地竜の攻撃でもそうそう致命傷にはならないだろう。


 指輪ほどではないが、魔力回復ができるのもありがたい。

まあ、今のままではそれでもジリ貧だ。

やはり素のステータスが低すぎる。


 いっそ手頃な魔物でも倒して少しレベルを上げてしまおうかと周囲を見回すが、地竜が暴れている影響か全く見当たらない。

私にはセーナのような探知魔法は使えないし探す手段が無いので諦める。


 それに、ここを生き延びても魔王戦で積んでしまっては意味がない。


 とにかく今ある手札を使うしか無い。


 風が効かない以上、威力の劣る水や火では効かないだろう。

まだ試していないのは闇だ。


 いまだ完全には使いこなせていないので使用を控えていたが、四の五の言ってはいられない。


 初級の闇魔法である闇の矢を放つ。


 着弾した闇の矢はあっさり地竜を貫通した。


 地竜は再び咆哮をあげた。


 今回は距離を取っていたので問題なくやり過ごす。


 呆けている場合ではないと、次々魔法を放つが、威力を知った地竜に避けられ命中しない。


 闇の魔法は速度では風に劣る。

やはり、何らかの手段で地竜には探知されているらしく、巨体にもかかわらず器用に避けていく。


 背中に回っても構わず避けられる。


 このままでは魔力切れになると、一旦距離をとり考える。


 一か八か最高速度で近づいて近距離で魔法を放つべき?

一撃で倒せなければ返り討ちだろう。


 もっと広範囲を攻撃できればいいが、残り魔力が心もとない状況で範囲魔法など撃てるわけもない。


 ネット小説とかでは複数の魔法を同時発動したりするけど、残念ながらそんな器用な真似は出来ない。

どんな脳の使い方したらできるんだろうあれ。


 私の連射速度では避けられることは先程実証済みだ。

一つの魔法で複数放つのは全部上級以上だ。

今の魔力ではそもそも足りない。


 どうするべきか考えあぐねていると、地竜が突然走り出した。


 マズい!!

攻撃の届かない私を放置してセーナの所に行くきだ!


 慌てて追いかける。

かなり距離はとれていたが、残された時間はそう多くない。


 どんどん焦りが募っていく。

セーナを回収してまた離れる?

回復しきっていないセーナをそうなんども連れ回せない!


 落ち着け!できる事を考えろ!


 どの道、闇魔法しか通用しないのだから選択肢はない。

あとはどうやって当てるかだ。

セーナの力があれば手段もいくつか思いつくが、今はそんな事言ってられない。


 もう選択肢はないんだ!覚悟を決めろ!


(私はこんな時まで流されて行動するのね)


 ちょっとだけ自虐的な気持ちになりながら、地竜に向かって突っ込む。


 私の動きを察知した地竜が腕を振り上げた。


 構わず直進して接近しきったところで今できる最大威力の闇魔法を放った。


 その瞬間地竜の腕に叩き落され地面に叩きつけられた。

衝撃で呼吸ができない。


 もうだめ!


 追撃に恐怖して目を閉じる。


 しばらくして、恐る恐る目をあけると、地竜が倒れ伏していた。

まだ辛うじて生きているようだが、首の下に大穴が空き苦しんでいる。


 私は装備のお陰で大きな傷はないようだが、手足は泥だらけの傷だらけだった。

きっと顔も似たようなものだろう。

お母様に見られたら卒倒しそうだ。

お父様には怒られるかな?悲しんでくれるかな?


 安心感からか、場違いな思考を始めていることに気が付き冷静になる。


 今ならまだ間に合うかもしれない!


 念の為、地竜の手足を撃ち抜き、慌ててその場を飛び立つのだった。

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