暫し時を遡るpart1
おっかしいなー。書きたかった内容の半分も進まなかったぞォ。まさか、エミューちゃんがあんなにしゃべるとは……
出来るだけ早く更新します。
まあ、あれだ。とりあえず、時間を遡ろう。
柄にもなく変な感傷に浸った後、エミューちゃんから今後の予定が説明された。
「そ、それで今後の予定なんですが……」
若干赤らんだ顔をしたまま、身をよじるようにしてそそくさと、再び俺の対面に立つエミューちゃん。やるべき事を思い出したらしい。
「ふむ?」
「明日の打ち合わせを兼ねて、国王様の御家族との晩餐会が企画されています。──と、その前に入浴して身を清めて頂く必要がございますが。」
「明日の打ち合わせ?」
「はい。本当は星の巡り合わせの関係で今日、勇者誕生の儀をするのが最適なのですが……」
「流石にそれは無理だから、明日にずれる、と」
「その通りです。あと先の襲撃で、トモナリさんの活躍により被害が最小限に収まったとはいえ、数人、間に合わなかった方がいらっしゃいます。その方のご葬儀が勇者誕生の儀と併せて行われます。」
そっかぁ。間に合わなかったか……。俺の手は2本しかないから、掬いきれない命が有るのは分かってたけど……何というか、凹むなあ。
「あの……その、うまく言えないんですが……」
何を感じ取ったのか、彼女は気遣わしげに俺に言葉を投げかけてきた。少なくとも言葉を出せる気力がないので、一つ頷き目線で先を促した。
「トモナリさんが何で気を落とされているのかは、大体想像がつきます。……亡くなってしまわれた方々のことですよね?」
「……ああ。」
俺は苦々しくそう言うのが精一杯だった。どうやら、思っている以上に心にキテいるらしい。らしくねぇーなぁー。はあ……
「少々言葉がキツくなってしまいますが、ご了承ください。
前提条件として、何事も完璧にこなせる人間は存在しません。そもそも完璧さえも自然界含めて存在しません。自然にしろ、人間にしろ、この世に存在している物には、何かしらの欠陥を抱えています。
だから我々、人間は家族をつくり、街をつくり、都市をつくり、国を形成するんです。その人にとっての欠陥は、違う人にとっての得意分野かもしれません。そうやって補って、補って、支えあって、生きていくんです。
それが、なまじっかトモナリさんは出来ることが多すぎたんです。何でも自分でしようとしたんです。
確かに、先の襲撃では我々はほぼ無力だった、と断言出来ます。そこにトモナリさんが駆けつけて下さり、得意分野かどうかはともかく、圧倒的武力により鎮圧して下さいました。」
そこで話疲れたのか、一度言葉を切り、何かに相談するように瞳を閉じた。もしかしたら、これで合っているのかどうか、自分と対話しているのかもしれない。根拠は一切ないが。
暫しの静寂の後、ゆっくりと瞼を開き、これまでの心配そうだが、淡々とした口調とは一変、柔らかく精一杯の謝意が伝わる口調で、瑞々しい唇から言葉が紡がれた。
「そこに感謝こそすれ、貴方を責めるような人はいません。いても私が許しません。我々に足りなかったものを補って下さった、貴方は紛れもなく“勇者”そのものでしたから。
だから、誇ってイイんです! 何をそんなに卑下する必要があるんです? それも、なんとく理解出来ます。自分に自信を持てないのではないのですか?
例え、何人か間に合わなくても、これだけの命を守った。笑顔を、将来を守った。それでいいではないですか! そういった“誇り”が積み重なって自信へと変わります。……尤もこれは、全て私の持論ですけどね。願わくはこの経験が少しでも貴方の自信へと変わる事を祈ります。」
ここで再び、言葉を区切りお茶目にウインクして
「でも、それは研鑽を怠る理由にはなりませんからね?」
「──!? ……それは、まあ、もちろんだ。自信に繋がるのかどうかは確約できないけどね」
「そこは、確約する、って言って欲しかったんですが……すぐには厳しいですよね……。まあ、私はトモナリさんのように力はないですけど、いつでも相談に乗りますからね! バシバシ頼ってください!!
人は一人で勝手に助かるだけ、なんておっしゃる神様も、いらっしゃったようですが、私はそんな風には思いません。
現にトモナリさんはキツそうでしたからね。性格的にも、この手のことは、時間が解決してくれることもなさそうですしね。」
うん? どっかで聞いたことがあるセリフが……。あいつが神? ンなわけない……とは言えないかなぁ。あれだけの力持ってたしなぁ……やめたやめた。深く考えるのは。
にしても、随分気持ちが楽になった。そうか、誇ってイイんだ。天狗になることだけは、避けたいけどな! なると、失敗するからな! 全部!!(実体験有り……)
ここまで言葉をぶつけてくれた、彼女には感謝、感謝だ。ここで、出てくる言葉は一つだけだ。
「ありが「パン!!」」
彼女には珍しく、というか初めて、俺の言葉を遮る様に手を打ち鳴らし、口のチャックを閉めるようなジェスチャーをして、片目を瞑った。どうやら、礼は不要らしい。
「それでは、気分一新! 大浴場へ向いましょう♪」
彼女の笑顔に、何故か胸が高鳴ったことには気付かないようにして、歩き出した彼女を慌てて追いかけた。




