浴場には予想外が付きものです。←そんな法則知らない!
昨日更新しようと思ったんですが、なかなか筆が進まず……。
インスピレーションって突然降ってくるんですね。分かってはいたんですが、ついさっき思い知りました。
今、俺は絶賛混乱中だ。理由はたった一つ。紆余曲折を経て、俺しかいない筈のこの場所に、何気に騎士団長よりも強いこの国のトップと、その騎士団長が現れたからだ。
────ほぼ全裸で。
ここで誤解してはいけないのは、場所が王城内に造られた大浴場でありその格好をしていることは何ら不思議ではないことだ。寧ろこの場に相応しい格好だと言える。──それも、やっているのが、国王でなければ、の話だが。
かけ湯等を終えて一息ついた彼は、おもむろに言葉を発した。
「ありがとう」
「······? 何がだ?」
「国をだよ」
そして、深々と頭を下げた。
「……っ!? オイオイいいのかよ、あんた! 国王がそんな真似して!!」
「いけません! 後の勇者様とは言え、まだ彼は一介の冒険者でございます。この事が知れたら大事件に発展してしまいます。今すぐ顔をお上げになってください!!」
「……バリーよ、権威とは衣の上から着るものじゃ。裸の王様などいまい。のう?」
「──!? そ、それは、そうですが……」
「儂は、この国を愛するものとして、そして何よりも一人の父親として、礼を述べておるのじゃ。聞けば、娘二人の命も助けてもらったらしいしのう。」
なんという器の大きさ。これが名君と呼ばれる人物なのか……!
それにしても、最近、最新刊が発売されたピンクの表紙で、〇皇の一角が中央に描かれた、漫画の砂漠の国の国王と似た言葉だな。まさに、王の鑑、って感じだ。(……? 時系列? なにそれ、美味しいの?)
「そういう事でしたら、オレからもお礼を言おう。この愛する国の国民として、そして彼の友の一人としてヤツを葬ってくれて、ありがとう」
──ガラガラガラッ!
「「「……?」」」
「「「エッグッ……ヒック……ズズっ」」」
な、何何なになに!? 何が始まるの!? 入ってきたのは完全武装して涙ぐんでいる、4人の兵士達。意味がわからない。敵はここには居ませんよ〜?
「お、お前ら、国王様の護衛だろうが! 何が起こっても対処可能なように、外で待機しとらんかい!!」
ああ、護衛だったのね。俺の困惑をよそに、ヒートアップしていく彼ら。
「それでも! 国王様や団長の話を聞いたら、いても立っても、いられなくて!!」
「無礼だってことは重々承知してます。しかし! 我らにも貴方方と同じように、愛すべき妻子、友情を一緒に育んだ仲間がいるんです! もし、魔族共が街へと進行していたとしたらゾッとします。」
「さらに我らが敬愛する国王様の手によって、発展し続けてきた、母国の民なんです! ここで勇者様に出会ったことも、何かの縁!!」
「彼ら、彼女らを代表して、どうかお礼を言わせてください。貴方様のお陰で、大した被害も出さずに、今日という日を無事に終えることが出来ます。」
「「「「この国を救って下さり、ありがとうございましたッ!!!!」」」」
「お、お前ら……」
まさにシュバッ! と擬音がつきそうな程に一糸乱れぬ、最高位の謝意。行われたのは土下座である。団長は情に弱いのか、薄らと目に涙が溜まっている。国王は目を閉じて、黙って聞いていた。
勿論、彼らは任務中であり、突然乱入してきた事もあって、フルプレートだ。実は“シュバッ!”ではなく“ガッッチャンッ!”だ。どうでもいいか……。
裸の男3人に、フルプレートの男4人。傍から見ると非常にシュールだ。なにしろ、まだ土下座しているからね。もう止めていいんだよ? その誠意は伝わったから。悪いことは言わないから、任務にもどりな?
……解せん、解せんぞぉ。何故、期待の篭った目で俺を見るんだ、国王と団長よ。俺にコメントを求めても無駄だぞ。
『勇気を振り絞って言った、彼らのために何か一言お願いします。』
頭に響いたのは彼女からの念話。
『ちょぉい!? エミューちゃぁん! 覗かないでっていったよね!? しかもそれ、緊急時に、って渡した道具使ってるよね?』
『ですから、覗いてませんって♪ 会話を聞いていただけですから。それに、今が緊急時ですよ』
『それ……盗聴って言うんだよ……。』
どこら辺が緊急時なのだろうか。ここにいたら、小一時間ぐらい問い質したい。いや、いたらいろんな意味で困るんだが。
『ギクッ……まぁまぁ、お願いします。彼らの為にも。』
『やっぱりいるの?』
『はい♪』
ハァ……ヤレヤレ。彼女に免じて人肌脱ぐか。
だが、これだけは、言わせてもらいたい。
──どうして、こうなった……




