表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/54

ロマンス・ドーン──冒険の夜明け──

 模試が終わり一区切りついたので、久しぶりに執筆してみました。久しぶり過ぎて、時間かかりまくりましたね。何はともあれ、再び幕間です。今度は智成のクラスメイトの一人です。


 タイトルは気付く人も多いかもしれませんが、ギネスに乗った漫画のサブタイトルからとってきました。


 私は今、家への道を急いで歩いている。言うまでもなく、今日、起こった摩訶不思議でファンタジックな出来事を密かに続けてきた、人間観察日記に一刻も早く記載するためだ。それも、重要な観察対象が巻き込まれた事件なのだから、興奮も一入(ひとしお)だ。

 知っての通り、


 ──私の趣味は人間観察だ。


 ······っと待て待て待て、少なくとも精神異常者では無いから読むのを辞めようとするな。これには山より深く、海より高い理由があるんだ──逆か。まあ、細かいことは気にしない方向で──。豚の角煮も······もとい、兎にも角にも、あまり気にならないかもしれないが、疑問を解決するために、私の話を聞いて欲しい。




 私は、良くも悪くも恵まれ過ぎてしまったが故に、いつも1人だった。裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育った──少なくとも経済面では。

 それに引き換え、友達と呼べる存在は1人もいなかった。小さい時は友達に近い人は何人か居たが、それも数年のうちにみんな私の前から去っていってしまった。

 これは、私が悪いのではない、と断言できる、と思う。それもその筈、全て親が小さくない影響力を持っているが故に生じてしまった弊害である。積極的に話したい類のものではないから詳細は省くが、子供同士の喧嘩に私の親が介入した、ただそれだけの話。


 子供同士の争いに親が介入するのは些かおかしい気もするが、本来なら少し軋轢が出来るだけで済むはずのものを、珍しくブチ切れた親(主に父親)が少々やり過ぎて、相手の親を社会的に殺しにかかったのだ。

 それを期に私の前から友好に接してくれる同年代の子は1人もいなくなった。

 


 今や高校生になり、昔の頃よりかは幾分かはマシになったといえど、それでも私に関わろうとする人はいなかった。尤も、小さい頃からあまり人と会話することがなくなった為、若干コミュ障の気があり、自分で遠ざけていた部分もあったのだが。

 影で深窓の令嬢、なんて言われていたのはここだけの話。私はそんな殊勝な存在では無い。

 

 そんなこんなで、やることのなくなった私は人を観察対象として見るようになった。一旦始めてみると、これはこれでなかなか面白いもので、あちらこちらで、少なくとも、私には理解不能な行動が散見された。何故、そんな行動に及ぶのか、それを考えるだけで、暇な時間は殆ど潰れた。


 そんなある日のことである。彼、つまり“今崎智成”を観察対象としてロックオンしたのは。


 私は数々の人を観察してきたが、彼ほど私の興味を大いにかっさらっていった人物はいない。


 何がそんなに気になるのか、と言うと、一番に挙げられるのは、彼の目だ。特に誰かと話している時に顕著になる。普通、対話している相手のことが目に映るはずだが、彼の目には何も映っていないのだ。見ているようで、視ていない。それが、とても不思議に思った。


 多分、彼にとって、彼を取り巻く環境、彼の目に映るもの全てに興味がないのだろう。それなのに、一見、何の問題もないように振る舞うのだから芸達者と言える。よく、そんな器用な真似が出来るものだ。考えれば考えるほど、不思議で仕方がない。一体、彼の身に何が起こったのだろうか。昨今はそればっかり考えている。──おい、そこ、暇人とかいうな。やることないんだよ。本当に。


 それにしても、彼は何処に行ったのだろうか。いや、この場合、飛ばされた、と言った方が正しいか。居なくなる直前に床に現れた、どことなく神秘的な雰囲気を持つ、あの模様は、魔法陣と呼ばれているもので間違いない。おばあちゃんの家の地下に在ったものと酷似していたし、何よりも私の直感がそう訴えている。


「······?」


 何かの気配を感じ、ふと車道を見てみると……


「──ッ!!!」


 何を血迷ったか、大型のトラックの顔がすぐ目の前にあった。そして、私はたいしたリアクションを取るまもなく、華奢で頼りない体を宙に投げ出され、視界が赫一色に染まっていった。

 絶望の最中で思ったことは、親でも祖母、もちろん殆ど接点のないクラスメイトでもなく、彼のことだった。

 彼は今どこで何をしているのか、そればっかりが無性に気になった。


 そして、私は意識を失った。失う直前に、あの時と同じ眩い光が私を包んでいたことは、幻想に違いない。きっとそうだ。

 幻覚見ても仕方ないよね。いろんな意味で、限界だし。でしょ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ