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VS魔族 part5

 大変遅くなり申しわけないです。最近、専ら読み専へとなっていたので、時間が取れませんでした。

 ついでに宿題は勉強机に渦高く積まれています(焦)。埃も積もってます。

 執務室──。


 それは、実務を執り行うための部屋。多くは、組織の首長に用意された部屋を指す。



 その部屋には現在2人の男がいる。1人は背丈程の大剣を背中に背負い、白銀の鎧を纏った屈強な騎士。そして、この部屋の主であるアンティカノス王。

 たかが執務室とは云え、使っているのは一国の王。それ相応の広さが確保されている。下手すれば平民の家の敷地よりも広いかもしれない。

 勿論、中にある機能性を重視した無骨なデザインの机や棚、入口の近くにある応接に使うための、ガラスが天板になっている豪華な机やフカフカなソファーを除けば、の話だが。

 今度は『広いが狭い』という、一見すればゴミ屋敷一歩手前な書類で彩られた空間が舞台となった。





「何故ここにお主が居るのだ? バリー・マクスウェル。娘の警備を任せた筈だが?」


 魔族が攻めてきていると分かっていながらも、今尚書類と格闘中のアンティカノス王、アレク・プレートは傍らに立つ190cmを優に超す屈強な騎士に疑問を投げかける。


「はっ! 当初は職務を全うしておりましたが、1人の騎士が這う這うの体で『し、執務室にま……』と言い気を失ってしまったので、気になり急ぎ馳せ参じました。幸い第一王女様の御部屋には余り魔族がきておりませんでしたので、信頼の置ける何人かの騎士に後を任せました。」


「今の所、娘は無事なんじゃな? それなら良い。まあ、見てわかると思うが、ここには魔族どころか人っ子一人居らんのじゃが?」


「……」


「ははっ、言葉もないようじゃのう。まあ良い。本来居るはずの警備や女中も何故か、おらんし不問としよう。それにしても何がどうなっておるのやら。」


 ──ガチャ……パタン


 突然扉が開き、1人の男が入ってくる。


「──! 誰だ!? 」


 騎士団長(バリー)は剣をすぐに抜けるようにしながら、入ってきた者に鋭く問いかける。


「執務室にはノックした後名乗って入れ、と教わらなんだかの? アンティカノス王国、騎士団、副団長、シュリアス・カルロスよ?」


 依然として書類に目を向け手を動かしたまま、言葉を発するアンティカノス王。


「これはこれは。我らが()主君、アレク王ではありませんか。もう貴方に忠誠を払う必要はありませんので、相応の態度を取ったまでです。ついでに副団長ではありませんよ。()副団長です。」


「──なッ!? 何を言ってるんだ。正気か? お前そもそも、本当にシュリアスか?」


 バリーがわからなかったのも無理はない。それは、彫りが深く整った顔立ちは変わらないが、目に今まで見たことの無いほどの狂気の炎を灯し、禍々しいオーラを全身に漲らせていたからに他ならない。


「正真正銘、まぎれもなくお前の目の前にいるのはシュリアスで間違いないよ。ただ、今まで隠していたことを表に出しただけさ。納得頂けたかな? 騎士団長殿。」


「そろそろ本題に入ろうかの? 何が欲しいんじゃ? 金か? それとも地位か?」


「いえいえ。いえいえ。そォんな、そんなチンケな物に興味はありませんよ。欲しいのは貴方の命デス、よッ!」


 おもむろに腰の剣を抜きアレクに切りかかる、シュリアス。ただしその場で。勿論、シュリアスとアレクの間にはあの無骨なデザインの机が存在している。


 ──ギィィーーン!!



 当たり前のように間に入り背丈程の大剣で受けるバリー。


「ククッ、やはりそう簡単には行きませんか。」


「貴様も斬撃を飛ばせることぐらい心得ておるわ。何年一緒だったと思ってるんだ? 」


「ク、ククッ それもそうか。」


 この間に何合も打ち合っているのは言うまでもない。衝撃で壁には幾つもの一直線の傷が入り、整理された書類が紙片となり、辺りを舞っている。こっそり、書き終えた書類を机の下の金庫に入れるアレク。その書類は大事なものらしい。


「やはり、ヒトの体というのは不便なものだ。俺の実力の半分も出せやしない。」


 ニヤリと笑いながら肩を竦め、距離を取るシュリアス。


「お前との戦いも面白いが些か飽きてきた。ここら辺で(しま)いにしよう。悪く思うなよ。」


 シュリアスは、左耳についたピアスを慈しむかのように、片手でソッと触れる──


 ──シャリンッ


 カッティングされた魔結晶のピアスがかすかな音を立てる。


 ──禍々しく毒々しい紫色の光がシュリアスを覆う。次の瞬間出てきたのは異形の生物だった。

 顔つきこそ同じだが、額からは二本の捻れた角が、肩甲骨の近くからは黒い蝙蝠のような羽が生えている。また口からは鋭く尖った犬歯が覗いている。薄紫色の鎧は消え、燕尾服へと服装も変わっている。


「──なァッ!? お前、魔族だったのか……!?」


「ククッ もうお前に語ることなど無きに等しい。あばよ、騎士団長。」


 ──ザンッ!!

 ──ギ、ギギッ! ……パッキィーン!!


 シュリアスは今までの剣速が児戯と思わせる様な、比べものにならない速さでバリーに剣を振る。


「チッ、辛うじて受けたか。だが、その出血では碌に動けまい。」


 その言葉通り、バリーは大剣でかろうじて受けたが、一瞬の拮抗の後、その大剣は真っ二つに割れた。傷一つ無かった白銀の鎧は袈裟懸けに切り裂かれ、そこからは血がドバドバと流れ出ている。


「さて、次は貴方の番ですよ、っと!」


 言葉を発するや否やアレクの心臓に突きを放つ。


 ──ドスッ



 寸分違わずシュリアスの剣はアレクの心臓を貫き、勢い余って背もたれさえも貫通している。


「よし。これで俺の長かった任務は終了。やっと貴方様への元に馳せ参じることが出来る。」


「ははっ、それはどうかな?」


「……!?」

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