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殆ど食レポですwww

  アリエス荘の看板娘ことエミューちゃんに案内されたのは出入口から一番遠いテーブル席だ。

 食堂内を一望でき、そして慌ただしい入口から遠い。流石エミューちゃんわかってるぅ、って言いたいが、俺の落ち着く場所がピンポイントで当たってて驚きを隠しえない。もし、これがカンだったとしたら恐ろしいね。人の本質見抜き過ぎだよ。


 そんなことをつらつらと考えてたら、やってきましたよ。目的の品が。

 運んできたのは何の運命か、エミューちゃんだ。他にもウエイトレスはいるのに。

 気たてもいいし、容姿も文句ナシだから何にも不満なんか有りゃしないからいいんだけどね。と言うかむしろwelcome


  元気の良い声とチャーミングな笑顔と共にこの時間の主役を定位置にスタンバイするエミューちゃん。しかも何気に左利き用の皿の並べ方と同じだ。俺が左利きだと言ったことも素振りも見せたつもりはないんだけど。


「お待たせしました〜! 本日の日替わりディナーは、ネイブルビーフのステーキとウォーキングオニオンのスープです。付け合せのパンとサラダ、スープはお代わり自由です。」


「いくつか質問をしても?」


「勿論です。」


「ネイブルビーフとウォーキングオニオンってどんな食材?」


 ネイブルは素早いだし、ウォーキングは歩いている、だよな?


「文字の通り、平原に住むのに動きが超素早い牛と夜になると動き回る玉ねぎですよ。ちなみにネイブルビーフはCランクです。普段は温厚で、のんびり草を()んでいるですが、害をなすものの視線に敏感なんです。ひとたび気付かれると巨体に似合わない俊敏さで、捕獲者がぎりぎり追いつけないスピードで目の前をおちょくるように走り、怒りに我を忘れた頃、一目散に猛スピードで去って行く魔物です。」


 以外にもCランクな点に驚いた。聞いた限り戦闘力は無さそうなのにね。え? 気まぐれで突進してくる? そして、頭には2本の太く鋭い角、なかなか凶悪ですな。スタミナもあるとのことだし。

 ウォーキングオニオンは夜になると、歩き回り月の光を浴びたり空気中に己(?)の体を晒すことで身が引き締まり、甘く濃厚な味を出すんだそうだ。ここが他の野菜では見られない特徴で、月の光を浴びると魔力を蓄えるらしい。そのメカニズムは全く解明できてない。いつかやってみたいね。メカニズムの解明と品種改良。


「おっと、少しばかり話し過ぎましたね。冷めないうちにお召し上がり下さい。それでは当店自慢の定食をごゆるりとご堪能……する前に王宮からの“招待状”を渡しておきます。(危なかった〜、また忘れるとこだった)」


“招待状”? なぜに? 勇者だとバレたか? 心当たりがない……わけでもないな。いくつかあるな。うん。


「それではごゆっくり〜。」

 あれ? さっきとセリフが違う。まあいっか。何か変わることなんかないし。

 それにしても肩の荷でも降りたのか幾分かスッキリしたような表情だ。そんなに重要なやつなのか?


そんなに重要なら、今見る……訳がない。んなモンあとだ、あと。一旦忘れて(おい)、目の前の食事に集中しよう。


 一応、音を立てないようスープ皿に入っている液体をスプーンで手前から奥に向かって掬い、口へと運ぶ。


 ――!?  これほんとにオニオンスープ?? 確かにオニオン独特のあの香りと甘さがあるよ。うん。

  だが、その香りと甘さが全然違う。あの香りの中にカレーなどのスパイスとはまた違った芳醇な香ばしさが両立し、素晴らしいハーモニーとなって鼻腔をくすぐる。

 そして、味はと言うと……(以下略)

 冷水を口をすすぐようにして飲み、口内の味をリセット。ステーキを適度な大きさに切り分け、口へと運びゆっくりと咀嚼する。

 噛む、と言うよりは歯が肉に触れるだけで溢れ出る肉汁。胃がもたれるような油っこさは一切なく、それでいてお前が食べているのは肉だぞ! と否応なく理解させられる肉独特の旨みや甘み、それらが奏でるハーモニーを裏で支えるように微かに感じる香辛料。

  これがなければ完成しない、と思わせるほどに絶妙なバランスで調合された、香辛料は見事としか言いようがない。そして……(以下略)

  この焼きたての白パンも計算されて作られたことがよくわかる出来栄えで、……(以下略)

 最後にサラダの野菜の組み合わせがこれまた……(以下略)



 ♦長きに渡る食レポ、羅列される言葉に少々ウンザリすることが容易に予想されるが、今日だけは許してやって欲しい。何故ここまで我を忘れて食事に没頭しているかは彼の修行風景を見れば明瞭になるだろう。そこで何があったかは想像に任せる。しかし、まともな食生活を送ってはいなかった、と言うか送るほどの余裕がなかった、ということだけここに記しておく。



  いや〜。満足満足。こんなにまともな食事をしたのはいつぶりだろうか?

  ……ん? ん〜? 周りの人と食べてる(た)ものが違うぞ? ひょっとして俺だけ特別メニュー?

まあいいか。それよりも“招待状”だよ。何が書かれてあんのかな?

 とりあえず部屋に戻るか。


 席を立ち階段へと向かう。その途中でエミューちゃんに会ったので「御馳走様、美味しかったよ」と声をかけるのも忘れない。


  部屋の鍵を開けて(チェックインの時に渡された)中へと入ると、若草のような香りと清潔感あふれる空間があった。

  洗浄魔法(勿論、自己開発)で体を清潔にしてからベットに腰掛け、“招待状”の封をあける。

そこに書かれていた内容は……




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