素材買取part2
「それじゃあ、ここに出してください」
──とのことなので狩ってきた魔物を出していく。
「先ずは、こいつから」
(((“先ずは”?)))
「オーク?…………待て待て待て、何体だすんだ?」
次々と出てくるオークに冒険者のひとりが呟いた。
「──はい、オーク57体と2m級オークキング1体ですね。」
慣れたように男性職員が即座に数え、報告書にかいていた。
何があったっていうんだ。慣れてやがるぞ。あいつ。絶てぇ、ド肝抜いてやる。
「──ほいっと。」
「オーガ10体ですね。」
まだ顔色は変わらない。コノヤロー。
「……」
「──ッ! さ、サラマンダー10体ですね。」
少し驚いたが、すぐに元に戻る。今一歩足らないか。
「──これでどうだ?」
「「「ら、雷竜!?」」」
だんだん静かになっていた、観衆(冒険者)が大きくどよめいた。ただ、あいつは(男性職員)達観したような穏やかな顔で──
「──雷竜5体ですね。」
──とのたまった。テンプレートに驚けよ! たたそれだけで、俺の心は満たされるっていうのに!!
「──これで、最後だッ!!」
「「「ダークネスユニコーン!!??」」」
「──ダークネスユニコーン1体ですね。」
ハイライトの消えた、虚ろな目で報告書にペンを走らせる男性職員。
これは、勝ったって言っていいのか? いや、だめだ。全然勝った気がしない。なんか、諦められた、って感じが強い。
「全く。何年ぶりだよ。4年か? あいつ以来だな。それでも、ダークネスユニコーンは登録初日に持ってきてはなかったが。」
そんなことを少しずつ目に光が戻りつつある因縁(?)の相手(男性職員)が小声でブツブツ言っていた。
「あいつって誰ですか?」
「ん? ……ああ『黒爪』だよ。いや今は『暴帝』と言った方がわかりやすいか。そういえば、あいつもお前と一緒で黒目黒髪だったな。」
「何か関わりがあったんですか?」
「あいつは、『暴帝』のお付のギルド職員だったらしいぜ。」
──と、近くにいた別の冒険者。
「お付のギルド職員?」
「ああ。高ランクになると1人から2人専用のギルド職員が決められるんだ。もっとも、あいつは登録をする時からの付き合いらしいが。」
へぇー。だからもう既に耐性があったんだな。そりゃ驚かねぇのも無理ねぇな。にしても、ちょくちょく出てくる『暴帝』ってのは気になるな。いつか行ってみるかな、帝国ってやつに。
「お、お強いんですね。トモナリさん。」
さっきよりも頬の桜色を濃くしたお姉さんが唐突に褒めてきた。
「お、おう。ま、まぁね」
やめろ、褒めるんじゃなぇ。柄にもなくどもっちまったじゃねぇか。あ〜もう、耳が熱い。
驚愕と畏怖が込められた目線は次第に生暖かいものへと変わっていった。そんなことはつゆとも知らずに、智也と美人な受付嬢は桃色の空間を意図せず作り上げていた。




