素材買取part1
短め、です。かなり。
まだまだ続くよ。何がとは言わないが。
「そういえば、途中で魔物を狩ってきたんですけど買取してもらえますか?」
「勿論です。それがギルドの仕事の一つですからね。」
ようやく戻ってきたお姉さんが、伏し目がちに答えてくれた。未だにほんのりとほおが色付いており妙な色気を放っている。
「……それもそうですね。では、ここに出せばいいですか?」
「いえ、あちらに簡易素材買取所があります。そちらで出して頂ければ」
彼女の視線の先には熟練の戦士もかくやという、やたらと眼光の鋭い中年のオッサンが座っていた。さして体格がいいという訳では無いのになにかの圧力を放っている。そう、云うなれば熱意というものだろう。仕事に私情を挟まないひたむきな姿勢がそんな雰囲気を放っているに違いない。あれが、真の職人だと言うのか!?
……なにを俺は長々と語っているんだ。さて、素材買取だったな。
「はい、そこの少年ちょっと待て。何を考えているのか知らないが、その手には乗らないぞ。さあ、あっちの広いところで出してもらおうか。さあ、さあさあ!」
と、男性職員さん。
チッ! バレてたか。ド肝抜いてやろうかと思ったのに。ニヤリと笑ったのがダメだったか。
ということで魔物解体スペースへ移動。ついでに周りの冒険者もついてきた。
それよりも、さっきから2人分の視線がずっと向けられてるんだけど…………
後を辿ると、ひとつめは2階にいた精悍な顔つきをした190cm越えの大柄の男。
全身に白銀の鎧を纏い、背中に身の丈ほどの大剣を背負っている。その大剣からは何か妙な力を感じる。マジックアイテムだろうか?
ふーむ、なにか言いたげ、というか用がありそうな顔をしている。そんなに熱心に見つめられてもな。嬉しくないのだが。……い、いやどこかで見た様な気が、うーん。でもあんな立派な鎧付けた人なんて見たことないし。
──結論、わからん! 分からないものは分からない。そういうもんだ。もともと、顔覚えるの苦手だし。クラス替えしても全員の顔と名前が一致するのって、だいたい冬ぐらいなんだよね。慣れた頃に進級する、っていう無限ループ。
そして、ふたつめはお姉さんだった。チラッチラッとこっちを見ては目を伏せる、チラッチラッと見ては目を伏せる、の繰り返し。
正直、ドギマギする。さっきまで凛とした雰囲気を出してたのに今や頬を桜色にほんのり染めて恥ずかしげにこちらを見てくるのである。ずっと見つめてたい、そんなことを思わせる。というか、ほんとに俺を見てるの? そんな分けないか。今までの経験上視線の先は俺ではなく、俺と同一線上にいる人間だな。下手に勘違いして恥をかきたくない。笑えたきゃ笑えばいいのさ……。それがモブにもなれない人間の生き方さ、フッ。
それにしても、甘酸っぱく、胸を焦がすようなこの感情は何なのだろうか?
──安心しろ、俺。ただの勘違いだ。
17才の少年はそんなことをつらつらと考えながら、さして長くもない廊下を歩む──。




