#3
#2で入りきらなかったやつです。
三郎はゆっくり、静かに障子を閉じた。先刻の異質な情景に想いを馳せる。
パトカーが見当たらなかった。そしてもう一つ、気になる点が。全員、制服の下が膨れている。そして足音が異様に思い。
(殺る気満々ってわけか)
三郎「この家に裏口はあるか?」
慶蔵「はい。ありますが…」
三郎「よし。手短に言う。敵が来た。俺が相手するから先に人通りのあるとこまで逃げ…」
待て、何か引っ掛かる。門の連中は正面担当。
裏が妙に静かすぎる。
(別部隊か…)
三郎「悪い。やっぱ動かないでくれ。」
裏口の方から微かに音が鳴る。もう来ていると言うことだろう。
さて、どうする?
逃す?どうやって?
戦う?無理だ。護身用の武器もない。
突破口は壁の向こう、俺の仕事道具だ。
三郎は静かに膝を折り、畳に手をつく。
一瞬、目を閉じて深く息を吸った。
耳を澄ます。
裏手の障子の向こう、何かが微かに軋んだ。
配置についているのだろう。
(囲まれたと思ったほうがいいな)
近くにあるもので武器になりそうなものを探す。
三郎「これだな」
大人数を相手するには心もとないが今ある最大限のものはこれだろう。
三郎「...行くか」
カチッ その音は確かに戦いの火蓋を静かに落としていた。