眠れる魔王
前回同様、何とか書けたので投下します。
「ククク…… いいぞ、もっとだ! フハハハ!」
「ぐっ、これしきのケガなど……」
「このヘビ邪魔ニャ!」
アスタロトが放った毒蛇の大群が、仲間たちに絡みつき体内へと毒を流し込む。
「エリアヒーリング」
「あ、ありがとう……」
「これで、また戦えるわ!」
仁の治癒魔法が、仲間たちの体力を回復する。
解毒に関しては、各自に配ってあるポーションにて対応していた。
「無理に奴を狙わんでもいい! 時間を稼げ! 封印さえ完成すれば此方の勝利だ!」
「ハーハッハッハ! ほれ頑張れ。 そんな事で、我を止められると思うておるのか? ほれほれ」
毒蛇の数が減ってくると、アスタロトは毒蛇を追加してくるのであった。
「くっそ! どんだけ出せるんだ!? こなくそ……」
「もう! こんニャろ! ヘビめぇー!! おミャーら、ウザいニャー!」
床一面の毒蛇の絨毯に足を取られるリウとミケは、下半身に絡みつく毒蛇をむしり取ると、それを上空へと投げ捨て切り刻む。
毒蛇の大群に苦戦する仲間たちに毒のダメージが徐々に現れ始め、スタミナやMPが急速に減っていく。
「エリアリフレシュ!」
「漲ってきたぜぇ!」
「どっせぇーい!」
HPはヒーリングで回復し、スタミナやMPはリフレシュで対応する仁の魔法がこの戦いを左右する状況にアスタロトは気付いて、かれこれ2時間が経っていた。
「はあ…… もう飽きたな。 我の僕の憂さ晴らしもここまでだ」
アスタロトが毒蛇たちを消し去り、首が無くなったドラゴンに近寄っていく。
戦闘開始早々マルスが飛び出し、アスタロトの騎乗していたドラゴンの首を刈り取った死体である。
今まで、そのドラゴンの首を拾い振り回し、その首より毒蛇を撒き散らしていたのだ。
それを繰り返していたアスタロトであったのだが、次の段階へと進む気でいるようだ。
「我の血肉へと還れ……」
アスタロトがそう呟くと、ドラゴンの躰は輝きアスタロトへと吸収されていった。
ドラゴンの躰がすべて吸収されると、アスタロトの体が変化し始める。
「フフフ…… お前たちを褒めてやろう。 この姿を晒すのは数万年ぶりである。 しかとその眼に焼きつけ、そして死ぬがよい! フハハハハハハ……」
アスタロトの体は、完全に肉の塊へと変わり、その肉塊から鼓動の音が強く鳴り始める。
ドクン、ドクンと鳴り響く鼓動が繰り返される度に、その存在感は増していく。
「な、なんだ? 何が起きている!?」
「気をつけろ! 奴のステータスが上昇していくぞ! 今のうちに回復しておけ」
「「「了解!」」ニャ!」
アスタロトの覇気が増していく中で、各自は更なる強敵との戦いの準備を始める。
「俺は切り札の準備に掛かる。 その間の回復は出来ないと思えよ。 3分間は全力で回避するんだぞ、いいな!」
「「「おう!」」」
「わかったわ、3分ね……」
「ルナは私に乗りなさい」
仁は、仲間たちから離れた場所に魔方陣を設置していく。
そして、その魔方陣の前で召喚魔法を使い、モンスター3体を呼び寄せる。
「久しぶりだな…… だが、これより俺は強敵との戦いに備えて、ここを動けなくなる。 その間、その命を賭して彼らを護って欲しい。 頼んだぞ」
「「「はっ、我らの命は貴方様の為に!」」」
仁の呼んだモンスター3体はかつての仲間であり、何時も行動を共にしていたゴブタロにコボジロ、オッグの3名であった。
ゴブタロ Lv100
ゴブリンロード
コボジロ Lv100
コボルトキング
オッグ Lv100
オークロード
各々が種族をまとめる立場となり、仁と行動を共に為なくなった彼らであったが、その忠誠心は相も変わらず仁の下にあった。
そして、その主である仁と共に戦う事こそが、何よりも嬉しく尊いものであった。
仁の命を受け、マルス達に合流するゴブタロ、コボジロ、オッグの3名は誰よりもこの戦いを待ち侘びていた。
そんな彼らを見やるマルス達は驚き戸惑うが、アスタロトを前にしてマルス達を背にして立つ姿に安堵する。
「ゴブタロちゃん達だったニャ」
「おう、ビビったぜ」
「ちょっと見ない間に、見違えるなど不覚だ…… もっと精進為ねば」
唐突に現れたゴブタロ達にミケ達は焦ったが、よくよく見れば知った顔の面々にほっとする。
「知り合いだったのか……」
「主の元パーティーメンバーニャよ」
「うむ、我らより強い百戦錬磨の猛者達だ」
「我らの先輩であり、良き教官殿でもある」
ミケ達はゴブタロ達に会うまでは、ゴブリン風情にという感じであったが、アッサリと負けた事で認識を改めた経緯があった。
そして、ゴブタロ、コボジロ、オッグの3名がそれぞれの教官となっていた事もあるのである。
「えっ? そんなに強いの?」
「みたいね…… とりあえず味方なのは助かるわ」
「そうか、あのダンジョンで会った、あの時のゴブリン殿であったか。 これは失礼しました」
ルナはミケ達の話で驚き、ジュリアは味方であることに安堵し、マルスは始まりのダンジョンで世話になった事を思いだした。
「よし、心強い援軍も来てくれた。 あとは3分の間ここを凌ぐことが我らの仕事だ」
「「「任せろ!」」」
「「おうよ!」」
「「「頑張るわ!」」ニャ!」
マルスの鼓舞に応えるメンバーは、未だ動かぬ不気味な存在を見詰め、気合いを入れ直した。
だが、そこから生まれくる恐怖を知らずに、誰もが仁にすべてを託し、生きて帰れると信じていたのであった。
サブタイトルが一番の強敵でした。
あとで変えるかも知れません。




