狂信者
何時もの如くてけとーに書いていたところ、長くなってしまいました。
すみません、明日こそ進めます。
封印開始から6日目が終わり、7日目に入ってからモンスターの襲撃がピタリと止んだ。
「なんだ? 枯れたのか?」
「静かすぎるニャ……」
「んー、嫌な予感がするな」
「一旦、戻るぞ」
ミケ達は、マルスの指示で本来の任務であるアリアの護衛に戻った。
「何かしら? 何かがいるみたい……」
「ケロちゃん、如何したの?」
アリモドキがいなくなり、ぽっかりと空いている封印のない穴を、ジュリアはじっと見詰めている。
「何かが来るわ…… これはマズいかも」
「えっ? ヤバいやつなの?」
「分からないわ、でも嫌な予感がするの…… 私達も戻りましょう」
「そ、そうね…… 報告も必要よね」
ジュリアの本能が危機を告げ、迫り来る脅威に身を震わせていた。
◇ ◆ ◇
「なんだ? そんなに慌てて如何した?」
「前線の子達に、退避を命じて」
慌てて仁の下へとかけ込んだジュリアは、前線にいる者達への撤退を勧める。
「ん? うん、分かった。 それだけか?」
「ええ…… 信じるの?」
「信じるもなにも、お前たちを疑って如何する? 危険を感じるんだろ? なら、理由はそれで十分だ」
ジュリアの疑問は、仁にとっては疑う必要もない事であった。
「はっ、何それ…… 貴方はそれでいいかも知れないけど、もっと人を疑った方が賢明よ」
「知っているよ…… 嫌という程にな。 だが、仲間を疑う余地がある程、俺の心は広くはなくてな、とうの昔にそんな事はどうでもよくなったんだ。 裏切るような奴は、どんな信用をも利用して裏切るんだよ。 だからこその信用なんだ。 分かったか?」
ジュリアの言い分は分かるが、仁の人生において信用などは価値もなく、移ろいやすい人の心を理解し、信用するのは己の判断基準でしかないと覚っていた。
「…………、どんな人生を送ったらそうなるのよ」
「まあ、時間のあるときに話してやるよ。 それより、撤退命令を出すのが先だ」
あきれ顔のジュリアやルナを余所に、仁は部下達に撤退を命じる。
「全軍に、撤退の命令をだせ!」
「「「はっ!」」」
◇ ◆ ◇
仁の撤退命令により、大半の兵は25階層から撤収した。
だが、ごく一部の者達はアリアが陣取るエリアへと馳せ参じている。
ゴブリンキングにオークジェネラルは勿論、各種族を代表する者達が集まっていた。
「いいか、よく聞け! この先の戦いは、選ばれし者達だけの闘いである! 覚悟のある者だけが、アリア様の楯となれ! 命をかけて守り抜くのだ!」
「「「オオーー!!」」」
集まった者達の威勢に圧され、ルナとジュリアは怯える。
「なにこれ? 怖い……」
「これは、やり過ぎだわ」
「ニャハハ、こんなの序の口ニャ」
「そうだな、主の為に死ねるなど名誉であり、幸せなのだよ」
「死ぬことで成せる事があれば、身を捧げる事こそ我らの役目だ」
ルナとジュリアの隣にも、狂信者が現れた。
「狂っているわね」
「ミケ! 貴女はこっちにいらっしゃい。 こんなの駄目なんだから」
ミケの腕を取り、ルナは涙目で引き寄せようとする。
「何を言っているニャ? あたし達は、何度も死んでいるニャよ」
「そうだな、何度逝ったか解らんぞ」
「俺は25回だ…… まだまだだな」
「まあ、俺も二度ほど死んだしな……」
「「はい?」」
ミケ達の言葉で唖然とし、マルスの告白で頭の中を真っ白にしたルナはミケに宥められ、ジュリアは思考停止した。
そこへ、部下達を鼓舞して廻る仁が現れる。
「なんだ? 何かあったのか?」
「うん、まあなんだ……」
「アイツらのやる気で、混乱しているニャよ」
「ああ、主の為に死ぬことに狂気を感じたのだろう」
「そうだな」
仁は、呆けているルナとジュリアの事情を聞いた。
「ふぅ、まあそうだろうな。 うちの特殊性は他では通用しないからな。 お前たちも、転生に慣れるなよ。 その度に、レベリングに付き合う者達が大変なのを忘れるなよ」
「ごめんニャしゃい」
「「申し訳ない……」」
度重なる失態で死を経験した部下達は、何度も召喚で蘇らせてもらい、その恩人の仁の言葉は重かった。
「えっと、どういう事なの?」
「忘れてたわ、この人が蘇生出来ること……」
「何を今更……」
「ニャハハハ、そういえばルナも一度死にかけて、蘇生されたんニャよね」
仁との決闘で気絶させたのだが、思ったよりダメージが深く、脳内出血により死亡したのであった。
その後、ルナは仁に蘇生されて、ミケ達の看病で命拾いを為たのである。
「あれは予想外だったな。 まさか死ぬとは思わんかったよな」
決闘とはいえ、ルナを一度殺した仁にマルスは苦笑いを浮かべる。
「仕方ないだろ、本気で殴らないと止められないのだし、不可抗力だ。 第一、お前がいうなよな。 まったく……」
「チートって、そういう事なのね」
「そうなのよ、こいつチーターなのよ! ずるいわ、私達の努力を返して!」
仁が持つ、魔方陣のリザレクションと、秘薬を使ったレイズデッドは如何にもチートであり、ルナやジュリアにとってはファンタジーでしかなかったのである。
仁の加護を受けた配下達は、転生を受けて何度でも生まれ変わり、その都度仁の庇護を受けて、その身にアリアの愛を注がれているのである。
これ程の加護を与えられた彼らに、最早他に行くことなど有り得ず、これ以上の至福を与えてくれる主など存在しえないのであった。
昨日はあれこれと用事をしつつ、疲れて寝てしまいました。
起きたら夜中でビビりました。
突然ですが、GW中も通常通り更新予定です。




