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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
128/206

軍勢とロマン

クライマックスとは……

済みません。





 25階層での戦いも6日目となり、敵の現れる数と頻度も増えた事で、戦況も悪化しつつあった。



「うーん、そろそろ増援の投入するか」

「今は持ち堪えてますが、増員の二千名も疲弊し始めましたし、残りの三千名の投入も致し方ないかと」



 ミノタウロスを駆逐し、現在の敵モンスターは大型昆虫へと変わっている。


 ミノタウロスが出なくなってから、大型のアリモドキが現れたのだが、これがヤバかった。


 倒せばたおす程に数が増えてゆき、対応しきれない数となって押し寄せてきたのである。


 最終的に、仁の魔法で焼き払い事なきを得たが、やはり配下の者達が倒せば増えることとなり、対応に追われることとなった。


 そして、仁の二度目の魔法で数が減ったことで魔法で焼却、もしくは凍らせて砕けば増えないと分かり、大半の兵力を前衛に充てて、魔術師たちに倒させている最中である。



「わかった。 召喚モンスターも増やして対応しよう」

「はっ、私も戦略を練り直し、対応致します」


「うむ、あと1日だ。 何が起きてもアリア様だけは死守するぞ、いいな」

「「「はっ!」」」


 キングやジェネラル達は仁の訓示に従い、各々の陣へと戻っていった。



 ◇ ◆ ◇



 戦線の後方に、対昆虫用にゴブリンメイジやシャーマンの召喚魔方陣を設置する。


 MPを使い切り次第に帰還為るようにと命令を与え、シャーマンが前衛に強化と回復魔法で支援し、メイジ達がアリモドキ共を焼き払い、中には自爆する者達すらいた。


 この戦法に仁は頭を抱えたが、MPを使い切って帰還するなら、『見事に散ってみせます』と特攻を仕掛け始めたのである。


 ファイアを放ち、敵に纏わり付き自爆する様に味方陣営から賞賛の声があがり、次々とアリ共を屠り焼き払っていった。



「お前ら、忠誠心が高すぎだろ…… 疑似生命体であるからできるんだ。 いいか、お前たちは生きて戦線の維持に注力しろよ!」


「「「ハイッ!!」」」


 戦線の維持に、まさに肉壁となって戦う戦士たちは涙を流しながら、仁に敬礼をする。



 ◇ ◆ ◇



「今度は何を作っているの?」

「ん? 粘着剤と発火薬だな」


 陣幕の片隅で薬を調合し、量産を開始した処でジュリアがやってきた。


「ふーん、何に使うの?」

「アリモドキに投げて、ファイアを放てばMPを節約できるだろ」


「なるほどね。 なんだかんだで、部下たちに優しいのね」


「そうでもないさ。 この内の何割かで事故が起きるから、その対応もせにゃならんのだ。 ただで楽は出来ないよ」


「フフフ、貴方わかってないわね。 あの子達のことも分かってないでしょう?」

「なんの事だ?」


「あの子達の忠誠心は、貴方の優しさより、そういったケアをちゃんと考えて、()()しているところよ」


 部下達に何かをやらせるには、対価はもちろん、サポートやケアも必要だと考えて動くことは上の役目であると、仁は常々思っていた。


「なんだそれは? 当たり前のことだろうが、何を言っている?」


「はいはい、私はもう行くわ。 お邪魔しました~♪」


 仁の疑問には答えぬままに、微笑むジュリアは戦場へと向かった。


「なんの事だかさっぱりだ。 これだから女は解らん…… まあいい、早いところ持っていかんとな」


 ジュリアが去って、手が止まっていた仁は薬品の量産を再開するのであった。



 ◇ ◆ ◇



 戦線に戻った仁は、『発火瓶』の使い方を教えて後衛に持たせる。


 MPを回復しながら、発火瓶をアリモドキに当ててファイアを放てば、MPが少なくとも戦力になるので、魔術師たちはこぞって持参していく。



「あとは回復薬の追加だな」

「ありがとうございます」


 大量に作った発火瓶をアイテムボックスに詰めて、キングやジェネラルの陣幕に届けると感謝された。


 テレポートが可能な仁には朝飯前の事であるのだが、仕える主が物資の配送をしていること自体がおかしいのである。


「構わんよ、猫の手も必要なんだ、これぐらい問題ない」


「呼んだかニャ?」


 仁の言葉で、ヒョッコリと現れたミケは猫化していて、ルナに抱かれている。


「お前たちも来ていたのか」

「ん、あたしらはアリンコをイジメにきたニャ」

「これが『発火瓶』ね? アリに当てればいいのよね?」


 ルナはアイテムボックスから発火瓶を取り出し、自分のポーチへと移す。


「お前たちには、こっちが良いだろう」

「ん? 何これ?」

「なんニャ?」


 仁は自分のマジックバッグから、細長い棒を取りだす。


「これは氷結魔法『フリーズン』をこめたアイスロッドだ。 アリ共の腹に撃ち込めば、躰を氷結魔法で凍らせることが出来る。 試作品だから使い方に難があってな、お蔵入りしたものだ」


 魔法をエンチャントして、撃ちだすことを目的として作ったロマン武器であった。


「なんでそんな物を……」


「まあゲームみたいに、魔法を撃てるか実験したんだが、どれも殴らないと発動しなかったんだ。 要するに失敗作だな」


「普通はファイアとかじゃないの?」


「んなこと出来るか! 実験で、そこら辺に火を放つなど馬鹿の極みだ。 危なくて実験にならんわ」


 実験が成功していれば、ファイアボールで作ってはいた筈であるが、実験段階でのファイアボールは躊躇するものがあった。


「ニャハハハ、そらそうニャね」


「確かに…… 放火魔には為りたくないわね」

「場合によっては、火だるまになるかもな……」


「「ひっ!」」


 失敗して、全身の毛が黒焦げとなる姿に二人は身を震わせる。


「おヒゲが燃えるニャ……」

「それは避けたいわね……」


「まあ、この失敗によってこんなのが出来た」


 新たに取り出した真っ赤な剣に、全員が喉をならす。


「うわぁ……」

「カッコいいニャ!」

「レドにはちょうどいいか」


「おお…… こ、これは」

「フレイムブレード、斬ったものを燃え上がらせる、炎の剣だ」


「「「おおー!!」」」


 この日、調子にのったマルス達によって、アリモドキたちは駆逐され、残る七日目を迎えることとなった。





最終日には何がやって来るのか

乞う御期待。



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